Oracle Cloud+Oracle RATで約23,000のSQLを漏れなく事前検証、本番稼働後の性能障害を阻止
関西電力株式会社
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- Oracle Cloud Infrastructure Oracle Database
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関西電力では、多数稼働している社内システムがハードウェア更改時期を迎えると、毎回Oracle Database のバージョンアップテストに多くの時間と工数を費やしていました。今回Oracle Database Cloud Service (以下、Oracle Cloud)とOracle Real Application Testing(以下、Oracle RAT)を導入し、迅速なテスト環境の構築、およびテストの期間短縮と工数削減を実現。更に、システム品質の大幅な向上に成功しました。 |
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ハードウェア更改に伴うデータベースのバージョンアップに多大な工数が
関西圏の電力インフラを担う電力会社として、人々の暮らしやビジネスを支える関西電力株式会社。近年、電力・ガス小売全面自由化に伴い首都圏での電力販売や、ガス事業への参入も果たしました。
同社のネットワーク技術部門では、顧客からの電気使用申し込みの受付や供給工事の施工、各種顧客サービス、また、電柱261万本、変圧器133万台、電気メーター1,827万台他の膨大な配電設備の管理・保守など多種多様な業務が行われており、それぞれに応じて開発された業務システムが互いに綿密に連携しながら稼働しています。IT戦略室 情報通信センター 電力流通システムグループ 村上富彦氏によれば、こうしたシステムの開発・メンテナンスプロジェクトが常に複数同時に進行し、互いが複雑に絡み合っているため、対応工数の増大は避けられなかったと言います。 |
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Oracle CloudとOracle RATでテストの効率化に挑む
そんな折、アシストから提案を受けたのがOracle CloudとOracle RATを使ったバージョンアップテストでした。
Oracle Cloudでは、Oracle Databaseをそのままクラウド上で利用できます。Oracle RATは、Oracle Database 11g以降に備わっているテスト用ツールで、SQL Performance Analyzer(以下、SPA)とDatabase Replay(以下、DB Replay)の2つの機能に分かれています。
SPAは、Oracle Database環境で実行されたSQLの情報を記録し、それを別の環境で実行して互いの実行計画や性能などをレポートの形で可視化・比較できます。一方のDB Replayは、Oracle Database環境で実行されたトランザクションを記録後、別の環境で実行して、スループットやリソース使用量などを比較できます。
村上氏
Oracle Cloud を使えば、SQL非互換チェックのための一時的な検証環境を素早く低コストで構築できると考えました。またOracle RATを活用することで、データベースのバージョンアップ前後の環境で同じSQLやトランザクションを実行し、SQL非互換や性能劣化などの課題を早い段階で把握できると考えました。
約23,000のSQLを従来の10分の1の工数で網羅
そこで同社は、近くハードウェアの更改時期を迎えるシステムをいくつかピックアップし、Oracle CloudとOracle RATを使ったOracle Databaseバージョンアップ検証を行いました。
まずSPAを使い、本番環境で稼働しているOracle Database 10gから取得したSQL情報を、Oracle Cloudで構築したOracle Database 12c環境で実行し、SQL非互換チェックを行いました。その結果、約23,000のSQLの中から何らかの対応を必要とするエラー約200件を洗い出すことができました。またオンプレミス環境に構築したOracle Database 12c環境に実データを準備し、同じくSPAで取得したSQLを実行することで、バージョンアップに伴い性能が劣化するSQLを、プロジェクト開始前の工数見積もりの段階で特定することができました。
村上氏
SQL非互換チェックのための環境をクラウドで素早く立ち上げることができ、多くのエラーを事前に洗い出してアプリケーションの改修範囲と工数を正確に見積もることができました。Oracle RATは、アプリケーションがなくてもデータベースさえあれば本番環境のSQLを再現できるため、極めて手軽に環境構築とテストの実施ができました。また、SPAは本番環境で実行される全てのSQLを自動的に記録・再生してくれるため、人手で行っていたテストケースの抽出作業が不要になり、従来のわずか10分の1の工数で網羅的なSQLをテストすることができました。
今後は様々な用途でOracle RATを活用
DB Replayを使ってOracle Database 11gの本番環境でトランザクションを取得し、それをOracle Database 12cの検証環境で再現させるテストも行いました。その結果、本番環境と同等のトランザクションが検証環境で正しく再現されることが確認できました。
バージョンアップだけでなく、現在はパーティションの分割方法変更の検証でもOracle RATを活用しています。テスト工数の大幅削減でテストとチューニングを繰り返し実施できるようになり、システム品質を大きく向上させることができました。
村上氏
今後立ち上がるシステム更改プロジェクトでは、Oracle CloudとOracle RATの活用でテスト工数を圧縮するとともに、プロジェクト全体工数の正確な見積もりも可能になると考えています。Oracle RATは、バージョンアップ時以外にも様々なテスト用途で利用できますから、今後は是非、適用範囲を広げていきたいと考えています。そのためにもアシストには、今後もタイムリーな提案や的確なアドバイスを期待しています。
(取材日:2017年7月)
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導入のポイント
1.クラウドの活用により、テスト環境の迅速な立ち上げを実現
2.これまで困難だった全SQLの単体テストが実施可能に
3.テストとチューニングの繰り返しが容易となり、システム品質が大幅に向上
課題
- サーバの調達や環境設定など検証環境の構築に半年以上かかっていた
- 全SQLのテストが困難なためSQL改修工数の見積もり精度が低くなり、プロジェクト開始後の手戻りが多発
- 1回のテストに長時間かかるため十分な回数のテストを実施できず、本番稼働後に問題が発生することがあった
対策
- Oracle Cloudを活用して検証環境を構築
- 本番環境の全てのSQLをボタン1つでテストできるOracle RATを活用
- SQL非互換チェック、性能テスト、DB負荷テストをOracle RATで実施し、テスト時間を大幅に短縮
効果
- クラウド上に短時間かつ安価で検証環境を構築し、迅速なテスト着手を実現
- 本番環境で実行されている23,000以上のSQLを漏れなく検証し、改修範囲の特定や非互換内容を早期に把握
- SQLのテスト工数は従来の1/10となり、繰り返しテストが可能になるとともにシステム品質が大幅に向上
移行方法の比較
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お客様情報
※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。
会社名 | 関西電力株式会社 |
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本社 | 大阪市北区中之島3丁目6番16号 |
設立 | 1951年5月1日 |
資本金 | 4,893億円 |
従業員数 | 21,314名 ※在籍ベース |
URL | http://www.kepco.co.jp/ |
(2017年3月末現在)
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