「JP1のジョブ運用データ活用」でインフラ部門と開発部門共同のデータドリブン型の運用を実現
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三菱ケミカルホールディングスグループのIT関連事業を担う三菱ケミカルシステムは、1日20万件以上のJP1 のジョブの運用状況を可視化するため、SaaS型運用イベント分析プラットフォーム「千里眼SaaS 」を導入しました。千里眼SaaSはJP1のジョブ運用データの傾向分析による障害の予兆検知だけでなく、インフラ部門とアプリ開発部門が共同で利用するコラボレーション基盤として、攻めのデータドリブン型の運用に活用されています。 |
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導入のPOINT
1.ジョブ運用データの可視化・分析で、20万件を超えるJP1のジョブの安定運用を担保
2.JP1のジョブの運用状況を予実績分析することで、障害の予兆検知を可能に
3.インフラ部門とアプリ開発部門共同で千里眼SaaSを活用する「改善のコラボレーション」の体制を確立
課題
- グループ全体でJP1ジョブ管理製品を標準的に利用するために、状況を可視化し効率よく管理する手段が必要
- JP1の仕様や制限を超えた利用の確認など、ジョブ管理基盤としての安定性やリスクを可視化したい
- アプリ開発部門独自でジョブを分析していたが、工数が膨大で障害対応が後手に回ることがあった
対策
- 千里眼SaaSを導入し、グループ全体のJP1のジョブ稼働状況を自動的に可視化し分析する基盤を構築
- ジョブ実行予実績データ活用によるトラブル予兆検知の仕組みを提供
- インフラ部門とアプリ開発部門がジョブ運用に関する情報交換や交渉に、千里眼SaaSのレポート画面を利用し情報を共有
効果
- ジョブ運用状況の迅速な分析が可能となり、障害時の対策立案のスピードが向上し、分析による予防保守の取り組みで、障害の削減も実現
- 客観的なデータを活用するデータドリブン型の運用の実現で、インフラ部門とアプリ開発部門でのジョブ運用の検討が円滑に進行
改善のコラボレーション
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運用のデジタル化によって「プロアクティブな攻めの運用」を目指す
三菱ケミカルシステム株式会社(以下、三菱ケミカルシステム)は、株式会社三菱ケミカルホールディングスを持ち株会社とする三菱ケミカルホールディングスグループの中で、唯一のIT機能会社としてグループ全体のIT関連事業を一手に担っています。国内外で500社以上のグループ企業、約7万人の従業員を抱える巨大企業グループのIT基盤を支えてきた同社は、これまで数多くの大規模かつ高難度のプロジェクトを成功に導いてきました。
芦田 尚樹 氏 |
現在同社は、グループ全体のICT戦略の策定およびその中長期計画の立案など、上流工程の取り組みにこれまで以上に力を入れるとともに、グループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の役割も担っています。その一環として現在重要視しているのが、「運用のデジタル化」です。同社 理事 ICTインフラ事業部 インフラサービス部長 芦田尚樹氏は次のように述べます。
芦田氏
弊社は5年前からISO20000に準拠したITサービスマネジメントを導入し、認証も取得しています。この取り組みの中で運用プロセスを標準化し、PDCAサイクルを回すことでシステムのトラブル件数を減らしてきました。しかし細かなトラブルを根絶できず、いわば「頭打ち」状態でした。そこで、クラウドサービスなどのプロダクトを活用し、高度な運用のデジタル化を進め、トラブルが起きてから対処するのではないプロアクティブな「攻めの運用」を目指したいと考えていました。
グループ全体のジョブ運用データを可視化し問題の早期発見ができるツールを模索
現在三菱ケミカルホールディングスグループでは、ジョブ管理をJP1で統一し共通基盤化しています。そしてJP1の運用は三菱ケミカルシステムの専門チームが一手に引き受け、サービス提供しています。このようにグループ全体でジョブ管理製品や人材を標準化することで運用業務の属人化を防ぎ、効率的かつ質の高いジョブ管理業務を実現してきました。しかし、同社 ICTインフラ事業部 インフラサービス部 グループマネジャー 並木秀則氏によれば、標準化の効果をさらに引き出すためには、共通基盤の状態を簡単に可視化できる仕組みが必要だったと言います。
並木 秀則 氏 |
並木氏
インフラ運用の観点として、CPUやメモリ使用率の監視だけではなく、「イレギュラーな作りのジョブがないか」「限界を超えたジョブを登録していないか」とか、ジョブ実行が特定の時間帯に集中していないかなどジョブの観点でもグループ全体に渡って監視し、改善提案をする必要があると考えました。それには「可視化」により監視のクオリティと効率をさらに高めることが重要であり、実現すればジョブ運用の問題を早期に発見しトラブルを未然に防げるだろうと、可視化ツールを探しました。
そんな折、アシストから提案を受けたのが、JP1の運用データの可視化・分析に特化したSaaS型運用イベント分析プラットフォーム「千里眼SaaS」でした。
