EAI/ETL技術者のブログ

  • 業務システムとのデータ連携
2020.01.09

マーケティングオートメーション(MA)導入成功のカギはデータ連携にあり

マーケティングオートメーション運用でEAIツールが大活躍する予感

マーケティングオートメーションとは

マーケティングオートメーションとは、企業がマーケティング活動を行う上で実施するいわゆる「デジタル施策(ウェブサイト、メール、SNS)」から、見込み客(リード)を創出するための仕組みを自動化、可視化することです。
専用のマーケティングオートメーションツールも多数存在し、大半がクラウド上のサービスとして提供されています。価格帯やサービス内容もさまざまです。

調査会社ITR社の発表(※)でも、統合型マーケティング支援ツールと呼ばれる「マーケティングオートメーション」の市場は、5年で市場規模が2倍というペースで急拡大しているとのこと。


デジタルマーケティング(以下:デジマ)への期待度、御社ではどのくらいですか?

弊社では長らく、セミナーへのお誘いを中心に据えたオフライン型のマーケティング施策を実施してきました。
そんな弊社にもデジタル革命が起こり(笑)、2017年よりマーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)を使い始めています。
パッケージソフトウェアのインテグレーターとして普段はツール導入をご提案する立場の我々が、ここではユーザーの立場でベンダーさんとやり取りするのが新鮮な日々だったりします。

マーケティングオートメーションに限らず、ツールは使ってみて初めて分かる良さと大変さがありますね。

実際にマーケティングオートメーションを導入、運用してみた立場から、マーケティングオートメーションを成功に導くカギはツールの活用ではなく、他システムと「データ連携」にあるのではないか?ということに気がつきました。
本稿では、弊社がマーケティングオートメーションを導入する際に課題となったポイントや、具体的に何をして課題を乗り越えたのかをお伝えできればと思います!

弊社の業態はBtoBになりますが、必要なデータを繋ぐ観点ではBtoCのお客様にも共通する部分があると思いますので、参考になれば幸いです。

▼ 目次

  • 一度は試してみたい「マーケティングオートメーション」
  • MAツールを使いこなすために必要なこと
  • MAツールの運用を成功させるカギ、実は「データ連携」でした

一度は試してみたいマーケティングオートメーション

マーケティング担当者にとって、一度は試してみたい道具の一つが「マーケティングオートメーション」です。
(個人的には、DMPなんかも試してみたいです)


ここで使われている「オートメーション」は、本来はSFA(セールス・フォース・オートメーション)などと同じく、業務プロセスの見える化を指していたようですが、現場担当としては純粋に「マーケティング業務の自動化」に期待してしまいます。

例えば、

  • 一斉メールを送信したら、製品情報をクリックしてくれた人だけに追加のメールをご案内し、それも読んでいただけたら製品のトライアルをおススメする
  • ウェブサイトに来てくれた人には、閲覧履歴をもとに自動的に興味をもっていただけそうな資料をメールでご案内する
  • それらと同時に、担当営業には担当のお客様が製品に興味をもっていただいていることをお知らせしてフォローアップを促す

といったシナリオが自動的に流れるようなことを妄想...しちゃいます。

マーケティングオートメーションイメージ

MAツールを使いこなすために必要なこと

しかし、現実は甘くありません。
MAツールの導入を支援してくださるコンサルさんから矢継ぎ早に指摘が入ります。

「どのタイミングで、どんな情報提供をすべきか決まっていますか?」
「追加でご案内する資料として、こんな資料はありますか?
 無いんですか?!」
「製品に興味を持っていただいた方にメールで情報提供すべきか、
 営業がお伺いすべきかのポリシーは社内で意思統一されていますか?」

そうなんです。
自動化するためには、シナリオがばっちり固まっている必要がありそうです。
製品に興味を持った方にズバッと響く資料などコンテンツも揃っている必要があります。
もとより、配信しているメールも、すべてがMAツールにセットアップされていなくてはなりません。
都度、必要に応じてメールを作文してお送りするというわけにはいきませんから。

なんだか大変なことになってきました...

