アシストがモバクラをアシスト ~クラウドを肴に秋祭り~
2013年10月3日、市ヶ谷本社で開催されたモバクライベントの内容をレポートします。
「モバクラ」とは、モバイル+クラウドのことです。当イベントでは、モバイルデバイスでのクラウドサービス利用にスポットを当て、モバクラのエバンジェリストやベンダー、ユーザが熱い議論を交わしました。イベントのコンセプトは「カジュアル&リラックス」。パネルディスカッションでは参加者もパネラーもお酒を片手に、ぶっちゃけ本音トークが繰り広げられました。Ustreamに流しちゃって大丈夫だったのでしょうか?当日の様子をレポート形式でお伝えします。
モバイル・クラウド活用全盛期!効果と課題
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トップバッターはモバクラ・エバンジェリストの八子氏が登壇。モバイルクラウドがビジネスに与える大きなインパクトについて熱く語りました。
クラウドはもはや当たり前のこと
国内のクラウド市場の状況について、「クラウド市場は急激な伸びを示しており、クラウドはもはや当たり前のものとなっている。特にアプリケーションレイヤーでの伸びが著しい」と様々なデータを基に紹介しました。
クラウド利用の大きなメリットとして、コスト、調達リードタイム、開発期間の3点に言及し、特に「調達リードタイムは1/1000レベルに短縮される。それによって破壊力のある新たなビジネスが可能となる」と語りました。
スマートデバイスの台頭によってモバイルクラウドへシフトする
PCとモバイルデバイスの販売台数の推移データを提示し、PCの販売台数は頭打ちとなっていること、そしてモバイルデバイスの販売台数が急激に伸びていることを紹介しました。「モバイルデバイスは、コンシューマにおいて急激に普及した。そして、新興国を中心に新たなネットユーザを増加させ、またビジネスの分野においても今後急速に導入が進むだろう」と語りました。また、「モビリティを持って動きまわるものはすべて、モバイルデバイスとなりうる。ありとあらゆるものがネットワークに繋がり、モバイルクラウドの伸びは200%を超えるだろう」と強調しました。
クラウドサービスは、PCだけでなく、モバイルデバイスにも最適化されることが強く求められるようになっていきます。
モバイルクラウドの課題と展望
八子氏が主張するのは「モバイルクラウドによって、デスクワークからクラウドワークへのシフトが可能となる」ということです。働く場所や環境に縛られる必要がなくなり、新しいワークスタイルが広がります。そして、「モバイルクラウドは今までICT化が進まなかった業務を変革する可能性を秘めている。特に建設や飲食、教育等の現場に導入されることでワークスタイルを変革し、生産性拡大をもたらすことができる」と強調しました。
また、モバイルクラウド導入の課題として、企業が導入に失敗する典型的なパターンを紹介しました。代表的な失敗例として、「メールとグループウェアだけモバイルデバイスから使えるようにしたケース」、「リモートデスクトップでシステムを利用できるようにしたケース」などを挙げました。そのようなケースでは、生産性を下げてしまったり、モバイルデバイス自体が全く使われなくなってしまうことがよくあるとのことです。
「モバイルクラウドは携帯電話導入とは実現すべきレベルが違う!」というのが八子氏の主張です。「どういう対象に導入し、何を実現するのかを具体的に検討しなければならない。アプリケーションとワークスタイルをマッチングさせたモバイルクラウドの形を実現しなければならない」と熱く語りました。
クラウドベンダーとユーザの本音トークセッション
続いてはクラウドサービスベンダーとその導入ユーザのトークセッション。台本なし、かつゆったりした雰囲気で行われましたが、おそらく、ベンダー側はユーザ側からどんな本音が飛び出すか、内心ヒヤヒヤだったのではないかと思います。
企業向けオンラインストレージ「GigaCC」
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日本ワムネット株式会社は、大容量データ転送サービスを得意とする企業です。佐川印刷株式会社は、佐川グループの印刷会社で、日本ワムネットのデータ転送サービス「Direct!」、オンラインストレージ&ワークスペース「GigaCC
」を導入しました。
「なぜ自社開発ではなく、クラウドを選んだのか?」、「使い勝手はどうか?」、「無料版もあるが、有料版を選ぶ理由は?」と、トークが繰り広げられました。
統合ビジネスアプリケーション「Knowledge Suite」
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ブランドダイアログ株式会社は、Knowlegde Suite
