ExaDB-XSとは?Oracle CloudでExadataを低コストで使う方法
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2024年11月1日、Exadataのアーキテクチャを基盤にした新サービス「Exadata Database Service on Exascale Infrastructure(以下、ExaDB-XS)」が、Oracle Cloud Infrastructure(以下、OCI) 東京リージョンで利用可能となりました。これまでExadataをOCI上で使うには、高コストなExaDB-Dの一択でしたが、今後は低コストで始められるExaDB-XSが選択できるようになります。
本コラムでは、ExaDB-XSの特長やメリット、主要サービスとの比較を解説します。
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<執筆者> 冷水 直也 Hiyamizu Naoya
ビジネスインフラ技術本部
データベース技術統括部 技術3部 部長
2003年に入社し、データベース分野を中心に西日本で活動。2014年に東京へ異動し、データベース仮想化製品の立ち上げを担当。2018年の末に帰阪し、現在は西日本のデータベース技術部隊の責任者となる。
Oracleで好きな領域は、Exadataとデータベースの診断やチューニング作業。
AWR(自動ワークロード・リポジトリ)レポートを眺めながらコーヒーを飲むことでマインドフルネスを実践している。
徹底的に物事を追求する性格が災いし、比較的多趣味なほうだが、人生で一度も趣味を楽しめたことがないことが悩み。
最近はずっと休止中だったゴルフを再開し、スコアアップのために練習する日々で、もちろん楽しくはない。
他にはロードバイク、キャンプ、ジム通いなど。いつか心から楽しめる趣味に出会えますように。
システムリプレース時によくある要件や課題
Oracle Databaseを使う次期システムの基盤を検討する際に、以下のような要件や課題が挙がることが多いです。
- クラウドへのリフトは決まっているが、クラウドの選び方が分からない
- データベースの運用負荷を下げたい
- データベースへの業務要件や将来性を考えると、性能や可用性に課題がある
- システムリプレースに使える予算が少ない
今回はこのようなよくある要件や課題へのアンサーとして、新しいデータベースサービス「ExaDB-XS」をご紹介します。
ExaDB-XSとは?
ExaDB-XS(Exadata Database Service on Exascale Infrastructure)とは、OCI上でExadataが使えるインフラ共有型のデータベースサービスです。
2024年11月1日に、OCI 東京リージョンで利用可能となりました(2025年1月執筆時点では、東京リージョンでのみ利用可能、大阪リージョンでは利用不可)。これまでExadataをOCI上で使うには、インフラ占有型の「ExaDB-D」の一択でしたが、インフラ共有型の「ExaDB-XS」を選択できるようになりました。
OCIが提供するデータベースサービス(PaaS)
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ExaDB-XSの3つの特長
ExaDB-XSは、OCIとExadataの長所を組み合わせた以下の特長があります。
1.インフラ共有型でコストを抑えられる
ExaDB-Dのようにインフラ占有型だとどうしても価格が高くなりがちです。
対してExaDB-XSは、クラウド利用者全体でインフラ基盤を共有する「インフラ共有型」となるため、コストを抑えることができます。
2.柔軟な構成でコストを抑えられる
専用のハードウェアを使わず、CPUとストレージ容量を指定するだけで利用できます。
その際、物理的なCPUコア(OCPU)よりも小さな単位である論理的なCPU(ECPU)単位で課金します(1 OCPU=4 ECPUで計算することが可能)。また、物理的なストレージを意識することもなく、必要なストレージサイズだけを指定するため、無駄がありません。
3.Exadataにしかない機能で高いパフォーマンスを発揮できる
Exadataの機能であるSmart ScanやStorage Indexなどが使えるため、高いパフォーマンスを発揮します。
- Smart Scan
大量データの検索や絞り込みをストレージサーバーに任せる機能です。
データベース側のCPU負荷を抑えて、表の結合や整列を実施できます。 - Storage Index
ストレージサーバーのメモリ内に表データのサマリ情報を格納し、
where句の条件にマッチする部分のみにアクセスすることでディスクI/Oを削減します。
高いコストをかけて超高性能なExaDB-Dを使うほどではないけれど、ある程度の性能が求められ、かつコストも抑えたいならExaDB-XSが適しているでしょう。
----- 参考コラム:Exadataをフル活用しよう!Smart Scanでさらに性能を引き上げるチューニング方法 -----
ExaDB-XSによる課題解決
ExaDB-XSのメリットは、Exadataという高性能かつ高可用性な機能を低コストに利用できる点です。
では、その特長を踏まえて、冒頭に記載した「Oracle Databaseを使う次期システム検討時によくある要件や課題」をどのように解決できるのかを見てみましょう。
1.クラウドへのリフトは決まっているが、クラウドの選び方が分からない
まず前提として、Oracle Databaseを使うなら、OCIを選択するメリットが多数あります。以下に一部を抜粋します。
- OCIはOracle Databaseのために最適化されており、オンプレミス環境と同等かそれ以上のパフォーマンスを提供することができる
- データベースのデータ移行方法が豊富にあり、他クラウドよりもデータ移行が圧倒的に容易である
- Oracle Databaseの 様々なエディションが利用できる
- オンプレミスでは追加費用が必要だったデータベース診断用のオプション(Diagnostics Pack)などの機能を、追加費用なしで利用できる
その上で、OCIにExaDB-XSが用意されたことで、既にオンプレミスでExadataを使っているお客様も、より従来に近いイメージでご利用いただくことが可能になりました。
さらに、オラクル社は「Open MultiCloud Era」というキーメッセージを発表しており、異なるクラウドサービスをマルチに組み合わせて利用できる時代を目指しています。例えば、アプリケーションサーバーや周辺サーバー、連携用サーバーなどはAWSにあるが、データベースはOCIにある、というような構成が組みやすくなることを意味します。このキーメッセージの通り、OCIは既にAzure、Google Cloud、AWSとのシームレスな連携ができるようなサービスの提供を開始しています(一部は開始予定を含みます)。
