- ジョブ管理
【JP1/AJS3】JP1 x SAP 使い慣れたAJS3の画面からSAPジョブを一元管理!
JP1/AJS3での、SAPのバックグラウンドジョブ制御をご紹介します。
|
JP1 Version 12(以下、JP1 V12)から、ジョブ実績レポートを出力するコマンドが追加されました。
稼働実績データを可視化して、スケジューラーサービスの処理量やジョブ実行状況を把握することにより、安定稼働やトラブル未然防止の効果が期待できます。
そこで今回は、V12新機能の中でも注目の ajsreport コマンドをご紹介します。
稼働状況レポートの出力機能とは、スケジューラーサービスの処理量やジョブの実行状況をCSV形式で出力する機能です。
稼働状況レポートは、ジョブやルートジョブネットの開始数やキューイング状態のジョブ件数といった、スケジューラーサービスの稼働状況を時間帯ごとに集計して出力します。そのため、ピークの時間帯や時間経過による推移が把握できます。
出力される情報 | 説明 |
---|---|
スケジューラーサービスの処理量 | ・ジョブネットやジョブの開始数 ・ジョブネットやジョブの終了数 |
ジョブの実行状況 | ・処理待ちジョブの件数 ・処理中のジョブの情報 |
CSV形式で出力された情報をExcelやOSSなどでグラフ化して集計・分析することにより、JP1/AJS3の稼働状況がより把握しやすくなります。
稼働状況レポートを出力するためには、出力機能を有効にする必要があります。機能を有効にすると稼働状況ログファイル(バイナリー形式)の出力が開始されます。マネージャーホストでajsreportコマンドを実行すると、稼働状況ログファイルの内容をCSV形式で出力します。
ajsreportコマンドは、保存されている稼働状況ログファイルに対して、対象のスケジューラーサービスや出力するデータの集計期間や間隔を任意に設定できます。これらの設定はajsreportコマンドの実行時にオプションで指定します。
定期的に稼働状況をCSVファイルに出力することで、ジョブ増減傾向や処理性能の把握ができたり、過去の稼働状況との比較が可能となり、システムの安定稼働やトラブルの未然防止が期待できます。
稼働状況レポートの出力機能は、JP1 V12インストール時にデフォルトで有効です。しかし、旧バージョンからJP1 V12へ上書きインストールを実施した場合には無効になっています。
そこでここでは、稼働状況レポートの出力に関する設定を変更する手順を記載します。設定変更には環境設定パラメーターを設定するため、jajs_configコマンドを使用します。
※定義キー、環境設定パラメーターについては後述します。
1)Windowsの[コントロールパネル]-[管理ツール]-[サービス]を選択し、次に示すサービスを停止する。
JP1/AJS3サービス
2)次のコマンドを実行して、後述の「環境設定パラメーター一覧」の環境設定パラメーターを設定する。
コマンド実行例
> jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名"=定義内容
3)JP1/AJS3を再起動する。
設定した内容が反映されます。
1)JP1/AJS3のサービスを停止する。
次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。
コマンド実行例
# /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop※
# /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
注※
自動停止の設定がされていることを確認してください。
2)次のコマンドを実行して、後述の「環境設定パラメーター一覧」の環境設定パラメーターを設定する。
コマンド実行例
# /opt/jp1ajs2/bin/jajs_config -k "定義キー名" "環境設定パラメーター名"=定義内容
3)JP1/AJS3を再起動する。
設定した内容が反映されます。
稼働状況レポートの出力機能を設定するための環境設定パラメーターは、以下の通りです。
定義キー |
---|
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AJSMANAGER\スケジューラーサービス名] |
環境設定パラメーター | 定義内容 |
---|---|
"AJSREPORTUSE"= | 稼働状況レポートの出力機能の有効/無効 |
"AJSREPORTDIR"= | 稼働状況ログファイルの出力先ディレクトリ |
"AJSREPORTSTOREDAYPERIOD"= | 稼働状況ログファイルを保存しておく最低日数 |
形式
"AJSREPORTUSE"="{yes|no}"
指定できる値
yes
稼働状況レポートの出力機能を有効にします。
no
稼働状況レポートの出力機能を無効にします。
形式
"AJSREPORTDIR"="稼働状況ログファイルを格納するディレクトリのパス"
指定できる値
Windowsの場合
180バイト以内の文字列
UNIXの場合
191バイト以内の文字列
形式
"AJSREPORTSTOREDAYPERIOD"=dword:稼働状況ログファイルを保存しておく最低日数
指定できる値
16進数で1〜15(10進数で1〜21)(単位:日)
※最長で21日間保存可能
デフォルト値
7日間
ajsreportコマンドの実行例をいくつか紹介します。UNIX環境の場合は、ajsreport を /opt/jp1ajs2/bin/ajsreport と読み替えてください。なお、CSVファイルに出力するためには、リダイレクトが必要です。
> ajsreport > 任意の出力ファイル名.csv
CSVファイル出力例
#exectime: 2019/03/14 19:00:13
#command: ajsreport
#DATE,RJ_EXEC_START_NUM,CONDRJ_MONITOR_START_NUM,CONDRJ_EV_DETECTED_NUM,...
