Gleanによる“横断検索×生成AI”で業務を改革!
サポートの効率化と高度化でお客様満足度の向上を目指す
株式会社アシスト
- 導入製品/サービス…
- Glean
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アシストのサポートセンターでは、日々のお問い合わせ対応だけでなく、新しい技術の調査や導入にも積極的に取り組んでいます。2023年3月から、生成系AIを業務へ適用するための検証を開始しました。社内に蓄積されたナレッジをベースに、「Glean 」で情報の共有と生成AIの効果的な活用を実現。お客様満足度の向上に向けた活動、サポート業務のスピード化、サポートエンジニアの育成など、多方面での活用を推進中です。 |
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「お客様環境を理解してサポートを行う事は困難な課題でしたが、Gleanはそれを補うのに十分な情報を提供してくれました。今回の施策の効果測定と改善を繰り返しながら、Gleanをパートナーとしてサポート業務をカスタマーサクセスに昇華させていきたいと考えています」
株式会社アシスト サポートサービス技術本部長 執行役員 高木 季一
課題/背景
- サポート業務の効率化と高度化を目指し、ChatGPTの検証を実施
- ChatGPTの回答レベルのばらつきや情報漏洩リスクの観点から業務へ適用しきれずにいた
- ファインチューニングを行うも、意図した回答レベルを満たせずプロジェクトが難航していた
対策
- 社内に蓄積された情報を横断してクロールできるGleanのエンタープライズサーチ機能と生成AI機能を活用
- サポートエンジニア同士で活用ナレッジやプロンプトを共有する体制とすることでGlean利用定着率を向上
- サポートシステムのUI上からGleanを呼び出す方法で、スピーディーにお客様情報を取得できる環境を構築
効果
- Gleanの利用開始2ヵ月後には80%以上のサポートエンジニアが業務に欠かせないツールとして活用
- 社内情報やナレッジの検索網羅性の向上と確認時間の短縮、生成AIでの文書案の利用などにより、調査スピードや回答文作成スピードが向上
- 過去の問い合わせやアンケートの事前確認の推進により、背景を意識したサポートがより定着し、お客様の満足度評価も向上
ChatGPTへの期待と挑戦。そして導入に向けての課題
アシストのサポートセンターでは、製品の利活用や課題発生時のお問い合わせを年間約4万件いただいており、主要製品は約200名の専任のサポートエンジニアが対応しています。また、問い合わせ対応だけでなく、お客様の自己解決を促進するFAQサイトの構築、他にもブログやユーザー会などの取り組みも行っています。
サポートサービス技術本部 (Qlik担当) 課長 平 拓郎 |
新しい技術の調査や導入にも積極的で、2022年12月の公開以来社会現象ともなったChatGPTの業務への適用を検討し始めたのは、2023年3月のことでした。
平
ChatGPTを利用することによって、サポート業務の効率化と高度化が図れるのではないか。さらに、先輩によるマンツーマン指導の代わりとなり、育成も加速できるのではないかと考えていました。
5月にはAIに知見があるAI技術部の力を借りプロジェクトを発足。まずはデータ活用分野で問い合わせ数が多い2製品を対象にした実証実験がスタートします。しかし、検証開始して直ぐに、情報漏洩リスクの観点から社内ナレッジや顧客情報を利用できないという壁に阻まれました。お客様向けに公開されているFAQのナレッジに限定して行った検証の結果は、残念ながら期待からほど遠いものでした。
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土井
私が担当する製品は、インターネットに流通する情報量が少ないこともあり、ChatGPTからの回答精度は期待を大きく下回るものでした。それだけでなく誤った情報がさも正しいかのように返答されるハルシネーションも発生したため、社内ナレッジが使えないなら業務への適用はできないというのが正直な感想でした。 |
社内ナレッジを活用したChatGPT利用をGleanで実現
ファインチューニングを断念した直後、アシストで取り扱いを開始したばかりの「Glean(グリーン)」に、ChatGPTを連携させた回答生成機能がリリースされるというニュースが入ってきました。
Gleanには、外部の情報源だけでなく、企業内部に蓄積された社内ナレッジも一元的に検索可能なエンタープライズサーチ機能があります。ユーザーの権限に基づいて情報を総合的に収集(クロール)し、必要なデータを迅速に提供することで、知識の活用を促進します。
平
GleanでChatGPTの機能が使える、生成AI機能が強化される、これこそ、私たちが求めていた社内ナレッジや顧客情報を使った生成AIの活用方法だと思いました。
土井
実際に活用したところ、社内にナレッジが存在するお問い合わせであれば、かなりの精度で回答が得られるようになりました。また、チャット機能で対話することで若手メンバーの壁打ちにも使え、育成面でも役立つことが分かりました。
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サポート業務における有意性の検証にABテストを実施
Gleanが社内情報を用いて回答を生成でき、サポート業務への活用の目途が立ったため、その利用効果を定量測定するABテストを計画し、実施しました。
ABテストの主な目的は、サポート業務へのGleanの組み込みが調査時間の削減や回答の品質向上にどれほど貢献するかを定量的に明らかにすることです。
具体的な方法として、サポートエンジニアをA群とB群に分け、調査時間や回答の精度に有意性が見られるかを検証。A群はGleanを利用して問題への調査・回答作成を行い、B群はGleanを使用せず従来のリソースで調査を実施しました。
