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2021.02.03

Oracle Database on Cloud 虎の巻 ~Oracle Cloud 採用ポイント編~

2020年10月22日に「アシストテクニカルフォーラム2020」が開催されました。
本イベントでは、クラウド活用としてOracle Cloudをテーマにした以下の2セッションを講演しました。

1. Oracle Database on Cloud 虎の巻 ~ Oracle Cloud & AWS ~
2. クラウド技術者になろう!新人が最速でOCI資格を取得した勉強法

今回はそのうちの『Oracle Database on Cloud 虎の巻 ~ Oracle Cloud & AWS ~』から、Oracle Cloud部分の内容を2回に分けてご紹介します。

第2回は「Oracle Databaseをクラウドで利用する際の採用ポイント」です。

第1回の「Oracle Databaseをクラウドで利用する際の検討ポイント」の続きとなっておりますので、まだ読んでいない!という方はぜひこちらもご覧下さい。


虎の巻その1:クラウド独自のエディションを活かす

Oracle CloudではOracle Databaseにおけるクラウド独自のエディションが用意されています。

注目すべきポイントとしては以下の2つです。

1.Standard EditionでもTDE暗号化が利用できる

オンプレミスや他クラウドでTDE暗号化を利用するためにはEnterprise Edition + Advanced Securityオプションが必要です。
一方、Oracle CloudのPaaSサービスではStandard EditionでTDE暗号化が利用できます。

クラウドを利用する際は高セキュリティが求められるケースが多いので、Oracle Databaseで長年利用されてきたTDE暗号化をStandard Editionで利用できるというのは大きなポイントです。

2.Enterprise Editionで利用できるオプションがある

Oracle CloudのEnterprise Editionを利用した場合、以下のオプションが利用できます。
・Oracle Data Masking and Subsetting Pack
・Oracle Diagnostics Pack
・Oracle Tuning Packs
・Oracle Real Application Testing

通常、オプションを利用するためにはオプションの購入が必要です。一方、Oracle CloudのPaaSサービスではEnterprise Editionにこれらのオプションがついてきますので、非常におトクにOracle Databaseを利用することができます。
また、Real Application Testingに関しては、この仕組みを活かした事例がありますので、ご興味がありましたら是非ご覧下さい。

https://www.ashisuto.co.jp/case/industry/finance/kabucom_oc-rat_2018.html
https://www.ashisuto.co.jp/case/industry/public/kansaidenryoku_oc-ora_2017.html

このようにOracle Cloudでしか提供されていないエディションを活かす、という点が採用ポイントの1つです。


虎の巻その2:BYOLのライセンスに関する仕組みを押さえる

Oracle DatabaseをBYOLで利用する際、ライセンスの優遇措置の仕組みを活かすという点もポイントの1つです。

こちらも注目すべきポイントは以下の2つです。

1.ライセンスカウント方式

1Processorライセンスあたりで利用可能なコア数(ライセンスカウント)について、Oracle Cloudの場合は他社認定クラウドの倍のコア数(スレッド数)まで使えるというポイントが存在します。
そのため、現在保有しているライセンスを活かしたシステム移行が可能となります。

2.BYOL to PaaS時の並行期間ライセンス

Oracle Databaseの移行を実施する場合、通常は移行元と移行先で並行稼働させる期間においてのライセンス(ターム・ライセンス)が必要になります。
一方、OCI-DatabaseへライセンスをBYOLする場合、最大100日間までの並行稼動が認められています。そのため、並行稼動期間が100日よりも少ない場合はターム・ライセンス無しでの移行が可能です。

これら2つはコスト面で大きなメリットがありますので、Oracle Cloudへのデータベース移行を検討している場合は活用をご検討下さい。

虎の巻その3:Oracle Cloudはシンプルである

ここまではOracle Databaseに関する内容が主でしたが、ここからは「シンプル」という言葉を中心にいくつかのサービスや仕組みの特徴をご紹介します。

まずは、ストレージ。Oracle Cloudのストレージ(Block Storage)はデフォルトでIOPS/スループット共に高い性能が出るという特徴があります。

さらに性能に関してSLAが定められているという点もポイントで、性能に関してアレコレ考える必要がほぼ無く、欲しい容量さえ見積もれば良いというシンプルな仕組みとなっています。


続いてサポートと通信費。

Oracle Cloudは各サービス料にサポート費用が含まれており、他社クラウドのようにいくつかのプランから選ぶという事無く、シンプルにサポートが利用できます。

通信費に関しても、FastConnect(専用線/閉域網)に関してはインバウンド/アウトバウンド共に無償です。インターネット接続に関してはアウトバウンドは有償にはなりますが、1ヶ月あたり10TBまで無償という非常に太っ腹な内容です。

通信費については事前にどれくらいの通信が発生するかを見積もるのが難しいのですが、Oracle Cloudの場合は無償枠が大きいので、安心して使えるという良さもあります。


ここまで「シンプル」という言葉を中心にいくつかのサービスを紹介しましたが、そもそも「なぜシンプルだと良い」のでしょうか。


例えばディスク性能の見積もりが漏れてしまった場合。

他社クラウドにおいてディスク性能の見積もりが漏れてしまうと、性能問題が発生してしまう場合があります。その場合でも後からの見直しは可能ですが、コストの増加につながるケースがあります。

一方、Oracle Cloudはディスク性能がデフォルトで高いという特徴がありますので、ディスク性能の見積もりが漏れてしまっていても、性能問題に発展するケースが少ないという良さがあります。

そのため、クラウドを採用した際にありがちな「こんなはずではなかった・・・」というギャップが発生しづらいという特徴にもつながりますので、非常に採用しやすいクラウドサービスです。

まとめ


いかがでしたか?

今回は2回に渡って『Oracle Database on Cloud 虎の巻』というタイトルの元、Oracle CloudでOracle Databaseを利用する際のポイントについてご紹介しました。

みなさまも『Oracle Database on Cloud』が必要となった際は、ぜひこの『虎の巻』を活かした移行をご検討ください。

執筆者情報

はらだ たくろう プロフィール画像

2015年にアシストに入社後、Oracle DatabaseやOracle Cloudを中心としたフィールド技術を担当。
導入支援だけではなく、最新機能の技術検証も積極的に実施。社内外のイベントにて発表も行っている。...show more


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