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アシストテクニカルフォーラム2021 開催報告

アシストテクニカルフォーラム2021

お礼

アシストテクニカルフォーラム2021を10月13日(水)から29日(金)の日程でオンラインにて開催しました。

企業のIT部門の皆様に最新の技術情報をお届けすることで、課題解決の一助としていただきたく、7つのテーマの技術セッションと2つの特別講演で全54セッションをラインナップし、2,264名に参加登録いただきました。(セッション視聴者の延べ数は、4,649名でした。)

特別講演の馬田隆明様および尾原和啓様のセッションはじめ、本イベントのセッションをご聴講頂いた方に、この場を借りて深く御礼申し上げます。

本イベントが、コロナ禍における皆様の企業活動や今後のDXの推進のヒントになれば幸いでございます。


株式会社アシスト
取締役 兼 常務執行役員
技術全般管掌 兼 ビジネスソリューション本部長
小林 太一


特別講演

未来を実装する
―― 2020年代のデジタル技術の社会実装の方法論

東京大学 FoundXディレクター 馬田隆明 氏

東京大学 FoundXディレクター 馬田隆明 氏

University of Toronto 卒業後、日本マイクロソフトを経て、2016年から東京大学。東京大学では本郷テックガレージの立ち上げと運営を行い、2019年からFoundXディレクターとしてスタートアップの支援とアントレプレナーシップ教育に従事する。スタートアップ向けのスライド、ブログなどで情報提供を行っている。著書に『逆説のスタートアップ思考』『成功する起業家は居場所を選ぶ』『未来を実装する』。

講演概要

2010年代は、スマートフォンの普及やクラウドの利用拡大によって多くのサービスが生まれ、また様々なテクノロジーを活用して多くの業界で変化がありました。2020年代に入り、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が日々語られ、多くの人が高い関心を寄せています。まさにデジタル技術が各業界を破壊し、変化を促進する時代と言えます。一方でデジタル技術はその影響力の大きさから規制の対象となりつつあります。これからのデジタル技術の社会実装には従来とは異なり、どのような対応が必要なのでしょうか。

約100年前に起こったEX(Electric Transformation)の一例である蒸気から電気への動力の変遷では、技術的イノベーションを活かすために制度や仕組み、組織の在り方、仕事のやり方など「補完的イノベーション」が必要でした。これからのDXにおいても同様にテクノロジーと社会・制度の両方を変えることが必要です。テクノロジーを社会実装し、大きな市場を創出するために必要なことは「インパクト」「リスクと倫理」「ガバナンス」「センスメイキング」という4つの要素です。

1:インパクト
インパクトとは「理想」です。良い理想を描くことは、現状と理想とのギャップを明らかにして、新たな課題とデマンドを生み出します。そして良い理想は様々な人を巻き込むことができます。さらにあるべき社会の理想を提示することで、理想が技術の進歩を引き出すのです。問題発見だけではなく、理想を提示して問題提起をする能力がこれからのビジネスパーソンに求められます。しかし、理想を描くだけでは十分ではありません。目指す社会とそこまでの道筋を描き、周囲を巻き込む必要があります。その際に活用できるツールとして「ロジックモデル」があります。ロジックモデルを使い「インプット/リソース」「アクティビティ」「アウトプット/実装」「アウトカム」「インパクト」を紐づけることで、事業が目指すインパクトやミッションから、日々の活動の位置づけや目標を整理することができるのです。

2:リスクと倫理
テクノロジーがもたらすものは良い影響ばかりとは限りません。テクノロジーは人間の悪い面にも影響を及ぼす可能性があります。リスクや倫理を常に考え、現在のテクノロジーの社会実装がどの位置にいるのかを見極めることが重要です。

3:ガバナンス
一方でリスクを馴致する、あるいは、イノベーションを促進するためにはガバナンスも欠かせません。ガバナンスは「法律」「社会規範」「市場」「アーキテクチャ」の4つの要素で構成されます。現在は新たなテクノロジーをうまく扱うためにガバナンスを構築するだけではなく、テクノロジーによって新たなガバナンスも可能になりつつあります。たとえばITを使うと、既存の法律の見直しや運用ができ、より効果的な法制度を作ることができるかもしれません。さらに、そうすることで新しい市場の開拓も見えてきます。

4:センスメイキング
多くの人々が関わる場合、一人一人が納得しない限り物事は先に進みません。その際に考えるべきことがセンスメイキング(納得感、腹落ち)です。「課題」「現状」「インパクト」「解決策(技術)」「リスクと倫理」「ガバナンス」という複数の項目にわたりセンスメイキングすることで、関係者全体が上手く機能していきます。

2020年代の市場の作り方は、まず「インパクト」を提示して問題提起するところから始まり、社会を巻き込みながら、新たなガバナンスを想定してより大きな影響力を持って進めることが非常に重要になっています。ITの技術そのものを発展させるだけではなく、ITを受け入れられる社会を共に作っていくことが、ビジネスにも求められ始めているのではないでしょうか。




DX第二回戦は日本にチャンス、
非連続変化を活かす戦略デザイン

IT批評家 尾原和啓 氏

IT批評家 尾原和啓 氏

京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を専門とし、経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。現在13職目 、近著「アフターデジタル」は11万部、元 経産大臣 世耕氏より推挙 11万部。「プロセスエコノミー」はAmazon書籍総合1位。https://obarakazuhiro.jp/

