金融機関のクラウドシフトを支えるiPaaS
シンプル・安全なデータ連携基盤をHULFT Squareで構築
株式会社山陰合同銀行
- 導入製品/サービス…
- HULFT Square
|
島根県松江市に本店を置く地方銀行の山陰合同銀行は、10年後を見据えたDX戦略を推進しています。本格化するクラウドシフトに伴い、クラウドとオンプレミスに分散するシステム連携の仕組みの見直しを迫られました。iPaaSのHULFT Square を活用することで、シンプル・柔軟かつセキュリティの高いデータ連携の仕組みを実現しています。 |
|
|
「クラウドへのシフトが進む中、10年後を見据えたデータ連携基盤が構築できました。システムの変化にも柔軟に対応できるiPaaSのHULFT Squareは、アジリティを高めていくために欠かせないツールだと感じています」
株式会社山陰合同銀行 IT統括部デジタル改革グループ グループ長 米原 崇義 氏
課題/背景
- クラウドの利用が進む中、クラウドサービスと行内のオンプレミスのシステム間でのデータ連携が必要になった
- DXの加速に向けてアジリティを高めるため内製化を推進
- 金融機関は多くのシステムを保有しており、システム間のデータ連携はセキュリティの担保が必須
対策
- クラウドサービスとオンプレミスのシステム間連携を、既存のHULFTによるファイル転送をそのまま活かしつつAPIベースにシフト
- ノーコード/ローコードでデータ連携処理を開発できる基盤を採用
- 行内環境とクラウドデータの中継役をiPaaSにすることで、セキュリティリスクを低減
効果
- SaaSのシステムとオンプレミスのシステム間のデータ連携を短期間で実装
- 将来的にクラウドサービスが増えた際にも柔軟に対応できるデータ連携基盤を構築
- データ連携の経路をHULFT Squareに集約したことで、攻撃対象領域(アタックサーフェス)を増やさずに連携システムの拡張が可能になった
HULFT Square選択による3つの効果
|
システムのSaaS化に伴い急務となった新たなデータ連携の整備
山陰合同銀行は島根・鳥取の両県を中心とした山陰地方を代表する地方銀行として、堅実な経営を通じて地域経済の発展を支えてきました。昨今では、中期経営計画のもとでDX戦略を推進。「デジタルな銀行への変革」を遂げるべく、最新技術を幅広い分野で導入していこうとしています。
個人顧客向けのアプリの機能強化や、法人顧客向けサイトの提供によるデジタルを用いた顧客サービスを強化するほか、デジタルマーケティングでの事業領域の拡大を図っています。
デジタル改革グループでは、行内の生産性向上と業務改革をミッションにAIの活用や内製化に取り組んでいます。IT統括部デジタル改革グループ グループ長 米原 崇義氏は、同行のクラウド活用について次のように語ります。
![]() |
---|
米原 崇義 氏 |
米原氏
クラウドをより高度に使いこなしていくため「様々な業務のクラウドサービス移行を前提としたアーキテクチャの提供」、「データ基盤の整備」、「行内環境と行外環境でのシームレスな情報連携の実現」の3つを基本方針とする取り組みを進めています。
クラウドの本格活用が進む同行では、これまでオンプレミスで利用していた人事システムに関して、バージョンアップを機にSaaSへ移行。さらにコンタクトセンターシステムについても、新たに導入したSaaSへのリプレースを図っています。
ただし、そこでは課題もありました。クラウドサービスに移行した上記の2つのシステムと、オンプレミスに残っているシステムとの間で、データ連携の方法を見直す必要に迫られたのです。
米原氏
元々オンプレミスで構築・運用してきた両システムは、それぞれファイルベースで他システムと連携していたため、同じ仕組みをクラウドサービスとの間に適用するのは困難です。よりシンプルかつ標準的な仕組みを活用し、IT統括部内の限られた人員でも効率的に運用管理できるシステム連携の仕組みが必要だと考えました。
オンプレミスとクラウドの相互連携を実現するiPaaSに着目
クラウドサービスとオンプレミスのシステム間の連携を実現するにあたり、同行は当初、別の用途で既に導入していたEAIツールを利用することも検討しました。しかし、今後も新たなクラウドサービスの利用が拡大していくことが予想されています。オンプレミス側のシステムから見れば、連携するクラウドサービスが増えるたびに、外部への接続経路が増えることになります。
米原氏
システム間の接続経路ごとに個別に不正侵入防止などの対策を講じる必要があります。経路が増えることはアタックサーフェス(攻撃対象領域)の拡大にもつながり、新たなセキュリティリスクとなりかねません。また、オンプレミスで運用するEAIツールは、それ自体の運用管理や保守も必要であり、システムの複雑化が懸念されました。
![]() |
---|
田中 建伍 氏 |
そこで同行が注目したのが、複数のクラウドサービスやオンプレミスのシステムで運用されているデータ連携を一元的に管理し、より少ない手間で相互連携を実現するクラウドサービスiPaaS(Integration Platform as a Service)です。同行は複数のiPaaS製品を比較検討した結果、アシストから提案されたHULFT Squareを選定しました。選定理由をデジタル改革グループ 副調査役の田中 建伍氏は次のように説明します。
田中氏
