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なぜ今ナレッジマネジメントなのか?経営課題を解決に導く「あるべき姿」と「3つの要件」

▶POP-UPトップページへ戻る    ▶技術コラム一覧へ戻る    2026.02.12


労働力不足が深刻化する今、個人の知恵を組織の資産に変える「ナレッジマネジメント」は待ったなしの経営課題です。 しかし、多くの現場ではいまだに「背中を見て覚えろ」という非効率な指導や、膨大な時間を情報の検索に費やす「見えないコスト」が放置されています。
本コラムでは、組織の機会損失を防ぎ、自律的な成長を促すためのアプローチと、それを実現するナレッジマネジメントを成功させる3つの要件について解説します。

<執筆者> 八木 康介 Yagi Kosuke

DX技術本部 DX技術統括部 ナレッジ活用基盤技術部 課長

1999年、株式会社アシストに入社し、BIツールのサポート・教育・プリセールス・コンサルティングを担当。
2002年からはCMS(コンテンツ管理システム)「NOREN」のビジネスを立ち上げる。
2023年からは全社横断AIプラットフォーム「Glean」の立ち上げメンバーとなり、現在はエバンジェリストとして活動中。
多くのお客様のナレッジ活用基盤の構築や、AIエージェントの普及、生成AIによる業務変革の支援を行っている。
休日に、釣り・自転車・キャンプといったアウトドアを全力で楽しむことがモットー。
デジタルやAIとは離れたアナログな生活を送ることで、心身をリフレッシュさせている。


なぜ、ナレッジマネジメントが経営に必要なのか


日本企業の多くが直面している経営課題。その解決策として「ナレッジマネジメント」が注目されています。
どのような経営課題に対して、どのような価値をもたらすのか、特に重要な「4つのポイント」に絞って解説します。

1:DXの停滞 ⇒ ツールの導入で終わらせず、組織文化を変革する


DX(デジタルトランスフォーメーション)の本質は、単なるツールの導入ではなく「企業文化や働き方の変革」にあります。
どれほど高度なITインフラを整えても、情報のサイロ化(部署ごとの分断)や、特定の個人しか業務を知らない「属人化」が放置されていては、真のDXとは言えません。
ナレッジマネジメントは「個人の知恵を、組織の資産にする」という文化を根付かせます。
この組織文化こそが、組織全体のデジタル活用を底上げし、変革を加速させるエンジンとなります。

2:機会損失の常態化 ⇒ 即答力を高め、顧客体験(CX)を最大化する


ビジネスの最前線では「情報の鮮度とスピード」が勝敗を分けます。
顧客からの複雑な課題に対し、「持ち帰って確認します」と答える営業担当者と、過去の類似事例やベストプラクティスを瞬時に引き出し、その場で提案できる担当者。どちらが選ばれるかは明白です。
「誰でも、いつでも、迷わず、必要な情報へアクセスできる」。
この状態をつくることは、単なる業務効率化ではありません。
顧客の信頼を勝ち取り、受注率の向上や顧客生涯価値(LTV)を直接的に押し上げ、収益に繋がります。

3:見えないコストの増大 ⇒ 探す時間を削減し、利益を生む時間に変える


多くのビジネスパーソンは、実に多くの時間を「情報の検索」や「誰かに確認する作業」に費やしています。
これは、日々組織内で垂れ流しにされている「見えないコスト」そのものです。
ナレッジ基盤によって情報探索時間を短縮し「属人化した問い合わせ対応を自動化」できればどうなるでしょうか。
これまで浪費されていた時間を「戦略的な活動」や「創造的な議論」といった、本来人間がやるべき付加価値の高い仕事へとシフトできます。

4:人財育成の遅れ ⇒ 背中を見て覚えるのではなく、自律的に学ぶ


労働力不足が深刻化する中で、優秀な人材を確保し、早期に戦力化することは喫緊の課題です。
しかし、現場ではいまだに「背中を見て覚えろ」「マニュアルはないから先輩に聞け」といった非効率な指導が散見されます。
体系化されたナレッジ基盤があれば、新入社員や異動者は自ら必要な情報にアクセスし「自律的に学ぶ」ことが可能になります。
「知りたいことがすぐに分かる」というストレスのない環境は、単なる効率化だけでなく、社員に「成長を実感できる環境」を提供することに他なりません。
これこそが、優秀な人材を惹きつけ、離職を防ぐための強力な武器となります。