1日20万以上のグループ全体のジョブ運用データの活用で、問題の早期発見を実現
千里眼SaaSの提案を受けた際の期待を、同社 ICTインフラ事業部 インフラサービス部 佐々木和人氏は次のように語ります。
佐々木 和人 氏 |
佐々木氏
アシストの運用に関する知見や、弊社や他のJP1ユーザー様のサポートから得たノウハウが製品に実装され、テンプレートとして我々も使えるようになるという点が魅力でした。またSaaSなので将来利用部門が拡大しても、JP1の台数やジョブ数に依存せずに柔軟にサービス展開できる点もポイントでした。
こうして、まずインフラ部門で利用を開始しました。同社は、1日20万以上のジョブが実行されているため、共通基盤やジョブの異常発生後に対応する「受け身の運用」の改善が必要でした。また、ジョブ異常時の原因切り分けやジョブ実行の健全性評価に膨大な手間も掛かっていました。しかし千里眼SaaSは、データを自動的に可視化するため、レポート作成から健全性評価の工数を約8割も削減できました。また、JP1の仕様や制限を加味した「ジョブ実行数」や「データベース稼働状況」といった指標を設定し分析することで、インフラのトラブル予兆の早期発見につながりました。現在はITサービスマネジメントプロセスに沿った定期的な評価活動が定着しています。
その後、アプリ開発部門でも、担当アプリの可視化手段として千里眼SaaSの利用を始めました。同部門では、毎週インフラ部門からジョブ運用データ40万件を受け取り、最低限必要な箇所のみ抽出し手動で「ジョブ遅延の有無」「普段と違う挙動」などを分析していました。この作業を千里眼SaaSで代替したところ、抽出も必要なく全データの分析時間を従来の約3分の1に抑え、多角的かつ俯瞰した分析でリスク把握ができるようになりました。
インフラ部門とアプリ開発部門のコラボレーションによる運用改善
アプリ開発部門では、千里眼SaaSを使ったトラブル予兆検知の取り組みも進めています。同社 ERPシステム事業部 ERPシステム5部 小山健氏は、取り組みを次のように説明します。
小山 健 氏 |
小山氏
千里眼SaaSにはグループ全体のジョブ運用データが保管されているので、RPAで自部門データだけ毎日抽出し、独自に管理しています。蓄積したデータを分析してジョブ実行時間の「しきい値」を割り出し、千里眼SaaSが示す値がしきい値を超えたら、管理者にアラートを通知する仕組みを構築しました。
アプリ開発部門では今後、この予兆検知の仕組みをインフラ部門と共有し、全社規模に横展開していきたいとしています。またインフラ部門でも、アプリのジョブ実行負荷が高い場合、千里眼SaaSのレポートをアプリのオーナー部門に示し、リソース拡張やジョブ実行数の調整などをスピーディに判断し、提案できるようになりました。こうした千里眼SaaSを軸としたインフラ部門とアプリ開発部門のコラボレーションにより、運用現場では日々改善が進められています。
今後の希望として、芦田氏は次のように語りました。
芦田氏
千里眼SaaSは汎用的なレポーティングや分析機能も強力ですから、今後はJP1以外のデータも取り込んで、より分析の精度を上げていきたいですね。アシストは多種多様な製品ポートフォリオをお持ちですから、ぜひ弊社の「攻めの運用」に寄与できるソリューションを今後も提案いただければと思います。
- ※ 本事例は取材時の内容に基づくものです。
- ※ 製品内容は、予告なく変更される場合があります。
- ※ 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
千里眼SaaSサンプルレポート公開
本レポートは千里眼SaaSのデモ環境のサンプルレポートです
※クリックして拡大します
本事例でご紹介したお客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
※三菱ケミカルシステム株式会社は2023年4月1日付をもって三菱ケミカル株式会社となりました。
会社名 | 三菱ケミカルシステム株式会社(新社名:三菱ケミカル株式会社) |
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概要 | 総合化学メーカー三菱ケミカルホールディングスグループのIT機能会社として、国内外500社以上、約7万人が利用するグループシステム基盤を半世紀にわたって支え続けてきました。海外進出、大規模な企業統合、事業の再編、構造改革など、さまざまな経営戦略において求められるシステムニーズに応える中で培われたノウハウを、多種多様なICTサービスに生かしています。 |
本社 | 東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリーイーストタワー |
設立 | 1970年4月1日 |
資本金 | 3億円 |
従業員数 | 624名(2020年4月現在) |
URL | https://www.mitsubishichem-sys.co.jp/ |
取材日 | 2020年10月 |
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