Progress Corticon
エネルギー専門メディア「スマートジャパン」(ITMedia)掲載記事
競争が激化する電力・ガス業界、コスト削減に有効な“業務判断の自動化”を実現する手法とは?
電力・ガスの自由化から数年が経過し、既に市場からの撤退を決めた企業も登場するなど、エネルギー業界の市場競争が厳しさを増していることはいうまでもない。こうした変化の激しい市場環境のなかで、長期的に生き残るためにはどうすれば良いのか――。そう考える事業者は多いはずだ。
その答えの一つとして、全企業が確実に取り組むべきポイントに挙げられるのが、業務生産性の向上だろう。電力・ガス業界においては、顧客管理や料金計算、請求書の発行など、さまざまな事務処理が発生する。これらの業務を効率化できれば、経営におけるメリットは非常に大きい。また、事務処理対応が追いつかず、新電力が破綻に追い込まれたというケースもある。
昨今こうした業務を、人手を介さず自動的に処理し、コスト削減や生産性向上を実現する手法として、「RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)」が注目されている。電力・ガス業界でもRPAの活用に取り組みはじめたという声を聞くことが増えてきた。
しかし、いざRPAツールを導入してみたものの、「思っていたよりも属人化した業務が多く、期待していたほど自動化の効果が出ない」といった課題に突き当たる企業も多い。「まだ導入はしておらず、本当に効果を発揮するソリューションを選びあぐねている」「導入はしたいが、大規模なIT投資やシステム改修は難しい。既存のITシステムと上手く親和性をも持たせたい」といった悩みを抱える事業者も多いのではないだろうか。
では、こうした悩みを解決し、競争が激化するエネルギー市場において効果を発揮するRPAとは、一体どのようなものなのか。カギとなるのは、人による判断業務までを対象にした“真の自動化”だ。以下ではそれを実現するための手法を解説しよう。
RPAツールでは自動化できない領域をどう乗り越えるか
業務自動化、生産性向上は従来のIT投資の主目的である。そのために多くの企業では、「システム化」に取り組み、ERPなどの基幹システムをはじめ、生産管理や受発注管理、顧客管理などさまざまなシステムを導入してきた。そして、最近では、ソフトウェアのロボットを活用して業務を「自動化」するRPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールの導入が進んでいる。
アシスト 東日本技術本部 情報基盤技術統括部
プログレス推進部 課長 佐藤彰広氏
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しかし、RPAツールを導入したことで業務の効率化、「自動化」ができているのだろうか。じつは、多くの企業がRPAツールを導入・活用しても期待しただけの効率化や自動化の効果を感じてはいないようだ。アシストのプログレス推進部の佐藤彰広氏は、その現状について、「RPAツールの導入・活用が進み、新たな課題が見え始めたところ」と分析する。「RPAツールが得意とする分野と、そうでない業務が明確になってきました。そして『不得意な分野』を自動化できないと、本当の意味での業務効率化が図れません。そこにRPA活用の限界を感じている企業も増えてきました」(佐藤氏)というのだ。 |
どうしてこのようなことが起きているのか。RPAツールが得意とすることは、表示された画面の内容を読みとったり、特定のボタンをクリックしたりといった作業を伴う、定型的なルーチンワークを大量にこなすことだ。佐藤氏によれば、「じつは一般企業においてそうした定型的なルーチンワークはそれほど多くはありません」という。金融機関だと全業務の10%ほどになるが、一般企業では3%ほどだ(アシスト調べ)。これではいくらRPAで自動化を実現しても、大きい効果をもたらす業務効率化は期待できない。
一方で、現場で実現したいことは画面の単純な操作だけではない。データを加工し、ときには手計算をおこない、特定の業務判断を頭の中で行う。これこそが解決すべき現場業務のラストワンマイル。従来のRPAツールでは、現場の従業員が本当に必要とする業務の自動化機能を提供するのは難しいのが実情なのだ。
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電力・ガス業界に根強く残る「業務自動化の障壁」
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多くの一般的な企業では、なし崩し的にRPAツールを導入してきた結果、その効果は一部の定型的なルーチンワークの自動化に過ぎず、十分な働き方改革が実現できているとはいい難い。現場でロボットを動かすことで実質的に管理者が不在となり、業務を変更しても間違った動作をし続ける「野良ロボット」という問題も引き起こした。これから本格的にRPAに取り組む電力・ガス業界では、RDAではなくエンタープライズRPAを導入すべきであるだろう。エンタープライズRPAこそが、電力およびガス自由化による影響が色濃く残る業務システムや、その他のバックオフィス全体において自動化を実現し、本当の意味での働き方改革を実現することができるのだ。
人間の判断業務も自動化するプラットフォーム「AEDAN」
システムと業務の両面から業務自動化を実現できることも「AEDAN」の特徴だ。RPAツールを使って業務の側から自動化するというアプローチをとることもできるが、ERPの側から設定したルールを呼び出して業務の自動化を実現してもよい。ERPやその他のサブシステムには組み込めなかったビジネスロジックを外部アプリケーションとして実装し、システムと連携させることで業務自動化を実現するのだ。
通常、電力・ガス業界では、発行された請求書の確認作業は、一定のルールのもと請求書の金額から請求明細を逆算する形で人間がチェックを行っているケースが多い。人間がチェックをする以上、場合によっては数千万から億単位にもなる請求書の全件を見ることは不可能なため、一部を抽出してサンプリングを行うことになる。しかしこうした手法だと、どこかで「人的ミス」が生まれる可能性は避けられず、実際に誤請求が発生したというケースもある。こうしたミスの撲滅に「AEDAN for 誤請求防止」をもとに自社のルールを投入していくことで、早期に成果を上げることが可能だ。
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AEDANをフル活用するためのノウハウも提供
その上でアシストから、教育やアドバイスなどを含めたトランスファー型の支援を受けることができる。多様に変化するビジネスの現場で、効果の高いエンタープライズRPAを実現するためには、ビジネスプロセスの変更に応じて現場で迅速に対応することが求められる。このため、アシストではユーザー自身が「AEDAN」というプラットフォームを使いこなすために最大限のサポートを提供している。
企業にとってRPAツールを使った生産性の向上は、働き方改革を実現し企業収益力にも貢献する、なくてはならないものとなっている。しかし、実効性の高いRPAを実現した例は決して多くはない。「AEDAN」によるエンタープライズRPAの実現は、競争が激化するエネルギー業界において、事業者の長期的な成長戦略に大きく貢献するだろう。
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