そうならないためには、
シナリオを練っては地道に実行して結果を蓄積しましょう。
Excelで良いので施策管理シートを作り、マーケティング活動の全体像を把握できるようにして、できれば営業へのパイプライン構築についても経験値を貯めておくと、MA ツールを使い始めたときに役立ちそうです。


また、一旦ツールを導入すると途端に

「こんなこと出来る?」
「あんなこと出来る?」
「こんな複雑なことも実現可能?無理!?」

といった目先の議論ばかりが先行してしまいます。
ツールを使いながら要件を固めていくというケースもありますが、くれぐれもご注意ください。
(弊社も一時、目先の議論が先行するという状況に陥りました・・・)

MAツールを使いこなすために必要なこと

マーケティングオートメーション運用を成功させるカギ、実は「データ連携」でした

もう1点、運用を始めてから分かったことがあります。
マーケティングオートメーションの運用には日々の「データ連携」が欠かせないということです。

MAツールのデータベースには、次のような情報が蓄積されます。

  • 資料をダウンロードしたり、お問い合わせを下さったりした顧客の個人情報(リード)
  • メール配信に対して、誰がどういう行動をしてくれたのかの統計的な情報
  • ウェブサイトを誰がどのくらい見て下さっているのか

つまり、製品の購入可能性がある企業・個人のオンラインでの行動が蓄積されていきます。
すると、当然ながらオフラインでの接点についても一緒に見たくなります。

  • 自社の誰がお会いしているのか?(名刺交換)
  • 担当営業は動いているのか?(訪問履歴、訪問ログ)
  • 過去にセミナーに参加して下さっているのか?(セミナーへのエントリ、出欠)
  • 過去の取引実績は?(基幹システムの契約情報)

というニーズを踏まえて、次のようなシステム間のデータ連携が検討されます。

  • SFAと相互にデータ連携
  • CRMから企業情報・顧客情報・契約情報をデータ連携
  • 名刺情報のデータ化と、取り込み・個人情報の統合
  • セミナー管理システムとのデータ連携

気が付いたら、MAツールの導入プロジェクトが「データ連携のシステム開発」になっていました...!

しかも、繋ぎ込みだけではなく、データクレンジングや名寄せの要件もてんこ盛りです。

弊社では未導入ですが、DMPなどをお使いの企業ではさらに多くの社内システムや、場合によってはクラウドサービスとのデータ連携が必要ですね。


MAツールには、本来はSFAやCRMとのデータ連携用アダプターが標準装備されています。
しかし、弊社の社内システムは、基幹システムを始めとして独自開発したものが多く、パッケージ型のものも広範囲にカスタマイズされていました。

そのため、標準アダプターが使えないケースが大半だったのです。
これって、弊社だけじゃないかもしれません。

この状況を弊社ではどう乗り越えたかというと...

その機能要件、どれもEAIツール「DataSpider」の得意分野でした

そこで、弊社ではEAIツール「DataSpider」の提供で培った経験を動員して、必死にデータ連携を内製開発しました。長くこの会社にいて、これほどEAIツールが便利で有難いものだとは知りませんでした(笑)

もちろん、DataSpiderだけでは全ての要件をカバーできませんでした。
例えば、名寄せはデータの表記揺れが解決されないと自動化ができません。
データクレンジングの一部は、実は今でも手作業で実施しています。
しかし、次々と発生する「このシステムとも繋がなきゃ!」という要件に対して、内製でどんどん連携開発を進められるのは、現場担当としては心強いです。


MAツールの導入準備として「マーケティングのシナリオ」の重要性について触れてみました。
MAツールを検討される際には、シナリオの準備と同じくらいか、それ以上に自社システムとのデータ連携にも注意しながら、使用するツールを選ぶことをオススメします。


「実はマーケティングオートメーションの導入を検討してるんだよね」
という方がいらっしゃいましたらご連絡ください!ぜひ情報交換しましょう。
もちろん、データ連携に必要なDataSpiderの紹介もさせていただきます!(笑)


データ連携ツールの選定に迷ったら・・

自社に必要な要件は何か? 数あるデータ連携ツールから何を選定すれば良いのか?
データ連携ツールを比較/評価するための項目をまとめた資料を最後にご紹介します。
RFPなどにもそのまま利用できるワークシートも付属していますので、いますぐに要件整理を始めていただけます!


▶あわせて読みたいコラム
弊社でのマーケティングオートメーション導入事例を、具体的な製品名を挙げながら異なる観点でまとめたコラムです。こちらもぜひご覧ください!
https://www.ashisuto.co.jp/tech-note/article/20180209_ma.html



執筆者情報

1999年にアシストへ入社。
最初の10年間は、Oracleなどのデータベース製品を専門としたSEとしてお客様先でのプロジェクト支援に没頭。システムトラブルと戦う日々。
その後、営業支援組織の立ち上げを経て、5年間プロダクト・マーケティングを担ったのち、現在は広報部に所属。全社のデジタルマーケティングやマーケティングオートメーションを推進。

執筆者

仲谷 靖洋(Yasuhiro Nakatani)

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