DevOpsユーザー会2022 開催報告
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2022年12月9日にアシスト主催の「DevOpsユーザー会」をオンラインで開催致しました。5月26日に続き2回目の開催です。
今回もマイクロフォーカス社のテスト自動化製品(UFT One、LoadRunner)をご利用のお客様を中心に50名近い申し込みをいただきました。
前回のユーザー会のアンケート「今後のユーザー会に期待すること」をお聞きしたところ、「他社のテスト設計の取り組みを聞いてみたい」とお答えいただいた方が多く、今回は「テスト設計」をテーマにユーザー会の内容を準備いたしました。
◆前回のアンケート結果
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目次
セッション1 「テスト自動化を意識したテスト設計のとっかかり」
最初のセッションは、前回に続き日本ナレッジ加藤様より「テスト自動化を意識したテスト設計のとっかかり」と題しましてご発表いただきました。
多くのお客様の課題であろう回帰テストを自動化する流れについて詳細にご説明いただきました。
セッションサマリ
・テスト自動化とは
テスト自動化によって得られる価値は大きく5つある。「品質向上」「正確性向上」「生産性向上(プロセス改善)」「リソースの柔軟性」「品質の見える化」で、常にビジネス視点でテスト自動化を生かすことを重視する。
・テスト自動化の戦略
ISO/IEC/IEEE 29119シリーズの発行により、テスト業務のプロセス、テスト技法の考え方が整理された。品質特性を踏まえたテスト作業を行うには、 SQuaREシリーズの知識は必要不可欠である。テスト自動化で対応する品質は「機能適合性」「性能効率性」「信頼性」である。
・回帰テストの自動化手法
自動化用の試験仕様書の作成にあたって、ユーザーシナリオベースで作成することが重要である。逆にマニュアルベースの試験仕様書作成は、スクリプトの本数が多くなり、保守性・再利用性・管理の検討が必須となるため、自動化が陳腐化することがある。
・システムテストの自動化
システムテストの自動化フローは7つのステップで構成される。
・まとめ
テスト自動化を進めるには、テストプロセス改善を意識しないと短期的な取り組みとなる。リソース・教育・コストの計画立案が必要である。
日本ナレッジ株式会社
加藤 大受 様
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QAコーナー
Q.
テスト自動化を行うために、企画・計画を行ったとしても実務(保守)メンバーでの工数がとれないのが我々の課題です。啓蒙として、保守を担っている課長さんレベルへのアプローチとしてよい案はありませんか?
A.
計画段階から自動化の必要性、メリットを説明し、あらかじめ工数を見積もっておくことが必要。テスト自動化はコスト削減に加え、「時間を買う」という観点もメリットとしてとらえる。
また自動化の効果を常にレポートする(動画をとって見れるようにしておくこともよい)ことも必要。
Q.
品質特性とテスト自動化の関係性について教えて下さい。
A.
一般的に考えると関連性が無いように思えるが、OSパッチ適用、ソースコードの改修では求められる品質が異なる。ソースコード変更の場合は「信頼性」、環境が変わった場合は「移植性」といったようにどの品質をターゲットにエビデンスを取りたいかを考えて自動化することが必要。
セッション2 「テスト設計と自動化の取り組み」
2つ目のセッションは、ユーザー事例としてマネックス証券竹中様より「テスト設計と自動化の取り組み」と題してご発表いただきました。
2008年に基幹システム内製化を開始し、2017年に全ての口座を内製基幹システムへ移行されたマネックス証券様におけるテスト設計、テスト自動化の取り組みについてご説明いただきました。
セッションサマリ
・基幹システムの開発・運用の内製化
システムを内製化することの狙いは、「自由で早い開発」「アイディアの流出防止」「ノウハウの蓄積」「コストの抑制」の4つである。2012年に内製開発をスタートさせ、2017年にシステムを切り替え、それ以降はシステムを拡張している。
・テスト設計の取り組み
内製開発体制の成熟とともに、2020年に品質保証チームを立ち上げ、経験則を元にしたテスト活動をアカデミックな目線で高度化・深化させた。開発エンジニアからテスト設計・実施を独立させ、テスト設計者目線で、上流工程からプロジェクトに参画させている。
・テスト自動化の取り組み
テスト網羅性不足の課題を検出し、2017年にテスト自動化の取り組みを開始。2018年大型の制度案件(株式の決済期間短縮化)にてUFTの利用を開始。テスト自動化資材の陳腐化という課題にぶつかりながらも、改善を重ね継続的テストの実行環境を構築する。
・まとめ
テスト自動化はゴールでなく品質担保のための手段のひとつ。自動テストは繰り返してはじめてペイする。「テスト自動化」は終わりではなく、継続的な実行とメンテナンスまで考えることが重要。
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QAコーナー
Q.
