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できるだけ楽になる方法を考えたらOracle Cloudに辿りつきました - マルチリージョンで運用管理コスト削減を実感

UQコミュニケーションズ株式会社

導入製品/サービス…
Oracle Cloud Infrastructure  Oracle Database  

無線データ通信サービスを幅広く展開するUQコミュニケーションズ株式会社では、基地局建設業務の基幹システム基盤に「Oracle Cloud Infrastructure (以下、Oracle Cloud)」を採用。災害対策サイトの構築から始め、オンプレミスからシステムを無理なく確実に移行して安定稼働と運用管理コストの大幅な削減を実現。アシストのOracle Cloud環境構築支援サービスでデータベースのバージョンアップ、Oracle Data Guardを内製で実装し、システムの進化が続いています。

UQコミュニケーションズ株式会社

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「災害対策サイト構築からOracle Cloudの利用を始めましたが、本番サイト構築後も安定的に稼働しており、BCPの強化、運用管理コストの削減の両面で良い選択だったと感じています」

UQコミュニケーションズ株式会社
建設部門 兼子 智 氏

課題/背景

  • 基地局建設業務を担う基幹システムで利用していたデータセンターが、サービス終了のため、
    移行先の検討が必要になった
  • 災害頻度が増える中、当初想定したシステム復旧時間よりもさらに迅速な災害対策環境が望まれていた
  • システム維持管理のコスト削減と運用効率の視点から、クラウドサービスの利用を検討

対策

  • コストと提供サービスのメリットから「Oracle Cloud Infrastructure(Oracle Cloud)」を採用
  • 災害対策サイトの構築、本番システム移行の実現性の検証、本番環境移行の3つのフェーズに分け、
    確実にOracle Cloudの二拠点運用環境を構築
  • Oracle Cloudの導入とデータベースの移行は、実績が豊富なアシストの技術支援と共に自社にナレッジを蓄積

効果

  • Oracle Cloudの二拠点運用による事業継続体制を構築。運用管理コストを大幅に削減
  • 従来悩みであった容量や性能の課題に煩わされないトラブル知らずの安定稼働を実施
  • 蓄積したナレッジを利用し、データベースのバージョンアップとData Guardによる可用性強化を
    コストを抑えた内製で実施
  • データベースのエディションをアップグレードしても、運用管理コストを全体で25%も削減



システム概要


システム概要図


Oracle Cloud採用の決め手は、コストと提供サービス


KDDIグループのUQコミュニケーションズ株式会社では、主力事業であるUQ WiMAXの通信品質の向上やサービスエリアを拡充するため、全国に多数の基地局を設置しています。この基地局の建設、運用から撤去までを一元管理し、様々な業務を担う「基地局建設業務システム」は「Oracle Cloud Infrastructure(Oracle Cloud)」の大阪と東京のマルチリージョンで現在運用しています。

── クラウド化を進めた理由について、改めてお聞かせください。

以前利用していたデータセンターのサービスが終了という話が挙がり、移設先の検討が必要となりました。今後の運用効率やコストの観点などから全体を見直し、次はクラウドサービスの利用を考えました。また、当時は遠隔地のデータセンターにバックアップデータを転送して保管し、災害時のシステム復旧に時間が掛かることが課題でした。そこで、まずは速やかにバックアップシステムの稼働ができる環境をクラウドに構築し、自社でスキルやナレッジを蓄積して、本番もクラウドサービスに移行する計画を立てました。

── 他のクラウドではなく、Oracle Cloudを選択されたポイントは何でしょうか。

できるだけ運用が楽になる方法を考え、辿り着いたのがOracle Cloudでした。利用中のOracle Databaseがサービスで提供される点、クラウドサービスの移行費用などが他より安価に抑えられる点もポイントでした。また、アプリケーションの移行は、稼働中のRedHat Enterprise Linuxのバージョンアップが必要でしたが、Oracle Cloudが採用するOracle Linuxではそのまま移行でき、データベースだけでなく、OSのライセンスや保守費用も大幅に削減できます。当時、東京リージョンに次いで大阪リージョン開設が予定されていたことも理由の一つです。


