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2022.09.09

【JP1/ITDM2】情報漏洩の徹底防止!USBデバイスの制御機能を使いこなそう!

【JP1/ITDM2】情報漏洩の徹底防止!USBデバイスの制御機能を使いこなそう!

2022年6月、兵庫県尼崎市の全市民46万人分の個人情報が入ったUSBメモリが、一時所在不明となりニュースになりました。この事をきっかけとして、USBデバイスの管理見直しを検討されるJP1/ITDM2ユーザ様も多く、サポートセンターにも本機能について多数のお問い合わせをいただきました。
そこで今回のブログでは、JP1/ITDM2のデバイス制御機能の概要や利用方法についてご紹介します。

JP1/ITDM2 の USBデバイス制御機能とは

JP1/ITDM2 では、
・登録済みのUSBメモリ以外の使用禁止
・特定のUSBデバイスすべてを使用禁止(読み書き禁止)
・特定の種別のUSBデバイスについては書き込み抑止のみ行う
といった制御ができます。
この制御機能により、使用を許可していないUSBデバイスが利用者のPCに接続された場合に、管理者はすぐに把握ができます。

デバイス制御機能イメージ

JP1/ITDM2 の USBデバイス制御機能でできること

使用を抑止する機能

使用抑止の対象となるデバイスの一覧を、下記の図で示します。
なお、抑止対象としたいデバイスが、JP1/ITDM2 で抑止可能となるかについては、OSのデバイスマネージャーで、「何のデバイスとして認識されるか」によって決まります。JP1/ITDM2 で抑止対象とする前提条件の詳細は、マニュアルのこちら を確認ください。

赤枠の単位で、書き込みのみ抑止する設定も可能です。

使用抑止対象デバイス一覧


登録済みのUSBメモリのみ使用を許可する機能

USBメモリについては、管理者側で許可登録したデバイスのみ使用を許可できます。これにより、社内で管理している業務用のUSBメモリのみ使用を許可し、私物のUSBメモリは使用を禁止することができます。
使用を許可する設定は2種類あります。

1.個別に許可する設定
JP1/ITDM2ではUSBデバイスの識別時に、USBデバイスの「デバイスインスタンスID」を利用します。ユニークなデバイスインスタンスIDを持つUSBデバイスは、各デバイス毎に個別に使用を許可できます。

2.製品単位(メーカー単位)で許可する設定
一方、USBデバイスによっては、デバイスインスタンスIDが変化したり、ユニークでないものが存在します。JP1/ITDM2ではデバイスインスタンスIDの一部を用いた前方一致による許可登録ができます。これにより、同じメーカーのUSBデバイスはすべて使用を許可するといった設定も可能です。


設定方法

デバイスの抑止設定

本手順では、下記の流れを想定した手順をご紹介します。

①現在適用済みのセキュリティポリシーのコピー
②デバイスの抑止設定の有効化
③セキュリティポリシーの適用

以下、詳細手順です。

①現在適用済みのセキュリティポリシーのコピー

本番適用前の動作確認のために、新規でセキュリティポリシーを作成します。

新規でセキュリティポリシーを作成するにあたって、JP1/ITDM2 導入時にデフォルトで適用されている「デフォルトポリシー」もしくは、既に運用でご利用いただいているセキュリティポリシーの設定をベースとするために、現在適用済みのセキュリティポリシーをコピーします。

1.[セキュリティ]画面を選択後、[セキュリティポリシー一覧]を開きます。

セキュリティポリシー

▲クリックで画像拡大

2.コピー対象となるセキュリティポリシーを選択し、画面右上 [操作メニュー]より、[ポリシーをコピーする]を
 クリックします。

セキュリティポリシー

▲クリックで画像拡大

3.[セキュリティポリシー名]に任意の名称を指定します。

セキュリティポリシー

▲クリックで画像拡大


②デバイスの抑止設定の有効化

1.[禁止操作]を選択し、[有効]状態にします。

デバイスの抑止設定

▲クリックで画像拡大

2.[機器の使用抑止]欄にある[使用抑止デバイスの一覧]にて、抑止対象としたいデバイスにチェックを入れま
 す。

デバイスの抑止設定

▲クリックで画像拡大

3.[抑止メッセージ表示デバイスの一覧]にて、必要に応じて表示対象とするデバイスにチェックを入れてくださ
 い。


JP1/ITDM2が該当のUSBデバイスを抑止した際に、抑止した旨のメッセージを利用者端末側に表示させることができます。(表示メッセージのサンプルは、「③セキュリティポリシーの適用」の項番3で確認いただけます)