ナレッジマネジメントで実現する「あるべき姿」


これらの 経営課題が解決されない背景には、常に「情報の属人化」が潜んでいます。
ナレッジマネジメントが機能していない状態(Before)と、実現された状態(After)を対比させると、組織が失っている機会損失の大きさが浮き彫りになります。

ナレッジマネジメントにおけるBefore/Afterの比較

領域 Before(現状の課題) After(あるべき姿)
情報のアクセス性 情報のサイロ化
どこにあるか分からず、探索コストが増大している
情報の集約・一元化
誰もが、いつでも、迷わず情報へアクセスできる
ナレッジの継承 知識の属人化・消失
退職や異動のたびに、貴重な知見が失われる
知識の組織化・資産化
議論の経緯や専門家の知見が、資産として残る
意思決定の基盤 勘と経験頼みで判断
判断ミスが起きやすく、過去の失敗を繰り返す
データ・事実に基づく判断
判断に必要な情報が集約され、
意思決定の質とスピードが向上する
人材育成 属人的なOJT
指導に時間がかかり、戦力化が遅れる
体系的な自律学習
必要な知識を自ら学び、早期に戦力化する
専門家への依存 特定人材のパンク
特定の人に問い合わせが集中し、ボトルネックになる
自己解決の文化
FAQや履歴を活用し、誰でも問題を解決できる
会議・共有 共有のための会議
情報伝達に時間を取られ、議論が深まらない
意思決定のための会議
事前共有が徹底され、建設的な議論に集中できる


特定の専門家が退職した瞬間に「あの件は誰もわからない」という状況に陥る「継承ロス」は、もはや現場の困りごとではなく、組織のリスク管理上の問題です。
情報の共有は、個人の「善意」に頼るものではなく、組織の「仕組み」として構築されるべきものです。


ナレッジマネジメントを成功させる「3つの要件」


こうした課題を打破し、組織の体質を劇的に変えるためには、単にツールを導入するだけでは不十分です。
あるべき姿を作り出すための、具体的な「3つの要件」を満たす必要があります。

1:【統合】あらゆる情報の入り口を「一つ」にする


現代の企業内には、クラウドストレージ、チャットツール、社内システムなど、膨大なデータが散在しています。
社員が「どのツールで探すべきか」を迷っている時点で、ナレッジマネジメントは失敗しています。
成功の第一条件は、情報源を意識させない「ワンストップの検索窓」を用意することです。
システム側がユーザーの役割や現在の文脈を理解し、ツールを横断して最適な回答を提示する「統合力」が不可欠です。

2:【資産化】個人の経験や文脈を「組織の知」に変える


ドキュメント化された情報(マニュアルや報告書)だけがナレッジではありません。
むしろ、熟練者の判断プロセスや、会議での熱量といった、文字に起こしにくい「暗黙知」にこそ価値があります。
決定に至った経緯や議論のログといった「文脈(コンテキスト)」もセットで記録し、後から見た人が追体験できる ようにすること。
この「資産化」のプロセスがあって初めて、情報は生きたナレッジとなります。

3:【品質/鮮度維持】情報の信頼性を守り、陳腐化を防ぐ


ナレッジは溜め込んで終わりではありません。情報が古くなれば、誰も信用しなくなり、システムはゴミ箱と化します。
そこで重要になるのが、情報の品質と鮮度を管理する「信頼性(ガバナンス)」です。
全社員が迷わずアウトプットできる「発信のしやすさ」を担保しつつ、必要に応じて承認プロセスを経たものだけを公開して「情報の正しさ」を守る。
この「誰でも発信できる、でも正しい」状態を維持する仕組みこそが、情報の品質と鮮度を守り、ナレッジの形骸化を防ぐ鍵となります。

ナレッジマネジメントを実現するソリューション


ナレッジマネジメントに必要な要件「統合」「資産化」「品質/鮮度維持」。これら3つの要素は、どれか一つが欠けても機能しません。
まさに「三位一体」で運用されて初めて、ナレッジは経営を変革するエンジンとなります。
しかし、これらをすべて人力や精神論だけでカバーするのは不可能です。
そこで、この三位一体のサイクルをテクノロジーの力で自動化し、組織に定着させる具体的なソリューションをご紹介します。

1:【統合】AIがあなたの専属秘書になる「Glean」


全社横断AIプラットフォーム Glean(グリーン) は、社内に散在するあらゆるアプリケーション(Microsoft365、Slack、Box、Salesforceなど)と連携し、組織の「知」を統合します。

