ゼロから学ぶ!クラウド&AWS入門
2024.01.12
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<執筆者> 柴崎 達也 Shibasaki Tatsuya
クラウド技術本部 クラウド技術部
2022年中途入社。前職はストレージエンジニアとして業務を経験し、現在はAWSのフィールド業務を担当している。
好きなAWSサービスは Amazon FSx
。
趣味はポタリングで、定期的にナイトライドを楽しんでいる。
運動不足解消も兼ねているが、出先でよく外食してしまう。
オンプレミス環境を構築する時の課題
新年に何かを一から学びたい人、今年はクラウドに取り組む必要がある人、そろそろAWSに向き合いたい人のために、本コラムでは今さら聞けないクラウドやAWSの基本についてご紹介したいと思います。
まずは、自社でオンプレミス環境を構築する時、どのような点に困ることが多いのか考えてみましょう。
Web3層(Webサーバー、APサーバー、DBサーバー)の機器を自社で導入・運用する時にどのような課題が挙げられるでしょうか?
1.システム導入/変更に時間がかかる
当たり前ですが、まずは設置先へ出向く必要があります。
設置先が遠方にある/複数箇所にある場合は、移動するだけでもかなりの時間がかかります。
さらに、導入後に新たなH/Wがリリースされたような場合でも、すぐに取り入れることは難しいでしょう。
2.最適なリソースの確保が難しい
システム構築前に必要なリソースを予測して、最適なハードウェアやソフトウェアを準備する必要があります。
しかし予測するのは難しく「少し余裕をもったリソース」を確保せざるを得ません。その結果、リソースが無駄になることもあります。
逆に、リリース後に想定以上に負荷がかかってスケールアウトをしたい場合も、すぐに対応することは難しいです。
障害が発生した場合は、パーツの交換やバックアップから復元する作業に時間がかかってしまいます。
3.コストが高い
ハードウェアそのものや、それらの運搬作業、導入する時の移動など、色々と費用が掛かり初期投資額が大きくなりがちです。
リリース後もハードウェアの運用管理コストが必要です。
このように、オンプレミス環境を構築する時には様々な課題があります。
これらの課題を解決できるのがクラウドです。
クラウドを利用するメリット
なぜクラウドが良いのかを話す前に「クラウドとは何か」の認識合わせをしておきましょう。
クラウドとは
インターネット越しにサーバーにアクセスするための技術。
クラウドに置いたデータは、インターネット経由でどこからでもアクセスが可能。
<利用例> Webアプリケーション、ソフトウェアの開発環境、データの保存先、データのバックアップ
では、クラウドを利用するメリットは何でしょうか?
1.システム導入/変更に時間がかからない
どこからでもアクセスが可能なため、世界中のデータセンターを利用することができます。オンプレミスのように「設置先へ出向く」必要がありません。
設定も簡単で、Webコンソールで操作するだけで設置が完了し、日々リリース・アップデートされる最先端の技術を取り入れることもできます。
クラウドによくある
マネージドサービス(通常利用者が行うサーバー管理などの作業を代行してくれるサービス)
であれば、
・インフラ部分などをクラウド事業者に任せて、利用者は自社の主力サービスに注力できる
・構築範囲が少ないため、システム構築をスピードアップできる
・クラウド事業者が最新技術の導入や推奨する設定をしてくれるため、意識せずに最新技術を利用できる
というメリットもあります。
2.最適なリソースの確保ができる
システム構築前に最適なリソースを予測する必要はありません。
コンサートチケット販売開始のタイミングなど、需要が高くなる時期だけクリック数回でリソースを増やすことができます。
その時期が過ぎれば、またクリック数回でリソースを減らすこともできます。
障害が発生した場合でも、事前に準備しておいたサーバーに切り替えたりバックアップから復元したりする作業も、
時間をかけずにスピーディに対応できます。
3.コストが抑えられる
ハードウェアそのものや、運搬作業、移動などに費用がかからないため、初期費用は不要です。
また、使用したリソース分だけ支払いをすることで、コストを抑えられるケースもあります。
オンプレミスとクラウドのコスト比較
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このように、オンプレミスと比較すると、クラウドには様々なメリットがあることが分かります。
AWSを利用する6つのメリット
そんなクラウドの中でも シェアNO.1なのが「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」です。