その後、[OK]ボタンを押下し、セキュリティポリシーの設定を保存します。

デバイスの抑止設定

▲クリックで画像拡大

ここまでの作業により、セキュリティポリシーの作成と、作成したセキュリティポリシーに対して、デバイスの抑止設定の追加が完了します。続いて、特定のPCに対して、作成したセキュリティポリシーを適用します。


③セキュリティポリシーの適用

1.[機器のセキュリティ状態]-[機器一覧(機器種別)]を選択し、セキュリティポリシーを適用したいエージェントPCに
 チェックを入れます。その後、[操作メニュー]より、[ポリシーを割り当てる]をクリックします。

セキュリティポリシー

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2.[ポリシーの割り当て]画面にてプルダウンを開き、適用したいセキュリティポリシーを選択し、[OK]ボタンを
 クリックします。

セキュリティポリシー

▲クリックで画像拡大

3.[割り当てたポリシー]列にて、新しいセキュリティポリシーが割り当てられることを確認します。

セキュリティポリシー

▲クリックで画像拡大

ここまでの作業により、マネージャーサーバ側でエージェントPCに対するセキュリティポリシーの割り当て作業が完了します。セキュリティポリシーが割り当てられますと、即時にエージェントPCに対して、新しいセキュリティポリシーが送信されます。エージェントPCにてセキュリティポリシーの設定を受信しますと、デバイス制御の設定が反映されます。

抑止メッセージを表示する設定を行っていた場合、抑止対象のエージェントPCでUSBデバイスを使用すると下記メッセージがエージェントPC側に表示されます。

デバイスの使用抑止


登録済みのUSBデバイスのみ許可する設定

本手順では、下記の流れを想定した手順をご紹介します。

①[登録済みのUSBデバイスは使用を許可する]の設定を有効化
②USBデバイスの許可登録

以下、詳細手順です。

①[登録済みのUSBデバイスは使用を許可する]の設定を有効化

前述の「デバイスの抑止設定」にて作成したセキュリティポリシーに対して、「登録済みのUSBデバイスは使用を許可する」の設定を有効にします。

1.[禁止操作]を選択し、[USBデバイス]の[抑止設定]列にて、[登録済みのUSBデバイスの使用を許可する]にチェック
 を入れ、[OK]ボタンを押下します。


※[使用を許可する資産を限定する]の設定に関する詳細は、こちら のブログで紹介しております。

登録済みのUSBデバイスは使用を許可する

▲クリックで画像拡大


②USBデバイスの許可登録

USBデバイスの許可登録を行います。JP1/ITDM2 - Agent を導入している端末をご用意ください。

1.Windows のスタートメニューより、[JP1_IT Desktop Management 2 - Agent] 内にある [USBデバイスの登
 録] メニューをクリックします。

USBデバイスの登録

2.USBデバイスの登録画面が表示されることを確認し、登録したいUSBデバイスをPCに接続します。接続後、
 登録可能なUSBデバイスの場合、下記の通り情報が表示されるため、[登録]ボタンをクリックします。

USBデバイスの登録

▲クリックで画像拡大

3.USBデバイスの登録画面にて、下記の通りチェックを外し、[OK]ボタンを押下します。

USBデバイスの登録

▲クリックで画像拡大

4.USBデバイスの情報がマネージャーサーバに通知されます。

USBデバイスの登録

▲クリックで画像拡大

ここまでの作業により、許可登録対象のUSBデバイスの情報をマネージャーサーバに登録できます。しかし、このままでは抑止の除外対象(ホワイトリスト)に登録されません。この後の作業により、登録されたUSBデバイスを、管理者側で許可対象にします。