という、グループウェア、SFA、CRMが統合されたアプリケーションをクラウドで提供しています。Knowlegde Suiteは2,500社以上の導入実績があり、1万人以上が利用しています。
インベスター・ネットワークス株式会社は、企業のIR活動に関するマーケティング支援事業を行っており、IR-nabi、株ナビなどのサイト運営、資本市場の調査/コンサルティング業務などを展開している企業です。
「オンプレミスではなくクラウドを選ぶ理由」、「クラウドに個人情報を含むデータを預けることに抵抗はなかったのか?」、「今後の展望は?」と、トークが繰り広げられました。
クラウド界のリーダー達がしゃべりまくる!パネルディスカッション
さて、ここで本イベントの目玉とも言えるお酒が登場します。参加者もパネラーもビール、ワインを片手にパネルディスカッションが始まります。酔いがまわり気持よく話す谷畑氏と山崎氏、熱く熱くとにかく熱く語りまくる稲葉氏と東郷氏。飲みの席でなければなかなか聞けないような貴重な話が次々に繰り広げられました。
勢いづいたパネラー達を絶妙なバランスで脱線させずにファシリテートする八子氏によって、パネラーも参加者も非常に気持ちよく有意義な時間を過ごすことができたように思います。
「ぶっちゃけた話、クラウドって使えるものなのか?」
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モバイルクラウド導入で遭遇する課題や懸念事項は?
「モバイルクラウド導入で遭遇する課題や懸念事項は?」というテーマで、まず挙げられたのが、「PCで生産性が上がっている人にタブレットを渡すのはハードルが高い」(山崎氏)という意見です。ユーザはモバイルPCで満ち足りているので、タブレットを渡してもなかなか使い所を見出すことができないということです。それに対して稲葉氏も、「ハードウェアだけ配っても絶対に浸透しない。何に使うかを明確に提示し、そのツールとしてハードウェアを配るべき」と主張しました。
他にも、「PCの代わりのデバイスとしてモバイルを使おうとすると、使いづらいしつまずく。」、「情報システム部が反対勢力に回ることが多い。セキュリティポリシーのため慎重になる」(東郷氏)、「ユーザが新しいデバイスになれるまで、一時的に生産性は下がる」(八子氏)というような意見が飛び交いました。
モバイルクラウド化を進める上での成功ポイントは?
「安い!だな!」と声を揃えて稲葉氏と東郷氏。やはりクラウドのコストメリットはインパクトが大きいようです。その一方で、稲葉氏によると、クラウドは簡単に導入できるというイメージが強いが、業務への適用をしっかりやることがポイントだということです。「コンサルティングと合わせて導入することで、システムの定着率が非常に高くなる」と自身の経験から主張しました。
タブレットに関しては、導入したのに活用されないという企業が数多くあります。それに対して東郷氏は、「タブレットがあっても、それに最適化されたインターフェースのソフトウェアがないと浸透しない。リモートデスクトップでの操作が使いやすいとは言えないし、使いたいと思えない」と指摘しました。「株式会社レコモットでは、様々な既存業務システムをスマートフォンに最適化されたインターフェースで、しかもセキュアに利用できるソリューションを提供している」と自社のサービスを紹介しました。タブレットの浸透にお悩みの方はぜひレコモットに相談してみましょう。
八子氏は自身のコンサルティング業務の経験から、「モバイルデバイス導入では、アプリケーションのカバレッジの低さが最大のボトルネックになっている」と指摘しました。「メールやグループウェアがモバイルデバイスで使えるようになったところで、業務で必要となる10~20のアプリケーションが同じように使えなければ、デバイスを使うインセンティブが働かないので結局使われない。全社ですべてのアプリケーションを対応させるのは難しいが、まずは職種別など対象を絞って対応させていくことを検討すべき」と主張しました。
そして話題は、未来のクラウド、未来のデバイスへと展開し、5年後10年後の話へと熱を帯びてゆくのでした。
燃えよ!炎のライトニングトーク
最後はクラウドサービスベンダー各社による、プレゼンテーション大会。持ち時間5分で、各社が自社サービスをアピールしました。総勢10組のプレゼンターが登場し、トータルするとなが~いサービス紹介となったわけですが、個性的なプレゼンターのおかげか、はたまた酔いのおかげか、会場は終始盛り上がり、「それ、うちに営業に来てくれ!」という声もあがるほどでした。
酔いのせいで翌日忘れていなければ良いのですが・・・。