スマートフォンのテスト自動化はおこなっておりますか。
A.
PC上でChromeエミュレータ機能(Webブラウザのスマホビュー)を使ったテスト自動化は行っている。 テスト実行環境をどう作るかについて検討した上で、実機を使ったネイティブアプリのテスト自動化に取り組む予定。
Q.
内製化に取り組むにあたって、どのようなスキルチェンジが必要だったか。特にテストに関する部分について教えて下さい。
A.
開発ベンダーを訪問し、開発現場の理解に努めた。テストについては、JSTQBといった資格をとって現場の取り組みの標準化や高度化にも取り組んでいる。
セッション3 「アシストのDevOps推進ソリューション」
3つ目のセッションは、アシスト矢野より「アシストのDevOps推進ソリューション」と題して、アシストのDevOpsへの取り組みについて発表いたしました。
セッションサマリ
・ソリューション全体像
アシストはツールとサービスを組み合わせて、圧倒的なスピードで高品質なアプリケーションをリリースし続ける活動を支援。
開発、運用の両方の工程において、ワークショップを使った課題整理、ツールやサービスを通してお客様の課題を解決を目指す。
・テスト設計に関する課題
今回のテーマでもあるテスト設計について、テストシナリオの選別をアプリケーション影響調査ツール(ChangeMiner)を使った方法について説明。
その他よくある課題として、シフトレフトセキュリティ、アプリケーションデリバリー自動化、アプリケーションチューニングをご紹介。
・今後予定のサービス
CI/CDをこれからスタートさせる、もしくはスタートし始めたお客様に対して、各種勉強会、CIハンズオン、CI/CD環境構築合同支援についてご案内。
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特別講演 「世代を超えて歩み寄るコミュニケーション
~オトナと若者は共に職場を創れるか?~」
特別セッションでは、ツナグ働き方研究所 所長 平賀様より「世代を超えて歩み寄るコミュニケーション」と題してご発表いただきました。
若者の「脳内=ホンネ」を理解しながら、若者、オトナ世代を超えて歩み寄るコミュニケーションメソッドについて解説いただきました。
セッションサマリ
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若者&組織コミュニケーション研究家
Firagatti Lab代表
ツナグ働き方研究所 所長
平賀 充記 様
アンケート結果
ご参加いただいたユーザー様からは、以下のようなコメントを頂戴しております。
「弊社はモバイル(スマートフォン)のテスト自動化に取り組んでいて、環境についての話題があり、ぜひこの件は、他社のかたとも情報交換してみたいです。 」
「本日は貴重なご機会を頂きありがとうございました。最後のコミュニケーションに関する講演も含め参考になりました。」
今後ともユーザー会にてお客様の有益な情報をお届けします。またユーザー同士の情報交換の場も設けたいと思いますので、次回も是非ご参加ください。
執筆者情報:
矢野 英也
システム基盤技術本部 技術1部2課
2001年 アシスト入社
入社後、一貫して品質管理製品のプリセールス、ポストセールス
(トレーニング、導入支援)を担当
JSTQB Foudation Level
Certified ScrumMaster® (CSM®) 資格所有