探す時間をゼロにする「Enterprise Search」「ナレッジグラフ」
  • 複数のツールを開いて回る必要はなく、たった一つの検索窓から、全社の情報へ瞬時にアクセスできます。
    単なるキーワード検索ではなく、組織内の「人・ドキュメント・会話」の相関関係をマッピングし、ユーザーの役割や文脈を深く理解します。
    数千万のデータの中から「今まさに欲しかった回答」を最短距離で導き出します。
回答から実行まで担う「Glean Chat」「Glean Agents」
  • セキュアな生成AIとの対話を通じて、複数ドキュメントを横断した要約・回答・結論を得られます。
    さらに、プロジェクトの進捗確認やリスク分析、複雑な情報収集といったタスクまで自律的に代行します。
鉄壁のセキュリティ
  • 各システムの権限設定を完全に継承します。
    閲覧権限のない情報は検索結果にもAIの回答にも一切現れないため、安心して全社導入が可能です。

「Glean」の利用イメージ

2:【資産化】動画で温度感まで伝える「Panopto」


文字では伝えにくい熟練者の「動き」や議論の「熱量」を共有するには、動画が最適です。
Panopto(パノプト) は、動画を単なる記録から「学習可能な資産」へと進化させます。

ボタン一つで「録画」
  • PCやスマホからボタン一つで録画を開始。
    複雑なマニュアルを作らずとも、現場の実演や勉強会、Web会議を即座に「生きたナレッジ」として記録・共有できます。
動画の中身まで「検索」
  • 動画内の「音声」や「スライド文字」までAIが解析。
    検索ワードで「特定の発言シーン」へ即座にスキップできるため、1時間の動画も必要な数分だけで効率よく視聴できます。
浸透度をデータで「分析」
  • 「誰が、どこまで、何度見たか」を詳細に可視化。
    勘に頼らず、データに基づいてコンテンツの改善や教育プランの最適化が行えます。

「Panopto」の利用イメージ

3:【品質/鮮度維持】入力のハードルを下げて品質を守る「NOREN」「テックタッチ」


ナレッジの蓄積を継続させ、情報の品質(鮮度と正確性)を保つためのインフラです。

公式情報のガバナンスを効かせる NOREN(のれん)
  • 全社の公式ドキュメントや通達事項は、CMS(コンテンツ管理システム)である「NOREN」で管理。
    確実な承認フローと高い操作性で、正しい情報を正しいタイミングで公開・更新し、情報の陳腐化を防ぎます。
入力ミスを防ぎ、質を高める テックタッチ
  • Webシステムの画面上に直接「操作ガイド」を表示。
    「テックタッチ」があれば、不慣れなユーザーでも迷わず入力でき、データの欠損やミスを防ぎます。
    現場の負担を減らしながら、ボトムアップでナレッジの質を高めます。

小さな一歩が、組織の未来を拓く


ナレッジマネジメントの真の目的は、目の前の「課題解決」だけではありません。
それは、全社員の知恵がオープンに混ざり合い、新しい価値が次々と生まれ続ける「組織文化」を創り上げることです。
人口減少と変化の激しい現代において、この「知のインフラ」は、企業が勝ち残るための最強の武器となります。

しかし、組織の体質は「そのうち変わるだろう」と待っているだけでは変わりません。
「情報の入り口を一つにする」「熟練者の知恵を動画で資産化する」。
こうした現実的で具体的な一歩を踏み出すことから、組織の未来は拓かれていくのです。
その第一歩に困ったときは、ぜひお気軽にご相談ください。

参考


Zoom会議の録画方法|ミーティングを録画したら保存や共有はどうする?

日本国内で最も利用されているWeb会議ツール「Zoom」。
企業でZoomをより活用していくためのノウハウを解説します。

\ Zoom会議の録画・保存・共有を徹底解説 /
・Zoom会議の簡単な録画方法
・Zoomを録画した後、データの保存と共有はどうする?
・事例で解説!従業員1,200名がZoomを録画して起きた問題とは

AIエージェント / Agentic AI 導入における現実と解決策

「AIエージェントやAgentic AIで業務を自動化したい」と考えているけれど、なかなか進められない方はぜひご覧ください。

\ Agentic AI の基本から、導入のポイントまで! /
・Agentic AI って何?まずは基本を理解しよう
・企業が直面する「AIエージェント導入の3つの壁」
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