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2023.12.06

配属4ヵ月目でお客様対応に挑戦!オラクルサポート担当育成の裏側を22卒社員が紹介

この記事は、 JPOUG Advent Calendar 2023 6日目の記事です。5日目は wrcsus4 さんの記事『[小ネタ] コーソル流 KVM環境Tips集 | コーソルDatabaseエンジニアのBlog』でした。

アシストサポートセンター2年目の蓮沼です。2022年度に新卒で入社しOracle Database製品のサポートチームに配属されてから、気がつけば1年以上が経ちました。

入社当時は「IT関係の経験がなくサポートセンターで働くのは難しそう…」と考えていましたが、周りの方々の助けもあって、お客様のサポート対応業務を担えるようになりました。そのため、サポートセンターに配属されてからお客様対応を開始するまでの社内研修やスケジュールを振り返りながら、この記事を書くことにしました。

サポートエンジニアの業務に興味のある方や、社内研修制度や新人教育を検討されている方のご参考になれば幸いです。



1.お客様対応デビューまでの研修全体像

私が所属しているOracle Database製品のサポートチームでは、新入社員の育成に特化したチームが存在します。以前は複数のチームに分かれて新入社員が配属されていたのですが、指導担当の先輩社員によってサポートサービスの品質が変わったり、育成カリキュラムの内容に差異が出てしまうことが課題でした。

新入社員の受け入れ先を固定することで、同一のカリキュラムでお客様対応デビューまでのスケジュールを組むことが可能になり、同一の品質でサポートサービスを提供できるようになりました。

図:研修スケジュール

また、私自身もチームのメンバーとして、育成スケジュールのブラッシュアップに貢献する役割がありました。お客様対応デビューに向けて計画されたスケジュールをただこなすだけではなく、実際にかかった時間や振り返りを記録しておき、翌年の研修スケジュールを提案することも新入社員の大事なミッションです。


研修のスケジュール感

新入社員の全体研修を終えた後、7月中旬にOracle Database製品のサポートチームに配属されました。そして、お客様対応デビューを果たしたのは4ヶ月後の11月でした。

約4ヶ月間の全体の流れはこのような感じです。

最初の2ヵ月半は、座学を中心とした研修でOracle Databaseの製品知識を習得し、その後はサポート業務を学びました。Oracle Databaseの運用中に発生するエラーの調査方法や、先輩社員による模擬お客様対応を通じて、実務のイメージをつけていきます。

今回は、この4ヶ月間の研修のうち「Oracle Database製品知識習得」と「模擬お客様対応」についてもう少し具体的にご紹介します!


研修の内容を一部公開!

Oracle Database製品知識習得

Oracle Database製品知識の習得期間は、初めにデータベース製品担当となった各地区のフィールドエンジニア、サポートエンジニア職の同期入社の社員と一緒に、Oracle研修を社内受講します。この研修は、アシストがお客様向けに提供しているセミナーと同じ内容で、同じテキストを使用しています。研修では、「Oracle入門 」「SQLトレーニング 」「データベース・アーキテクチャ 」「データベース・マネジメント 」と段階的に受講することで、体系立てて学ぶことができます。

それまでデータベースに触れたことがなかったので初めは難しく感じました。しかし、講義を通して身近なシステムを例にデータベースの内部構造や操作方法を丁寧に教えていただいたおかげで、何も分からず不安な状態を抜け出すことができました。

また、ただ講義を受けるだけではなく、各研修の合間に復習の期間が設けられています。復習期間中には、先輩や同期社員に向けてプレゼン発表を行う機会があります。このプレゼン発表準備のためにOracle Databaseを操作することで、より製品知識が身に付く機会となりました。

以下は、プレゼン発表の実際の様子です。写真だけでは人数が少なく見えるかもしれませんが、Web会議を通じて各拠点が接続されており、実際には50名以上のデータベース製品担当者が参加しています。

図:2023年度のプレゼン発表

復習の期間は、サポートセンターでは新入社員1人につき、日替わりでフォロー担当の先輩社員をつけています。先輩社員と話す機会にもなり、相談先が明確だったことで質問もしやすかったので、当時新入社員だった私にはありがたい仕組みでした。今では私も先輩社員として、2023年度入社の新入社員のフォローをしています。


模擬お客様対応

模擬お客様対応では、先輩社員がお客様役になり、Web、メール、電話と全てのチャネルでお問い合わせ対応のシミュレーションを行います。

問い合わせシステムの操作方法などサポート対応を行う上で必要な業務知識や、不在時のお問い合わせ引き継ぎ方法といった意味や意図の理解が必要な社内文化は、チェックリストを用いて自己学習できるようになっています。

図:サポート対応デビューまでの業務スキルチェックシート(抜粋)

また、問い合わせ対応時に使用するシステムは、アップデートによって操作方法が変わることもあるので、資料と実際の内容に差異があった場合は修正をするのも新入社員の業務です。

サポート対応のシミュレーションは、「質問を受ける」→「調査して回答する」→「お客様役の先輩社員からフィードバックを受ける」という流れで行われます。このとき、調査段階や回答時に先輩社員への相談はありません。自分で考えて作成した回答に対してアドバイスをもらうことで、サポート業務への理解が深まりました。

また、Oracle Database製品は、マニュアルだけでなく、My Oracle Supportのドキュメント、社内事例とナレッジが豊富なので、回答期限までの限られた時間の中で情報の取捨選択を行い、お客様に伝わる文章にまとめるのは難しく感じます。