講演概要

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「デジタルによって非連続の変革、価値そのものが変わって従来と全く違う世界にいざなうITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことです。そして、そのDXで最も重要なのは、顧客へ提供する新しい価値の飛躍的向上・普及です。攻めのDXとして、自らが好まずとも起こり得る産業の破壊的変革の中で、勝ち続ける場を押さえるためには何をすべきなのでしょうか。3つの視点で見ていきます。

1:コトを起こすDX
DXと聞くと、AIやIoT、クラウドなどの技術をイメージしますが、デジタル化はあくまで手段です。では何を目的とするのか。徹底したユーザー目線で、顧客体験に基づいた価値を提供していくことです。顧客および社会を対象に技術で破壊的変革が起きうる新しいバリュージャーニーに自身(自社)をいかに組み込んでいけるかが重要なのです。

2:コトが起きる場を提供するDX
つながりの中でどのように変化していくかを予測することは難しくても、変化を起こすことを自らが加速させ、その加速を提供する場になれば勝つことができます。ものの特質が変化を加速させながら規則性を持った動き方をするのが「スケールフリーネットワーク」です。あらゆるものがつながることで進化が激しくなり、それが横の構造を作っていきます。横の構造かつスケールフリーネットワークを持つプレイヤーこそが、まったく新しいものを生みだすことができるのです。

これからDXの二回戦です。今までのDXはインターネットの中での進化をインターネットの中で培ってビジネス化していました。これからはリアルの世界をインターネットが覆いつくすことで変わっていきます。市場を席巻している「GAFA」は基本的に小売りと広告ビジネスで成り立っています。アメリカのGDPで見てみると小売と広告あわせて7%であり、GAFAはその割合の中で独占的な位置を獲得し、時価総額トップに躍り出ています。残りの93%には不動産やサービス業、製造業や教育・医療、金融、娯楽などの業界があります。この93%をスケールフリーネットワーク化することで日本が優位に立てる領域が出てきます。業界をさらに細分化してターゲットを絞ることで様々なプレイヤーにとってビジネスチャンスがあるのです。従来から小売や製造などリアルな接点に大きな強みを持っている日本こそ、そこでスケールフリーネットワークを先んじて獲得する存在になることができればチャンスがあると言えます。

3:小兵としてのDX
徹底したユーザー目線で体験価値を創出することで勝てるかもしれません。一方でスケールフリーネットワークにより新しいモノを起こす場を作ることで勝てるかもしれません。もう1つ重要なのは、産業変革がどこで起きるかを見極め、自分たちの勝てる場を探していくことです。それが小兵としてのDXです。

そこで勝ち続けるには「AI」が重要になってきます。これまでは自分たちがデータをすべて収集し、良いものを提供していましたが、必然的に良いデータが集まってくるループを作る。このように産業変革を先回りしてどこが次の一等地になり得るかを見極め、そこで戦略的に勝ち続ける仕組みを作ることで日本は勝ち続けられるのです。

テクノロジーは想像以上のスピードで進化しています。最も大事なことは、つながりの中でユーザーをどのような価値に導くのか、また、何を流通させればDXが起こるのか?そして、誰かが起こした産業変革で自分が勝ち得る一等地とそこでデータが集まるループがどこなのか?を考える「想像力」です。想像力を持つためにはできるだけ大きく考え、大きく動く必要があります。2009年はリーマンショックで既成概念が揺らいだ後、スマホ・ソーシャル技術の成熟と重なりネットワーク革命に乗ったスタートアップがGAFAを筆頭に勃興しました。2020年のコロナショックで既成概念が揺らいだ後、5G/IoT/AI/VRの技術の成熟と重なり、リアルが変革するDX二回戦が起きるのです。このDX二回戦を掴めるのは日本です。次はあなたの番です。想像力を働かせて、それをどのようにつないで世の中の変革にしていくかを楽しんでください。


アシスト印の厳選!技術ライブラリ

各種テクニカルセッションの放映に加え、セッションに関連した様々な技術資料の公開や動画の放映を行いました。

プレオープン期間
昨年の同イベントの講演動画から、特に好評だったセッションを厳選して期間限定で公開し、多くの皆さまにお楽しみいただきました。

ライブ・オンデマンド配信期間
テクニカルセッションの講演者が厳選した資料や動画を公開しました。
視聴セッション以外でも、気になるテーマの資料や動画をご覧いただきました。


アンケート結果

満足度(ATF2021)


(クリックで拡大します)

視聴者の声

特別講演について

  • 大変おもしろかった。最近のウェビナーではNo.1です。
  • 営業の方々から丁寧にご案内いただき、またいつも通りのビッグなゲストの基調講演に満足です。
  • DXの広がりと変革、今後の展開に希望が持てる内容でとてもよかったです。
  • DXについて熱量のある講演でした。今後の企画提案の参考にしたいと思います。
  • センスメイキングがいかに大切か、明確な言葉で腹落ちしました。
  • デマンドの在り方、考え方にとても興味があり納得感を得られました。

テクニカルセッションについて

  • 旬なテーマアップで良かったと思います。
  • 最新動向を知ることができ、今後の提案時の参考になりました。
  • 詳しい説明がされているセッションが多く、具体的なイメージをもつことができました。
  • 多種多様な内容で選択肢がたくさんあってよかった。説明がわかりやすかったです。
  • 無料のセミナーとして視聴できる内容としては実に充実したものでした。今後も楽しみにしています。

メディア協賛

プログラム

2021年10月13日(水)セッション

2021年10月14日(木)セッション

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