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QlikView事例セミナー
Small Dataの活用によるデータ経営の実践

本稿は、2014年4月24日に東京で開催されたセミナー「いまこそシステムを活用した業務改善とデータ経営の実践を!」において、ジェイアイエヌ様が事例発表された、「Small Dataの活用によるデータ経営の実践~メガネの常識を突き破るJ!NS(ジンズ)の実践事例のご紹介~」の講演録です。

ジェイアイエヌでは、QlikViewを利用した従来のデータ分析に加えて、kintoneで収集する「現場の声」や「業務データ」を紐づけて、仕事に関わるメンバーの協働の促進を実現しています。この取り組みについて実践事例としてご講演いただきました。

講演者情報

株式会社ジェイアイエヌ
業務革新室 兼 eコマースグループ マネジャー
菰田 泰生(こもだ たいき)様

株式会社ジェイアイエヌ
「JINS(ジンズ)」のブランド名で知られるアイウエア事業を展開する株式会社ジェイアイエヌ様。メガネ業界のSPAという世界でも例のない革新的なビジネスモデルの展開により、メガネの最適価格・高品質を実現させ、従来のメガネの常識を突き破ることに成功しています。

QlikView導入の背景


ジェイアイエヌでは、データ分析やBIの運用にあたって、データを分析しただけで終わらせず「必ずアクションにつなげること」を強いポリシーに掲げています。良質で高速なPDCAを回し、全社員がデータを元に判断ができるようなデータ重視の文化を醸成すること、また、最新技術へトライアルすることを重要視しています。それらを実現するために、ユーザの意見や方針の変更等に追従していけるよう、ETLコンポーネントやBI帳票、データモデル管理を内製化するなど、こだわりを持って運用しています。

情報分析系のシステムでは、ユーザである商品企画や調達部門のメンバーに、いかに簡単にスピーディにデータを届けられるかということを追求しています。そのため、情報システム部門がすべてを管轄するのではなく、各部署に情報分析に詳しい人を配置してシステムを運用しています。

ジェイアイエヌは、2011年の12月にQlikViewを導入しました。以前はExcel専用のOLAPを利用していましたが、キューブの作成に手間がかかっていたため、ブラウザベースで簡単に分析できるQlikViewの導入を検討することになりました。選定に至った理由としては、大きく三つあります。一点目は、インメモリ技術により計算速度が早くパフォーマンスが高いこと、二点目はAjaxによりブラウザ・モバイル端末からも利用できること、そして最も重視したのが、三点目の開発容易性です。関連性のあるデータをつなげていく連想技術と、データを追加したい場合にデータ構造を定義する必要がないスキーマレスな点を評価し、導入を決定しました。


QlikViewとkintoneの連携で実現したこと


今回、QlikViewとkintoneを「kintone Connector for QlikView」で連携することで、社内に流通しているデータの中で、現状では活かしきれていないデータを「活用可能なデータ」として分析の遡上にのせることができるようになりました。

図. システム構成


まず、店舗の売上分析スキームが改善されました。今まではPOSデータのみをQlikViewで分析していましたが、kintoneに蓄積される競合店状況や店舗現場の集客や天気、陳列といった情報等も合わせて分析対象にすることで、売上に対する外部・内部要因を含めた正確な把握を実現できるようになりました。その結果、例えばエリア別・月別でしか共有できなかったローカル情報が、全店や月別推移で閲覧できるようになったため、売上の上下動が全店課題なのか、個店課題なのかを切り分けられるようになりました。

今回のkintoneとQlikViewの連携は、構想から実装まで、約3人日という非常に短い期間でリリースできています。今後は、店舗の接客や清掃、陳列などへの指導の標準化ツールとして、エリア統括者のレベルの引き上げとして利用できるのではと考えています。また、データが溜まった段階で、商品以外で店舗の売上に影響を与える要因を絞り込み、重点施策としてPDCAを回していくことを検討しています。

さらに、これはテスト運用中の案件となりますが、Eコマース業務の改善にもつながっています。Eコマース業務では、主に返品・返金管理や、リアルな店舗とオンラインショップのマスタ管理、掲載マテリアルの進捗管理等がありますが、それぞれ別のシステムで管理されていました。そのため、統一的に進捗状況を管理することができず、見えるはずの問題が見えてこないという課題がありました。そこで、返品管理や店舗系マスタ管理、進捗管理をkintoneのアプリケーションとして実装し、QlikViewのレポートに取り込んで表示できるシステムを約一週間弱でリリースしました。各システムの入り口を一元化することで使い勝手も向上し、受注状況やアクセス状況等もトータルに見えるようになったので、今まで業務に関わりが薄かった人でもフロントの業務を意識して動けるようになりました。今後は生産管理情報も可視化させ、人員配置の最適化などもできるようにしたいと考えています。

kintoneとQlikViewにより、これまで報告されていたものの活用しきれていなかったデータが「活用可能なデータ」として価値が上がり、データ化のスピードや精度が圧倒的に改善しました。また、kintoneに由来するデータソースが増えても、QlikViewですばやく可視化できるので、データの横串活用が実現できるようになりました。一番大きな変化は、今まで分析をしたいけれどできなかったデータに対して、まずはやってみよう!という分析に取り組める環境を提供できるようになったことです。


今後の活用について


今後の活用については、kintoneアプリを本格的に作れるユーザが現在一人しかいないので、コアユーザを増やし、よりデータ・ナレッジの表層化を推進したいと考えています。また、kintoneにデータを逆流させ、より多くの業務を網羅できるように適用範囲を拡げるほか、データソースが乱立する中で、QlikView上でのオンライン分析の技を浸透させていき、より深いインサイトを得て業務のアクションにつなげていけるよう展望を描いています。

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