SAPの世界から解放する!SAPデータを活用した「データ活用基盤」の構築方法
2023.12.08
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<執筆者> 矢野 一栄 Yano Kazusige
DX推進技術本部 技術統括1部
Qlik技術部 部長
新卒で入社した製造業では工場での品質管理や市場での品質保証の業務に従事。
2002年、アシストに中途入社。アシスト入社以来、BI、AIとデータ活用分野を中心に担当。
前回のコラム
執筆時、息子はシステム会社に就職してプログラム研修を受講中だったが、
今はお客様向けのシステム開発に奮闘中。エンジニアとしてちゃんと仕事ができているのか気になっている。
データドリブンの実現に必要な4つのポイント
私が所属するDX推進技術本部では
『データドリブンを、日常に。』
をスローガンとして、お客様のデータドリブンの実現に向けて活動しています。
※アシストが考える「データドリブン」とは
ビジネス活動に関わる全ての人が、データに基づき業務を推進すること
参考:コラム「データドリブンの実現に!データリテラシーを向上させる方法
」
アシストでは、データドリブンを実現するために、以下の4つのポイントが重要だと考えています。
アシストが考える『データドリブンを、日常に。』を実現するための4つのポイント
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以前のコラム「データドリブンの実現に!データリテラシーを向上させる方法
」では、二つめのポイント「人材育成」についてお伝えしたので、今回は三つめのポイントである「データ活用基盤の構築」についてお伝えしたいと思います。
その中でも、最近はSAPユーザーの方から相談をいただくことが多いので「SAPを対象としたデータドリブン」をテーマにお届けします。
SAPデータを活用したデータ活用基盤の構築方法
SAPデータを活用してデータドリブンを実現する場合、以下のような要望が挙げられます。
経営層
・FI(財務管理)、CO(管理会計)、SD(販売管理)、MM(在庫購買管理)のデータを俯瞰でみたい
・組織やグループを横断したIR的なデータをすぐに見たい
・リアルタイムマネジメントを実現したい
データ活用担当
・SAPデータ+非SAPデータを使いやすい形で1ヵ所にまとめてほしい
・シンプルなデータ活用基盤で分析や予測をしたい
システム担当
・SAPデータ+非SAPデータをDWHに統合したい
・SAPデータをクラウドDWHに持っていきたい
・SAPデータのクラウドリフトに合わせて複雑なバッチ処理を見直したい
これらを実現するためには、データ活用基盤を構築する必要があります。
まずは、SAPデータをDWHに移す方法について見ていきましょう。
SAPデータだけを対象とする場合は、SAP社が提供する「SAP Business Technology Platform(SAP BTP)
」によってSAP内で完結することもできると思いますが、ここでは「SAPデータをSAPの世界から解放する」方法をご紹介します。
SAPデータをSAPの世界から解放する(一例)
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上の図のように、
・SAPデータをコピーする(複製)⇒ コピー後に更新されたデータは、差分だけをキャッチしてコピー側に反映する
・コピーしたデータからDWHやデータマートを構築する
という方法です。
こうすることで、SAPデータからデータマート構築までの流れ(=データパイプライン)をつくることができます。
従来のETL方式とは異なる、ELT方式のアプローチとも言えます。
ETL方式
データ加工してからデータロードする
E(Extract/データ抽出)⇒ T(Transform/データ加工)⇒ L(Load/データロード)
ELT方式
データロードしてからデータ加工する
E(Extract/データ抽出)⇒ L(Load/データロード)⇒ T(Transform/データ加工)
このように、SAPデータをSAPの世界から解放したことで、データ分析ツールの選択肢も広がるでしょう。
SAPデータを活用したデータドリブンの実現方法
では、データドリブンの実現を考えるとどうでしょうか?