Oracle Databaseとの親和性、ExaDB-XSなどの充実したデータベースサービス、マルチクラウド戦略の取りやすさから、データベースのクラウドリフト先としてOCIを選びやすい環境が整ってきています。
Oracle Databaseを使うシステムでクラウド選びに困っているようであれば、まずはOCIを視野に、ExaDB-XSなどのサービスを検討してみると良いのではないでしょうか。
2.データベースの運用負荷を下げたい
ExaDB-XSはOCIのPaaSであり、Exadataの構築や運用管理の大部分をオラクル社に任せることが可能なサービスです。
これまで必要だったH/W周り、OS周りのメンテナンスや各種パッチ適用などの運用負荷を軽減することが可能です。利用企業の運用部隊は、アプリケーションの適応やシステム最適化の業務に集中することができるでしょう。
データベースの運用・管理範囲
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3.データベースへの業務要件や将来性を考えると、性能や可用性に課題がある
システム構築時によくお伺いする要件は、大量データ検索や同時多発的な業務処理、オンラインバッチとの兼ね合い、様々なシステムとの連携、24時間365日の稼働やBCP要件など、多岐にわたります。それらの要件に伴い、データベースに求められる性能や可用性についても、要求が高くなりがちです。
ExaDB-XSであれば、以下のように高い性能や可用性を実現できます。
- Exadataの機能であるSmart ScanやStorage Indexにより、高い処理性能を実現できる
- 標準で2ノードのRAC構成になっているため、高い可用性を実現できる
- CPU数、ストレージサイズ、ノード構成を比較的抑えながらスモールスタートができ、徐々にリソースを拡張していくことができる
ExaDB-XSは、将来を見据えてExadataを採用したい場合はもちろん、既にExadataをご利用の場合や、Oracle Database Appliance(ODA)からアップグレードしたい場合にもマッチするでしょう。
4.システムリプレースに使える予算が少ない
システムのリプレースには、S/WやH/Wなど基盤の刷新以外にも、様々な費用がかかります。次期システムの要件定義をはじめとした各種設計費、プロジェクト推進のための人件費、アプリケーションの改修費、テストや負荷試験など移行全体にかかる作業費、今後の運用や保守を考えたリリース後の固定費など、挙げだしたら際限がありません。
そのため、データベース製品そのものにかけられる予算が少なくなりがちです。その上Exadataを使いたい場合は、オンプレミスでもOCI上のExaDB-Dの最小構成でも高額になってしまい、採用に至らないケースもありました。
しかし、ExaDB-XSを採用すれば、性能や可用性などの業務要件を満たしながらも、予算を抑えることができます。従来から提供されている「BaseDB」で2ノードのRAC構成を組む時と比較しても、約10%ほどしか価格が変わりません。
RACを必要とする業務要件がある場合は、BaseDBと同じぐらいの予算で、より多くのメリットがあるExaDB-XSも選択肢の一つになり得るのではないでしょうか。
BaseDB と ExaDB-XS の価格差
2ノードのRAC構成を組む場合の価格差のイメージです。約10%の差となります。
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このように、ExaDB-XSはこれまであったBaseDBとExaDB-Dのちょうど間を埋めるようなサービスです。
低コストにもかかわらずExadataの高い処理性能でRAC構成を組むことができるため、システムリプレース時のよくある課題の解決策になると言えます。
OCIが提供するデータベースサービスの選び方
OCIが提供するデータベースサービスは、利用要件によってすみ分けができます。
ExaDB-XSは、ODAのリプレース先、統合DBのクラウド化、クラウド環境でもRACを使いたい、といった要望に適しています。
これまでは予算ありきで構成を決めざるを得ないこともあったかと思いますが、ExaDB-XSの登場によって選択の幅が広がったのではないでしょうか。
OCIが提供するデータベースサービスの選び方
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さらに詳細な違いを知りたい場合は、以下の比較表もご覧ください。
BaseDBは選択できるOracle Databaseのバージョンが3つあるのに対して、ExaDB-XSは最新の23aiのみとなっている点を除けば、概ね構成面で課題になるようなことはないと考えています。
ExaDB-XSやExaDB-Dに関しては、複数CDBや2ノード以上のRAC構成が可能なことなどから、やがて拡張したり複数構成にしたりすることができます。この辺りが差別化要素になってくるのではないでしょうか。
OCIが提供するデータベースサービスの比較
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まとめ
本コラムでは、ExaDB-XSの概要をご紹介しました。
その上で、OCIを提供するベンダーの技術者として、まとめや所感を述べたいと思います。
ExaDB-XSは、クラウド環境でExadataの高性能な機能を手軽に利用できるように設計されています。インフラ共有型であることや、論理的なCPU(ECPU)や抽象化されたストレージ、2ノード構成からスモールスタートできるExadataであることなど、とにかくお客様が優れたデータベースサービスを選ぶ際に価格がネックとならないように考え抜かれたサービスになっていると感じました。
変化するビジネスニーズに迅速に対応する必要がある昨今、この革新的なサービスはインフラ基盤の側面から大きく寄与するだろうと予想しています。Oracle Databaseの先進技術を活用し、データベース管理の未来を切り開くExaDB-XSは、まさに次世代のソリューションであり、これからのクラウド上のデータベースサービスのゲームチェンジャーになると考えます。
ExaDB-XSの詳細が知りたい方は、ぜひ弊社営業までご連絡ください。
具体的な案件がなくても製品紹介などを行えますので、お気軽にご依頼いただければと思います。
参考
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[ コラム ] クラウドサービス後発組ならでは! |
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