  • Oracle Cloudのご採用と災害対策サイト構築の事例記事は、 こちら で参照できます。

段階的に確実に移行し、ナレッジを蓄積してさらに災害対策を強化


── Oracle Cloudの採用から現環境に至るまでの変遷をお聞かせください。

2020年2月から着手し、Oracle Cloudに災害対策サイトを構築して、オンプレミスの本番から日次でバックアップデータをリストアする仕組みを作りました。リストアの人的ミスを防ぎ、災害時は災害対策サイトを即時利用できる環境です。アシスト技術支援での構築期間はわずか2ヵ月で、本当に短期間で構築できたのが当時の率直な感想でした。

また、この災害対策サイトは、Oracle Cloudのナレッジを貯める検証環境というポジショニングでもありました。このため、災害対策サイト構築後には、本当にOracle Cloudでシステムが耐えられるか。本番システムのクラウド移行だけでなく、Oracle Cloudへの移行後に予定しているデータベースのバージョンアップも視野に入れ、開発ベンダーやシステム利用ユーザーの協力も得て検証を実施しました。

本番システムのOracle Cloudへの移行は、2021年1月から構築を開始し、6月に本稼働しました。基地局建設業務は屋内、屋外と全局が対象で、履歴情報も含むデータが8TB以上と多く、5ヵ月程度の移行期間では厳しいと考えていましたが、アシストの綿密な計画で滞りなく移行を進められました。また、アプリケーションのサイト間転送もOracle Cloudの二拠点運用で非常に効率的な運用となりました。

その後、2022年5月から8月に、Oracle Databaseを12cR1から19cへのバージョンアップを実施しました。この際、データベースのエディションの変更と、Oracle Data Guardによるレプリケーションを実装しました。これはアシストに助言を貰いつつ、コストを抑えて内製で進めましたが、本作業もスムーズに進めることができました。

── 本番と災害対策サイト間のデータベースのレプリケーション構成変更は、RPOの視点からでしょうか。

顧客向けシステムではないので、RPO(自動復旧時点)はそこまで厳しくなく、望ましいBCP環境にしたかったのが正直なところです。もし基地局が被災した場合、修理作業に必要な情報をシステムで参照するため、システムのダウンタイムを短くする必要はありましたが、これは構築したバックアップ利用の災害対策で要求を満たしていました。

ただ、バックアップデータを用いた災害対策は一方通行で、本番サイトから災害対策サイトに切り替わった後、本番サイトが復旧した際の切り戻しには時間が掛かります。また、データ転送に時間が掛かることは課題と感じていました。

── Oracle Data Guardでのレプリケーションに決められた経緯をお聞かせください。

従来のデータセンター利用期限内の確実なクラウド移行を優先させる必要があり、データベースのバージョンも据え置きで、まずは既存とできるだけ変わらない環境での移行としました。いずれは切り戻しを考慮した仕組みにしたいと考えていましたが、これは方式検討を含め、クラウド移行の次のステップと考えていました。

とは言え、当初よりData Guardに興味はありましたが、既存のOracle DatabaseはStandard Editionでした。オンプレミスの時代にもEnterprise Editionで利用したい機能があって検討しましたが、ライセンス料金が高く踏み切れませんでした。ところが、Oracle Cloudではライセンス初期費用が不要なサービスでEnterprise Editionも提供されるため、敷居が低くなります。これは、Oracle Cloud移行後にエディションを変更すれば、Enterprise Edition契約で使えるData Guardを利用できそうだなとOracle Cloudの採用時から思っていました。