SAPデータに加え、非SAPデータも活用する必要が出てくると思います。
しかし、
・
SAPデータと非SAPデータを統合
するのが大変
・SAPデータをDWHに届けるのに
バッチ処理で時間がかかる
などの課題が出てきます。
これらを解決しないことには、経営者やデータ分析者が期待するスピード感でデータ活用できない=データドリブンできていない状態となってしまいます。
この課題を解決するために、本コラムでは「Qlik Cloud(クリック クラウド)」と「Snowflake」を使う方法をお伝えします。
「Qlik Cloud」と「Snowflake」を使って、SAP/非SAPデータを統合する(一例)
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上の図のように、
・Qlik Cloud データ統合機能を使って、SAP/非SAPデータを統合し、Snowflakeに連携する
・Qlik Cloud 分析機能を使って、Snowflake上のデータを分析する
という方法です。
それぞれの機能について、もう少し詳しく説明します。
Qlik Cloud の活用
「Qlik=BIツール」とご認識いただいている方も多いかもしれませんが、2023年10月に取り扱いを開始した「Qlik Cloud」には、
以下の2つの機能があります。
・データ統合:レプリケーション+差分更新+加工(ELT)
・データ分析:データ分析+機械学習(BI+AI)
データ統合に関しては、SAPやメインフレームを含むオンプレミスに加え、多種多様なクラウドのデータソースにも対応しています。
さらに、オンプレミスのデータをクラウドへリアルタイムに複製&差分更新することができますので、外部環境の変化が激しく
「できるだけリアルに近いデータを分析したい(=リアルタイムマネジメント)」要件にはぴったりかと思います。
データ分析についても、Qlikは様々なデータを柔軟に分析できる機能やインターフェースを持っており、幅広い要件に対応可能です。
※ニュースリリース「アシスト、クラウド時代のデータ統合・分析プラットフォームQlik Cloudを提供開始
」
※Qlik Cloud 製品ページ「Qlik クラウドファースト時代のデータ活用基盤
」
Snowflake の活用
Snowflakeは、2023年5月に取り扱いを開始したクラウドネイティブのデータプラットフォームです。
企業がデータを効率的かつ安全に管理・分析できるように設計されており、スケーラブルで高速なクエリ性能、セキュアなデータ共有、
柔軟なクラウドアーキテクチャなど、多くの機能をもっています。
今回の例のように「クラウドの分析ツールを使うために、クラウドDWHを構築したい」ような場合に向いています。
※ニュースリリース「アシスト、データクラウド「Snowflake」を販売開始
」
ちなみに、今回ご紹介した「SAPデータのレプリケーション~差分更新~データマート作成」に関しては、テンプレートをご用意しています。
SAPのFI(財務管理)、SD(販売管理)、MM(在庫購買管理)のモジュールに対応しています。
あくまでテンプレートなので、そのままお客様のSAP環境に適用できるものではないですが、データマートの一つの型として参考になるのではないかと思っています。
また、アシストではお客様のSAPデータ活用の要件をヒアリングの上、SAPからのデータパイプラインの構築~分析画面の開発までを提案することも可能です。
SAPデータを加工し、データマートに投入するテンプレート(一例)
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そして、準備したデータで分析したイメージがこちらです。
データ分析のサンプル画面
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Qlikのデータ分析機能を使えば、このようなダッシュボードだけでなく、様々な切り口や様々なグラフで分析ができます。
画面開発も容易なため、新しい要件にもスピーディに対応でき、データドリブンの実現に近づくはずです。
今回ご紹介したデータ活用基盤の構築方法はあくまで一例です。
しかし、SAPの世界で閉じてしまうのではなく、SAPデータと非SAPデータを統合することで、より幅広いデータ分析ができるのではないでしょうか。
さいごに
本ブログでは、SAPのデータ活用基盤として「Qlik Cloud+Snowflake」について触れました。
「SAPとQlikの連携について詳しく知りたい」「Snowflakeを中核としたデータ活用パターンを知りたい」などのご要望があれば、ぜひお気軽にご相談ください。お待ちしています。
参考
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[ 資料 ] Qlik Cloud データ統合 紹介資料
|
[ Webページ ] のまわりソリューション for SAPシステム
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