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データドリブンとは?注目される理由と成功のポイントを解説

▶POP-UPトップページへ戻る    ▶技術コラム一覧へ戻る    2025.06.12


DXに欠かせない「データドリブン」。
その言葉の意味については概ね理解しているものの、実際に自社で実践できているかというと不安が残る方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、改めて「データドリブンとは何か」を整理し、その実現に向けて押さえておきたいポイントをご紹介します。

<執筆者> 吉野 智士 Yoshino Satoshi

DX技術本部 DX技術統括部 データ活用技術部 課長

1999年世紀末の新卒入社。BI、CMS、SFA、DIと各種製品群の提案/支援に従事。
一貫してデータ収集と分析に関心があり、家計簿、プロ野球、プロテニス、オリンピック、株価、
モビルスーツなどのデータを使って、趣味で分析アプリを作成している。


データドリブンとは?


データドリブンとは「データに基づいて意思決定や行動をすること」です。
アシストでは「ビジネス活動に関わる全ての人が、データに基づき業務を推進すること」と定義しています。

データドリブンは、特定の誰かだけに求められるものではありません。着目すべきデータや視点が異なっていたとしても「データに基づく意思決定や行動をする」という行為自体は、どのような立場や業務であっても必要不可欠です。
その理由は後述の「データドリブンを実現するメリット」でご説明します。

データドリブンに取り組むべき背景


以前からデータ活用が必要なことは認識されていたものの、近年データドリブンがこれほど重要視されているのはなぜでしょうか。
それは、皆様も実感されているように、外部環境が大きく変化していることが背景にあります。

外部環境の変化



上図のような環境の変化に伴い、前例のない課題に直面する機会は今後も増えていくでしょう。
そのような状況では、迅速にビジネス戦略をたて、行動に繋げることが求められます。
ビジネス戦略に基づいてシステムを構築し、日々蓄積されるデータを分析、そこから新たな戦略を生み出す。
この一連のサイクルを短期間で回していくことこそが、データドリブンの実現であり、変化の激しい時代を生き抜くための強力な武器となります。

データドリブンを実現するメリット


データドリブンを実現するとどのようなメリットがあるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

1.根拠に基づいた判断ができる


勘や経験に頼るのではなく、客観的なデータに基づいて判断することで、誰もが同じ基準で行動できるようになります。

例えば、工場で機械を扱っている場合、経験豊富な方であれば「いつもと違う音がしている」などの不調を感じ、故障を未然に防ぐことができるかもしれません。しかし、経験が浅い方であれば見逃してしまう可能性もあります。そのようなケースで「機械の稼働ログやセンサー情報をみて、一定の値を超えた場合はメンテナンスをする」という基準があれば、誰が管理していても故障を防ぐことができるでしょう。

他にも、蓄積されたデータを分析すると、表面化していなかった強みや課題にも気づくことがあります。
その結果、自社への理解が深まり、新しい取り組みやサービスを生み出すきっかけにもなるでしょう。

2.スピーディな意思決定ができる


数値の変動やトレンドをリアルタイムに把握することで、市場の動きに素早く対応できるようになります。
分析結果を商品やサービスに反映することで、競争力の強化にもつながります。

さらに、必要なデータをすぐに確認できる環境が整うことで、各施策の効果をスピーディに評価できます。
スムーズにPDCAをまわし、期待した成果が得られない場合でも早い段階での軌道修正や改善ができるでしょう。

このようなメリットを得られることからも、データドリブンはどのような立場や業務であっても役に立つものだと言えるでしょう。

データドリブンに欠かせない「ストーリー」と3つの視点


データに基づいた判断を行うにはストーリーが必要です。例えば、自動車の速度メーターで確認するデータには「高速道路で時速80㎞を超えたら速度を落とす」などの判断につながるストーリーがあります。
このようなストーリーを的確に伝え、変化に応じて新たなストーリーを試行錯誤することがデータドリブンの実現には欠かせません。

ここではストーリーについて3つの視点で確認してみましょう。

1.可視化


「何が起きているのか」をパッと見て把握することで、判断を促します。
「明確なストーリーが決まっている」ときにダッシュボードなどで可視化すると効果的です。

2.分析


「なぜそれが起きたのか」を解明することで、変化への対応や新たなストーリーへの洞察が得られます。
刻々と変化する状況において「新たなストーリーを試行錯誤する」ための分析は重要です。

3.予測


機械学習や統計アルゴリズムを使用し「これから何が起きるのか」を予測することで、分析をより高度なものにします。

データドリブンに欠かせない3つの視点



カテゴリ 主な目的 主な利用シーン 表現例 具体例
可視化 現状を直感的に把握する 明確なストーリーが決まっているとき ダッシュボード など ・売上推移を折れ線グラフで見る
・地域別の売上を円グラフで見る
分析 原因や関係を明らかにする 新たなストーリーを試行錯誤するとき 各種チャート、相関分析、統計解析 など ・売上が下がった原因を特定する
・顧客層ごとの行動を比較する
予測 将来を見通す これから何が起きるのかを予測するとき 回帰分析、機械学習モデル など ・来月の売上を予測する
・特定顧客が離脱する可能性を予測する


このように「データに基づいて判断する」と言っても、明確なストーリーが決まっているかどうかで視点や判断が異なります。
現状を踏まえて「可視化」「分析」「予測」をどのような業務でどのように取り入れるかを検討しましょう。