しかし、予想に反し、両群間で期待したような定量的な有意性を示す結果は得られませんでした。その原因を分析したところ、Gleanへの問いかけ方(プロンプトスキル)にばらつきがあることが明らかに。結果として、回答スピードや品質向上が一様には実現しないという結論に至りました。
Gleanを活用して業務改善を進めるためには、個人のスキルに依存しない、プロンプトスキルを向上させる仕組みの構築も必要であるという重要な学びが得られたと言います。
サポート業務の中でGleanの適用箇所を追求
ABテストの実施と並行して「お客様に届けるサポート価値」をGleanによってより高める方法も検討しました。
平
過去のお客様アンケート結果からヒントを得るため、お客様の満足度に影響が大きいアンケート項目を分析しました。すると、回答スピードよりも「問い合わせされた背景や質問の意図」を正確に理解して対応することの方が満足度との相関が高いことが判明しました。そこで、過去の問い合わせやアンケートを活用してお客様を深く理解するためのアプローチを考えました。
アシストの社内には、お客様ごとのシステム情報をはじめ、製品の利用目的や利用業務についてこれまでのサポートのやり取りの中で蓄積された情報があります。それらの情報をGleanで瞬時に引き出し、対応しているお問い合わせの背景を理解したうえで回答できれば、短時間での解決につながるだけでなく、お客様の満足度も同時に向上できる、そのような活用を構想したと言います。
土井
ある時、サポートエンジニアがサポートシステムのUI上から画面遷移をすることなく、顧客の過去の問い合わせや関心事項を瞬時に把握できるようになる仕組みを考え出しました。この革新的な仕組みによって、業務の一連の流れとして、「お客様情報を見る」ようになりました。これによりお客様理解を迅速化し、よりパーソナライズされたサポートを提供することを可能にしました。
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サポートエンジニアの80%がGleanをサポート業務に必要なツールとして活用
業務適用へのさらなる活路が見出せたその最中、同年9月の経営判断により、Gleanを全社で利用する方針が打ち出され、プロジェクトを後押しすることになります。
サポートセンターでは本方針を受け全社利用にあわせ、プロンプトスキルによって得られる回答にばらつきがあるといった課題を解決するための施策を実施しました。
平
重視したのは成功体験の共有です。実際にGleanを活用して効率化を実感したサポートエンジニアからのフィードバックや、入力したプロンプトを積極的に共有していきました。共有した情報には、事例確認、サンプルコードの作成・修正、回答作成に関する効率化、施策の壁打ち、お客様理解の支援などの経験が並びます。この活動により、現場の利用が促進され、使うコツの理解が深まり、その活用度は徐々に向上していきました。
2ヵ月後には、サポートエンジニアのうち80%以上がGleanを業務に欠かせないツールとして認識しています。
導入前の前年同時期と比較して、ケースにおける初期調査時間、コンタクト回数、クローズまでの期間の削減や、アンケートにおける総合満足度の改善が確認できています。特にアンケートは、マクロな見方だけではなく、お客様からご指摘頂いた改善点をGleanを通して理解し、サポート対応の改善が見られることは特筆すべきことだと感じています。
Glean活用推進による、今後への期待
プロジェクトは終了しましたが、Gleanの活用幅をさらに広げ、アシスト全体としてさらなるカスタマーサクセスを目指すためにもサポートセンターでのチャレンジは今後も続きます。
平
サポートのKPIをチーム・個人観点でチェックし、サポートエンジニアの意識調査を行うなど、継続的な効果測定と改善を重ねて行きたい。
また、Gleanの回答精度を維持・向上するためには、社内ナレッジの情報鮮度と量を充実させることが重要になるので、この取り組みを進めていきたいと考えています。
サポートセンターを統括する執行役員の高木季一は、今後の期待を次のように語ります。
高木
お客様ごとに専任のサポートエンジニアをつけるわけにはいかないので、「お客様環境を理解してサポートを行う事」は困難な課題でした。Gleanはそれを補うのに十分な情報を提供してくれます。今回の施策の効果測定と改善を繰り返しながら、Gleanをパートナーとしてサポート業務をカスタマーサクセスに昇華させていきたい。200人の知恵を集結させれば、業務を大きく変革できると期待しています。
※冒頭写真は、株式会社アシスト サポートセンター生成AI活用プロジェクトのメンバー
写真上段(左より)土井 淳史、鈴木 達貴、高木季一、佐藤 彰広、山本 耕也
写真下段(左より)平 拓郎、鈴木 智美、中尾 昭彦、野村 輝淑
- ※本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 株式会社アシスト |
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本社 | 東京都千代田区九段北4-2-1 |
設立 | 1972年3月 |
URL | https://www.ashisuto.co.jp/ |
従業者数 | 1,337名(2024年4月現在) ※グループ会社含む |
取材日 | 2024年3月 |
関連製品/サービス
Glean
Gleanは、企業向けのインサイトエンジンです。Gleanの検索窓から、Microsoft 365、Box、Google Workspace、Slack、Salesforceなどを横断検索して、瞬時に知りたい情報を探し出すことができる、エンタープライズレベルで生成AIを最大限に活用できるAIプラットフォームです。アシストは日本初のGleanのパートナーです。
- 生成AIベースのエンタープライズサーチ
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