2019/03/14 00:00,0,0,0,...
2019/03/14 00:01,0,0,0,...
: ,:,:,:,...
2019/03/14 23:59,0,0,0,...
> ajsreport -n > 任意の出力ファイル名.csv
CSVファイル出力例
#exectime: 2019/03/14 15:10:34
#command: ajsreport -n
#DATE,RJ_EXEC_START_NUM,CONDRJ_MONITOR_START_NUM,CONDRJ_EV_DETECTED_NUM,...
2019/03/14 15:09,0,0,0,...
コマンドオプション
-n:
コマンドを実行した日時の直近の稼働状況を出力します。
> ajsreport -b 2019/03/13 -H > 任意の出力ファイル名.csv
CSVファイル出力例
2019/03/13 00:00,0,0,0,...
2019/03/13 00:01,0,0,0,...
: ,:,:,:,...
2018/01/01 23:59,0,0,0,..
コマンドオプション
-b 年/月/日
稼働状況を出力する期間の開始日を指定します。
省略した場合,コマンドを実行した日を開始日とします。
-H
ヘッダーを表示しません。
CSV形式で出力された稼働状況レポートをExcelやOSSなどでグラフ化することで、ジョブ運用実績の可視化に活用できます。
例として、当日の業務を開始する前に、上述のコマンド実行例3を実施して前日の稼働状況レポートを取得し、時間別の運用実績をグラフ化します。
|
|
|
|
こんにちは。アシストサポートセンターの木原です。
今回はJP1 V12 新機能のajsreportコマンドをご紹介しました。JP1 V11まではジョブ運用実績を可視化するには、統合トレースログやスケジューラーログ、ajsshowコマンドを実行することで得られる情報を収集し解析する必要がありました。ajsreportコマンドによってジョブの実行数などスケジューラーサービスの処理量を簡単に取得できるようになります。ジョブ運用実績の可視化にお役立てください。
私事となりますが、アシスト北海道は社員数が増え、増床のためオフィスが移転しました。社員がアイデアを出し合って心地よい空間になるよう作ったオフィスです。引き続き札幌から皆さまにお役に立てるようなブログを作成していきます!
次回はJP1/IM2の新機能について掲載予定です。お楽しみに。
JP1/Automatic Job Management System 3 - Manager Version12
アシスト北海道新卒2期生。札幌でJP1サポート業務に従事して4年目。新人育成を経験し、札幌JP1チームの中堅として日々奮闘中。 趣味はアニメ鑑賞です。WRY。
|
|
JP1/AJS3での、SAPのバックグラウンドジョブ制御をご紹介します。
V13で新たに実装された、JP1/AJS3システムのリアルタイムな稼働状況をWEB画面で確認できる「マネジメントポータル」機能について詳しくご紹介します。
最新バージョンでサポートされた、ネットワークを介したファイルの監視機能。使用するには事前設定が必要です。本ブログでは設定方法をご紹介します。