最終的には、機能とコスト面からData Guardの利用を決めました。その頃には自社とグループ企業にナレッジが貯まっていたので、Oracle Cloudはそれほど怖くないという感覚がありました。いずれにせよ、データベースはバージョンアップが必要だったので、エディション変更とData Guardの実装も一緒に自分たちでやってみようとなりました。


「できるだけ運用を楽にしたい」「コストを削減したい」の実現


── Oracle Cloud移行後に実感された運用工数の削減効果をお聞かせください。

運用工数の正確な数字は出していませんが、月あたり3人日から4人日は削減できています。クラウドサービスによるサーバ管理やパッチ適用など日々の運用業務の削減もありますが、他にも効果を感じるところが多々あります。以前は何らかの運用課題が1、2ヵ月に1回は発生していましたが、Oracle Cloud移行後は全くありません。

かつての代表的な課題には容量がありました。基地局の数が多く世代管理もしているので、データはどんどん増えます。ストレージの増強には大きな費用が掛かり予算申請も大変で、システム停止を伴うためユーザーとのタイミング調整も苦労していました。ところが今は自動拡張なので、ディスクが不足して入らないというのが無くなりました。難しかったキャパシティ・プランニングも今では忘れそうなくらい現在の運用は楽です。

以前はデータベースのスワップも度々発生していましたが、Oracle Cloud移行後は一切発生していません。以前と性能的には変わりませんが、スワップが発生せず安定しているため、むしろ速くなったとも言えます。オンプレミスの時代に必要だったチューニングも不要で、Oracleのスペシャリストの必要性が少なくなったと感じています。

── コスト削減の効果は、いかがでしょうか。

Oracle Cloud移行でサーバやミドルウェア、データセンターを含む外部委託費用などの運用管理コストが、3分の1まで削減しました。ただし、これはデータベースのエディション変更が無い時の数字です。最終的にデータベースは、Etnerprise Editionにアップグレードしたため、上振れしますが、それでも全体として従来比25%の運用管理コストが削減となりました。

仮に別のクラウドを選択していた場合、データベースのEtnerprise Editionへの変更にはライセンス費用が発生するため、踏み切れなかったと思います。Standard Editionのままだった場合、データベースのレプリケーションには別の仕組みが必要でそのコストも発生していたはずです。そう考えると、Oracle Cloudの採用は数字を算出していないところでもコスト削減効果があったと感じています。


今後の展望


── 当該システムについて、今後の計画があればお聞かせください。

Oracle Cloudの監視機能をさらに利用することを検討しています。当該システムは、24時間365日の監視を委託していますが、現在利用していないOracle Cloudの監視サービスを積極的に利用することで、監視に関わるコストの削減ができるのではないかと期待しています。

今後やりたいのは、災害対策サイトの構成見直しと環境利用の推進です。クラウドは、サーバを建てる敷居が低いこともあり、本番サーバは運用しやすいように構成を見直し、目的別に分離させました。このため、先に構築した災害対策サイトの環境構成は本番と少し違います。例えば、災害対策を本番同等の構成できると何が変わるか、何かあったら本番を災害対策サイトに効率的に切り替えられるか、どのように利用してどこまで内製できるかなどを検討し、今後の災害対策サイトの構成と活用を考えて行きたいと思っています。

── 最後に、アシストについて、一言お願いします。

アシストは他社と比べても問い合わせや相談時のレスポンスが非常に良く、技術的なスキルも高いため、本当に頼りにしています。当該システム以外でも今後も色々と相談したいと考えています。


<取材協力>

 UQコミュニケーションズ株式会社
 建設部門 兼子 智 氏、興梠 誠治 氏



  • 本事例は取材時の内容に基づくものです。
  • 製品内容は、予告なく変更される場合があります。
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。

お客様情報

※お客様情報は取材時の内容に基づくものです。

会社名 UQコミュニケーションズ株式会社
設立 2007年8月29日
URL https://www.uqwimax.jp/
取材日 2023年4月

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