シミュレーションを通して、サポート業務ではお客様の質問を正しく把握し、答えを出すために何を調べるかどう伝えるかが重要であることを学びました。

先輩社員との模擬サポート対応が終わった後は上司の最終チェックを受け、その後、晴れてお客様対応デビューとなります。これからサポートエンジニアとして業務を開始するにあたり、不安な気持ちを抱えつつも、研修で習得した知識でお客様のお役に立てるという期待感を持っていました。


2.お問い合わせデビュー後の教育体制

お問い合わせ対応時のフォロー体制

お客様対応を開始してからは、模擬対応と異なり、先輩社員への相談が必須となります。お客様の質問の意図を正しく把握できているか、調査方針は合っているか、回答の文面は正しいか、一つのお問い合わせに対して多い時は10回以上相談しているのでは、というくらい相談をしています。

お客様のサポート対応は緊張感がありますが、サポートセンターでは外出が少ないため、オフィスには常に先輩社員が多く、いつでも相談ができる安心した状態で対応が可能です。

ここでは、実際にお客様からお問い合わせを受けてから、回答を提供するまでの流れや、社内の教育体制をご紹介します。


お客様への回答提供ルール

現在、このような流れで対応しています。

お客様対応を始めたばかりのサポートエンジニアがお客様に回答を提供する際は、必ず5年目以上の先輩にチェックをしてもらうルールになっています。

余裕を持って回答をチェックしてもらえるように調査のスケジュールを立て、急ぎのお問い合わせは調査方針を決める段階からこまめに先輩社員に相談することで、お客様に要望いただいた回答期限に間に合うように工夫しています。また、お客様の満足度やサポートスキル向上のため、多くの先輩社員にフィードバックをもらう機会が設けられています。


自己満足度アンケート

お問い合わせが終了した際は、「自己満足度アンケート」を実施し、自分のサポート対応をお客様目線で評価します。

これは、たとえお客様からのアンケート評価が「非常に満足」だったとしても、自分自身が「お客様を満足させることができた」と感じるサポートサービスを提供している意識がなければ、サービスの品質を一貫して保つことはできない、という考えから始めたそうです。

サポート対応終了時に自身の対応を振り返ることで、よりお客様に満足していただくための課題を見つける機会になっています。

アンケートの回答は面談で上司と一緒に振り返り、評価の根拠を擦り合わせたり、より早く正しい回答をお客様に提供するにはどうアプローチすればよいかなどアドバイスを受けます。また、検証環境が不足しているなど、業務を遂行する上で非効率な箇所を共有するためにも、このアンケートを利用します。


図:実際のアンケート内容


サポートセンター内ローテーション

サポートセンター内ローテーションは、新入社員が一定のサポート対応の基礎を身に付けた後、他チームの先輩社員が日替わりでフォロー担当になる制度です。

Oracle Database製品は製品数が多く、非常に幅が広いため、サポートセンターでは担当製品ごとにチームが分かれて業務を行っています。お客様対応を開始して初期の段階では、複数の製品にまたがるような問い合わせ対応をすることは少なく、他チームの先輩と業務で関わる機会はそれほど多くありません。

この制度により、新入社員は様々な先輩とコミュニケーションを取る機会を得られ、調査方法や回答作成方法を直接学ぶことができます。


資格取得

お客様対応のデビュー後は、年内にOracle Master Silverの取得を目指します。集中して取り組めるよう、学習開始から合格まで2、3週間ほどお問い合わせ対応は停止されます。基本は自己学習ですが、複雑な内容は先輩に質問しながら進めることができます。

一度サポート業務を経験したことで、テキストに記載されている製品のアーキテクチャが研修期間の頃と比べてさらにイメージできるようになりました(無事合格できました!)。

現在は、検証でも利用することの多いLinux環境理解のため、LinuC レベル1の資格取得を目指しています。


3.職場の雰囲気

現在、私たちはテレワークと出社を組み合わせたハイブリッド体制を採用しており、出社率は大体50-70%くらいです。皆さんは基本的に業務に集中しているため、普段は図書館のような静かな雰囲気です。

営業やフィールドエンジニアの方々が案件の相談に訪れることもよくあり、そのときは少し賑やかな雰囲気になります。他の職種の方々のお話を聞けるのは、良い気分転換になっています。

図:サポートセンターの様子

プライベートでは、ゲームや楽器などのインドアな趣味を持つ方や、テニス、ダイビング、スノーボードなどのアウトドアな趣味を持つ方もおり、休日に社員同士で一緒に遊びに行く人もいます。私自身は、最近ボードゲームのカタン大会に参加しましたが、残念ながら大敗してしまいました。

食事や飲み会は、行きたい人が行きたい時に行く文化です。歓迎会も新入社員が希望すれば、歓迎会も先輩が企画してくれます。


4.さいごに

サポートセンターの紹介記事、いかがだったでしょうか。1年目を振り返ってみようと思い、この記事を書きましたが、改めて「難しい業務だけど、周りのサポートのおかげで楽しく仕事ができているな」と思えています。

現在は先輩の助けありきな状態ですが、先輩方のお問い合わせ対応内容やアドバイスから文章表現・技術知識を学び、いち早く自分の力でお客様のお役に立てるよう頑張ります。

図:サポートセンター若手


執筆者情報

はすぬま ちさと プロフィール画像

2022年入社。Oracle Database製品のサポートセンターでテクニカルサポートを担当し、現在はフィールドエンジニアとして活動。趣味はラーメン巡り。...show more


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