5.[資産]画面を選択し、[ハードウェア資産]-[資産一覧(部署)]を選択します。

USBデバイスの登録

▲クリックで画像拡大

6.フィルタのアイコンをクリックし、USBデバイスの情報のみ表示する設定にします。

USBデバイスの登録

▲クリックで画像拡大

7.登録作業を行ったUSBデバイスの情報が表示されることを確認し、チェックを入れ、[状態を変更]ボタンを押
 下します。

USBデバイスの登録

▲クリックで画像拡大

8.[資産状態]を[運用中]に変更し、その他必須項目を入力後、[OK]ボタンを押下します。

USBデバイスの登録

▲クリックで画像拡大

ここまでの作業により、登録されたUSBデバイスが抑止の除外対象(ホワイトリスト)に登録されます。ホワイトリストは順次エージェントPCに送信されます。

使用を許可していないUSBデバイスの接続状況の確認方法

本機能を利用し、実際にエージェントPC側でUSBデバイスが抑止されると、JP1/ITDM2 の Web管理画面より、どの端末で何回抑止が行われたか確認可能です。

1.[レポート]-[セキュリティ詳細レポート]-[禁止操作の状況]を開きます。

USBデバイスの接続状況の確認

▲クリックで画像拡大

2.[オプション]より、[対象操作]に[機器の操作]を選択し、[適用]ボタンをクリックします。

USBデバイスの接続状況の確認

▲クリックで画像拡大

管理対象となっているエージェントPCの中で、抑止処理が行われた回数を確認できます。USBデバイスで何かを行おうとしたユーザーを洗い出すための参考情報として活用いただき、情報漏洩対策をご検討ください。

デバイス制御機能に関するよくあるご質問

デバイス制御機能について、サポートセンターに多く寄せられたご質問と回答についてまとめます。

●スマートフォンやタブレットは、許可登録できますか?

 許可登録できません。上記デバイスは、Windows ポータブルデバイスとして認識されることが多く、
 抑止するか否かの設定でご利用ください。

●デジタルカメラは、許可登録できますか?

 デジタルカメラの機種によっては、USBメモリと同じデバイスとしてOS側で認識される事例がございま
 した。その場合は、許可登録できます。機種によっては、Windows ポータブルデバイスとして認識
 される場合もございます。

●デジタルカメラを許可登録していたが、資産情報の[機器種別]を「USBデバイス」から任意の機器種別
 に変更したところ、抑止されるようになってしまいました。

 [登録済みのUSBデバイスの使用を許可する]の機能が有効となる資産は、[機器種別]が「USBデバイス」
 のもののみとなります。[機器種別]を「USBデバイス」に戻してご利用ください。

●1度許可登録をしたUSBメモリを再度PCに接続し直したところ、抑止されてしまいました。

 JP1/ITDM2のデバイス制御は、各デバイスのデバイスインスタンスIDをもとに行います。
 そのため、接続する度にデバイスインスタンスIDが変更されるようなUSBメモリについては、各デバイ
 スインスタンスID毎に許可登録を行っていただくか、前述しました製品単位での許可設定で対応いただ
 く必要があります。また、パスワード機能が搭載されているUSBメモリの場合、パスワード解除前と
 パスワード解除後によって、デバイスインスタンスIDが変わることがあります。その場合は、
 パスワード解除前とパスワード解除後の状態で、USBデバイスの許可登録を行うことで対処できる
 場合があります。

●マウスやヘッドセットは抑止されてしまいますか?

 抑止対象となりません。JP1/ITDM2 における抑止対象となるデバイスについては、こちらの図を確認
 ください。

●書き込み抑止の設定を有効、かつ [登録済みのUSBデバイスの使用を許可する] の機能を利用している場合、
 登録済みのUSBデバイスについては、読み込みも書き込みもできるのですか?

 書き込み抑止の設定を有効にしつつ、登録済みのUSBデバイスについては読み込みも書き込みも許可す
 るといった設定はできません。登録済みのUSBデバイスについては、読み込みのみ可能です。


まとめ

今回は、JP1/ITDM2 におけるデバイス制御の基本機能の概要から、利用方法や、よくあるご質問内容をご紹介しました。JP1/ITDM2 では、USBデバイスの抑止だけでなく、抑止の履歴情報を保持しており、レポート機能によって情報漏洩に繋がる恐れのあるPCを特定できます。現在適用済みのセキュリティポリシーをコピーし、簡単にデバイス制御のテストを行えるため、まだ本機能をご利用いただいていない方は、この機会に是非ご活用ください。


製品正式名称(略称表記) および機能対象バージョン

製品正式名称(略称表記) および機能対象バージョン
JP1/IT Desktop Management 2 (JP1/ITDM2) 10-50以降
JP1/IT Desktop Management 2 - Operations Director(JP1/ITDM2-OD)


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執筆者情報

2013年、株式会社アシスト入社。Oracle製品を担当後、2015年よりJP1の顧客サポートを担当。「超サポとは感情に働きかけるサポート」を信念にお客様にご満足いただけるサポートを提供できるよう、奮闘中。

趣味は、バイクツーリングと筋トレ。

引間 康将

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