製品選定に際して、当行が要件としたのは、今後のクラウドサービスの拡張も見据えて他システムとの柔軟なデータ連携を実現する様々なコネクターを用意していることです。また、システム構成の変化にあわせてIT統括部による内製でも素早く対応できるように、ノーコード/ローコードで変更を行える点も重視しました。単純に機能面を比較したならば他にも候補となる製品はありましたが、リーズナブルなコストでこれらの要件を満たせることが決め手となり、HULFT Squareの選定に至りました。そして、行内の多くのシステムでファイル転送ツールの「HULFT」を利用していますので、HULFTによるファイル連携がそのまま活用できることも評価していた点です。
APIを基本としたシンプルな連携を実現
こうして2024年に導入されたHULFT Squareは、2つのクラウドサービスと行内のオンプレミスのシステムとの間で、狙いどおりのシンプルなデータ連携を実現しています。また、複数のシステム間連携の中継役をiPaaSに集約することでアタックサーフェスの拡大を防ぎ、セキュリティを担保しています。
田中氏
先行して連携が完了した人事システムは、次のように実現しました。オンプレミスの情報系システムで管理されている従業員の出退勤データをSaaS型人事システムに渡す際、まず「HULFT」を介して対象者のデータをHULFT Squareに集め、HULFT SquareからAPIを通じてアップロードする形態をとっています。
逆に各従業員の職位や有している資格など、SaaS型人事システムで管理されている情報を参照する際には、HULFT SquareのAPIを通じてダウンロードのリクエストを出し、受け取ったデータをまたHULFTを介してオンプレミスのシステムに配信します。
続いて構築したのが、クラウド上のコンタクトセンターシステムと、オンプレミスのシステムの連携です。
田中氏
勘定系オンラインシステムで管理しているリアルな顧客情報や残高情報などを、HULFT Squareを通じてAPI経由でコンタクトセンターシステムに受け渡すことで、お客様の問い合わせに対してスムーズに対応できるようになります。
|
同行では、実際に開発するまでは想定どおりに繋がるか不安な面もあったといいます。しかし、懸念は全くの杞憂に終わりました。
田中氏
クラウドとオンプレミス間の接続でも特に難しい点はありませんでした。開発した担当者からは「データ連携の手続きをノーコード/ローコードベースで簡単に定義できるので、とても便利でメンテナンス性も向上します」という声があがっています。
実際、想定よりも早く構築できた点も大きな驚きであったと振り返ります。
田中氏
実は社内手続きの都合で、HULFT Squareの利用開始が遅れました。スケジュールにも遅れが生じることを覚悟していたのですが、当初の予定どおり8月に人事システムをカットオーバーできました。コンタクトセンターシステムも10月に稼働を開始しています。
とどまることのないクラウドシフトの中で高まるiPaaSの重要性
生産性向上・業務改革を推進する中、同行のデータ連携について米原氏は次のように振り返ります。
米原氏
オンプレミスで全てのシステムを運用していた当時は、データ連携はファイルベースが基本であり、前後の処理を含めた個別のインターフェース開発が必要でした。HULFT Squareによってクラウドとオンプレミスに分散したシステムの間でも、APIとデータベースを基本としたシンプルな連携が可能となりました。
iPaaSへの今後の期待について米原氏は次のように語ります。
米原氏
今後、新たなクラウドサービスを追加する際にも、データ連携に費やす工数は大幅に削減されると見込んでいます。HULFT Squareの採用により、10年後を見据えたデータ連携基盤が構築できました。システムの変化にも柔軟に対応できるiPaaSのHULFT Squareは、アジリティを高めていくために欠かせないツールだと感じています。
新たな技術を活用しながら、山陰合同銀行は着実に「デジタルな銀行への変革」への歩みを進めています。
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 株式会社山陰合同銀行 |
---|---|
本社 | 島根県松江市魚町10番地 |
設立 | 1941年7月1日 |
創業 | 1878年12月1日 |
URL | https://www.gogin.co.jp/ |
従業員数 | 1,780名(2024年10月現在) |
取材日 | 2024年9月 |
関連製品/サービス
HULFT Square
HULFT Squareは、iPaaS(Integration Platform as a Service)の分野に位置する製品です。データ連携処理の開発と運用を高度なセキュリティのもとにフルマネージドで容易に行うことを可能にします。 ベンダーの異なるクラウドサービス間やクラウドとオンプレミス間のデータ連携を一元的に管理し、それらデータをビジネスに活用するため、システム同士を「つなぎ」ます。これにより、企業のデータサイロ化問題を解消し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を強力に支援します。
- データ連携を一元化、セルフサービスで拡張可能
- クラウド同士・オンプレミスとクラウド間のデータ連携を容易に
- 高度なセキュリティと充実のサポート体制でDX推進をサポート