EAI/ETL技術者のブログ

  • 業務システムとのデータ連携を学ぶ
2021.08.25

【金融業IT担当者向け】電子化された重要書類データを安心・安全・確実に連携するには

【目次】
 ▶電子交換所での重要書類のデータ連携
 ▶電子化重要書類のデータ連携における要素
 ▶電子化重要書類のデータ連携を実現するには

電子交換所での重要書類のデータ連携

書類の電子化が進んでいます。
電子化することで得られるメリットは皆さん認識している通り、以下のような様々な要素があるかと思います。

  • 紙の印刷、保管コストを削減できる
  • 書類の検索を効率化できる
  • 書類の劣化・紛失を防げる

しかしながら、機密情報を含む「重要書類の電子化」に関しては、セキュリティ面で取り扱いに注意が必要となってきます。
今回は重要書類を取り扱うことの多い金融業に焦点を当て、以下のポイントに絞って考えていきたいと思います。

  • 電子化されたデータの保管方法
  • 電子化されたデータの受け渡し/連携方法

電子化された重要書類のデータ連携の具体的な例として、金融機関の「手形交換」を取り上げてみたいと思います。

現在、金融機関は、利用者から取立てを依頼された手形・小切手について、各地の「手形交換所」を通じて交換し、決済を行っています。

銀行には、企業を中心としたお客さまから毎日大量の手形・小切手が持ち込まれます。これらの手形類を持ち寄り、お互いの銀行が支払うべき手形類を相互に交換して、受取額と支払額の差額を日本銀行または交換所の幹事銀行で決済する制度が「手形交換制度」です。

手形は、現物を人手で搬送して渡す必要があり、この制度を担うのが、全国各地の銀行協会が運営する「手形交換所」です。手形・小切手による決済の流れを簡単に図で表すと、以下のとおりです。

手形・小切手による決済


今までは人手を介して搬送していた手形ですが、全国銀行協会が2022年に設立する「電子交換所」によって、これまで現物の搬送により行われてきた金融機関間の手形・小切手の交換業務を、イメージデータの送受信によって完結できるようになります。

手形を持ち出す金融機関は、スキャナー等で画像化したイメージデータを「電子交換所」に送信し、手形を持ち帰る金融機関は「電子交換所」からデータを取得する仕組みとなります。

電子交換所経由の決済


物理的な搬送からイメージデータ送信に置き換わることによって、コスト削減、業務効率化につながります。


電子化重要書類のデータ連携における要素

今回は金融機関の「手形交換」を例に取り上げましたが、取り扱うデータは、決済に関する情報であり、「安心」「安全」「確実」なデータ転送が必要なことは言うまでもありません。
具体的に必要な要素は以下のとおりです。

・暗号化
  高強度の暗号化方式を用いる。
  電子政府推奨暗号リストに載っている暗号化方式を用いる。
  https://www.cryptrec.go.jp/list.html

・到達確認/再転送
  正しくデータ転送が行えたかどうかの到達確認を行う。
  ネットワーク瞬断等の障害に対して再転送を行う。

・整合性チェック
  転送されたデータに改ざんがないかどうかをチェックする。

・データ転送ログの保存
  データ転送が行われた証跡を残す。
  これは、データを配信する側、データを受信する側の双方で必要。


また、それ以外の要素として以下の点も考慮に入れておく必要があります。

・既存システムに影響を与えない手法を用いる
  新たなデータ連携の仕組みを構築する際には、既存システムに影響を与えない方式が望ましい。

・信頼性と実績のある手法を用いる
  「安心」「安全」「確実」なデータ転送を実現するには、特にこの点が重要。
  

電子化重要書類のデータ連携を実現するには

今回は電子交換所を例にしましたが、上記ケースに限らず電子化された重要書類のデータ連携を実現するには、ファイル転送ツール「HULFT」が最適です。

HULFTでは電子化重要書類のデータ連携における要素を実現するための機能が製品の標準機能として搭載されており、「安心」「安全」「確実」なデータ転送を実現することができます。

・暗号化
  製品独自のファイル暗号化方式やより強固な暗号化を選択可能

・到達確認/再転送
  配信側、集信側で自動到達確認を実施し通知
  障害発生時に自動で再転送

・整合性チェック
  ハッシュ値を用いてファイルのデータ欠損/改竄のチェックを実施

・データ転送ログの保存
  データ転送の履歴を配信側、集信側で自動取得


HULFTについてより詳細に知りたい方は良ければ以下の資料も参考にしていただけると幸いです。

【金融業向け】電子化された重要書類データを安心・安全・確実に連携するHULFT



執筆者情報:

執筆者 市毛正浩

市毛 正浩(いちげ まさひろ)

DX推進技術本部 デジタル推進技術統括部

東日本技術本部 情報基盤技術統括部
2008年 株式会社アシストに中途入社。
以来「DataSpider」「DMExpress」「HULFT」の提案活動とお客様支援に従事。

関連している記事

  • 業務システムとのデータ連携を学ぶ
2023.08.30

データドリブンを加速させる データ連携・流通の重要性

「データドリブンの実践を加速させるデータ連携・流通の重要性」について解説します。

  • 業務システムとのデータ連携を学ぶ
2022.10.28

SAP ERPと周辺システム連携のよくある課題は?

ERPパッケージとして世界で最も導入されている「SAP ERP」。本記事ではSAP ERPと周辺システムとのデータ連携を検討する際の「よくある課題」をご紹介します。

  • 業務システムとのデータ連携を学ぶ
2022.01.28

データ連携は、ローコード・ノーコード開発が主流?

近年よく耳にするローコードやノーコード。本ページではローコードやノーコードとはどういった手法なのか、データ連携分野におけるローコード・ノーコードの位置づけなど、詳しくご紹介しております。

ページの先頭へ戻る