データドリブンを成功させるポイント


データドリブンを成功させるポイントはいくつかありますが、中でも重要な2点に絞って見ていきます。

1.データ活用を組織全体に浸透させる


冒頭でもお伝えしましたが、データドリブンは「ビジネス活動に関わる全ての人が、データに基づき業務を推進すること」です。
全ての人を対象とするためには、データ活用を組織全体に浸透させる必要があります。

企業におけるデータ活用は、多くのユーザーを対象にした「可視化」から始まりました。
しかし、データの増大やデータ活用ニーズの多様化により「可視化」だけでなく「分析」まで含めて、組織に浸透させることが重要になってきました。実際にツールやサービスの進化により「可視化」と「分析」がシームレスに組織へ展開できる環境が整いつつあります。

現存するストーリーを可視化し、分析によってストーリーの変化や新たなストーリーの試行錯誤に対応する。
さらに、分析で得た洞察にAIや機械学習などを使用した「予測」も含めて生まれたストーリーを、新たな可視化として実現する。

このようなサイクルを念頭に置き、ユーザーは「見る人」と「分析する人」といった明確な分け方をするのではなく、柔軟に可視化をしつつカジュアルに分析もする人の割合を増やしていく流れが理想です。

データ活用の組織への浸透



2.現場部門がデータを準備する


データ活用の幅が広がり、可視化から分析まで行うユーザーが増えてくると、ユーザーからの要望が高度化・多様化していきます。
そこでよく問題になるのが「データの準備」です。

一般的には、情報システム部門が現場部門のニーズを想定し、あらかじめデータを整備するケースが多いです。
しかし、情報システム部門は現場の業務を全て把握しているわけではないため、“想像で” データを用意せざるを得ないのが実情です。その結果、現場部門が必要としているデータとズレが生じることも多く、再依頼や調整が必要になります。現場部門は「欲しいデータがすぐに手に入らない」ことに不満がたまります。せっかくデータ活用に関心を持った現場部門のモチベーションが下がり、データ活用の浸透が進まず、データドリブン実現の道が遠のいてしまいます。

そこでおすすめしたいのが「アクションの主体であるユーザー自身で、データの準備をする」という考え方です。
よくある役割分担としては、情報システム部門が元データからデータウェアハウスやデータマートを準備し、現場部門はそのデータを活用するという流れです。そこを、情報システム部門はデータウェアハウスの準備までを行い、現場部門でデータの加工やデータ活用を行うという流れに変えてみましょう。

情報システム部門と現場部門の役割分担


現場部門でデータの準備まで行うことで、情報システム部門の工数が削減でき、現場部門もスピーディにデータを入手できるというWin-Winの関係が築けるでしょう。

データドリブンを実現するツール


ここまでデータドリブンにまつわるストーリーやポイントをご紹介しましたが、データドリブン実現のためには、やはりツールの導入が必要になるでしょう。例えば、弊社アシストであれば、以下のようなツールを取り扱っています。

データドリブンを実現するツール(例)
  • エンタープライズレポーティング・プラットフォーム「WebFOCUS(ウェブフォーカス)」
  • データアナリティクス・プラットフォーム「Qlik Cloud Analytics(クリック クラウド アナリティクス)」
  • ユニバーサルAIプラットフォーム「Dataiku(データイク)」


中でも Qlik Cloud Analytics に関しては、先述の「現場部門でデータ準備・可視化・分析を行う」には適しています。
GUIベースで簡単に可視化や分析ができるのはもちろん、現場部門でのデータ準備もサポートします。

Qlik Cloud Analytics の主な機能


データ分析機能の他に、レポート配信や基準値を設けたアラート通知も可能です。
機械学習や生成AI機能も搭載され、今後のデータ活用を後押しします。

Qlik Cloud Analytics のデータ準備のイメージ


このように、データ準備も可視化も分析も得意なツールを使うことで、現場部門でのデータドリブンが容易になるでしょう。

さいごに


データドリブンの実現は一朝一夕で叶うものではありませんが、少しずつ組織に浸透させていくことで「データドリブンが日常に」なっていきます。そのためには、アクションの主体である現場部門がデータ活用の主役となること、そして、現場が必要なデータをすぐに入手できる環境を整えることが重要です。ぜひ、こうした視点からの取り組みをご検討ください。

本コラムでは一例としてQlik Cloud Analytics をご紹介しましたが、お客様のご要望や環境に応じて様々なご提案が可能です。
データドリブンの実現にお悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

参考



[ 動画 ] データドリブンに対するアシストの考えとご支援できること

データドリブンやDXに関するアシストの考え、アシストがご支援できることを、約7分半の動画で確認できます。

・なぜデータドリブンが必要か
・データドリブンの推進に向けたポイント
・アシストがご支援できること

[ コラム ] データドリブンの実現に!データリテラシーを向上させる方法

データドリブン実現の課題となりがちな「人材育成」をテーマに、データリテラシーを向上させる方法をお伝えします。

・データリテラシーとは?
・他国と日本のデータリテラシースキルの差
・データリテラシースキルを向上させる方法

効率的にデータを収集・統合し、現場に必要なデータを届ける「データパイプライン」の構築について、概要や手法をまとめました。

・データパイプラインとは?
・パイプラインの構成要素
・パイプライン構築の手法



 
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