シェアNO.1の理由にも繋がるAWSを利用するメリットを6つご紹介します。
1.構築スピードが速い
メールアドレスとクレジットカードがあれば、
数分でアカウントを作成
できます。
アカウント作成直後からすべてのサービスを使うことができ、サービスを終了したい場合もいつでもすぐに終了することができます。
簡単にスピーディに構築ができるため気軽に新しい挑戦ができます。やってみてうまくいかなければ、規模を縮小したり、やめることも容易です。
2.リソースを自動変更できる
クラウドのメリットと同様に
柔軟にスケールアウト/スケールインが可能
で、ピークに応じて
リソースを自動変更
できます。
TVショッピングの放映直後に閾値を越えたら自動でサーバーリソースを増やしたり、夜間や休暇は基幹システムを停止したりすることで、ビジネスの機会損失を防ぎつつコストを抑えることができます。
3.コストを抑えられる
クラウドのメリットと同様に
初期費用無料
で、使った分だけ支払う
従量課金
です。
それだけでなく、世界中に多くのサーバー、多くの利用者がいるスケールメリットを活かし、過去129回以上値下げをしています。
4.200を超える最先端のサービスを利用できる
AWSでは200を超えるサービスを提供しています。
主要なコンピュート、ネットワーク、セキュリティ関連から、ゲームや機械学習、IoTなどの最先端技術も提供されています。
これらのサービスや機能の90%以上はお客様のリクエストからできており、皆様が考える「あったらいいな」が見つかる、もしくは今後実現されるケースが多いのではないでしょうか。
AWSが提供するサービス(一部抜粋)
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5.グローバル展開&万全な災害対策ができる
AWSは「リージョン」と呼ばれるサービス拠点をグローバル展開しています。
また、リージョンは「アベイラビリティゾーン(AZ)」という複数のデータセンター群で構成されています。
現在は全世界に33のリージョン、105のアベイラビリティゾーンがあります。
世界中にリージョンがあることで、
迅速なグローバル展開が可能
です。
国外のリージョンにバックアップをとっておくことで、国内で
大規模な災害が起きた場合でもすぐに復旧
できます。
一つのリージョン内にあるAZ同士は専用のネットワークで接続しており、低遅延でアクセスできます。
信頼性が高く、一つのAZに障害が発生しても、他に影響を与えません。
自動的にAZ間でデータをコピーするサービスがあるので、
データセンターレベルの障害が起きても困りません
。
知っておきたいAWS専門用語「リージョン」
リージョンとは、物理的にデータセンターを設置している地域を指します。
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出典:AWS グローバルインフラストラクチャ
https://aws.amazon.com/jp/about-aws/global-infrastructure/
(2023年1月12日時点の情報)
知っておきたいAWS専門用語「アベイラビリティゾーン(AZ)」
アベイラビリティゾーンとは、リージョン内のデータセンターの集まりを指します。
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6.高いセキュリティを担保できる
AWSはセキュリティを最優先事項として挙げており、300種類以上のセキュリティツールを提供しています。
厳格なコンプライアンス要件に対応しており、第三者機関による検証も行っています。
そのため、特にセキュリティに敏感な政府や医療機関、金融サービスなどでも利用されています。
このような理由から、AWSは多くの業種、多くの企業で利用いただいており、高いシェアを占めています。
AWSの知っておくべき基本のサービス
AWSには多くのサービスがあることをお伝えしましたが、その中でもまず押さえておきたいのは以下4つのサービスです。
AWSのアーキテクチャ図(Web3層)
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Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)
https://aws.amazon.com/jp/ec2/
Amazon EC2は、仮想マシンをレンタルできるサービスで、以下の特徴があります。
・数分程度ですぐに構築/利用できる
・要件にあった物理リソース(CPU/メモリ/ディスク)を搭載するサーバーを選択できる
・利用した分だけ支払う(サーバーが動いていない時は課金なし、一時的な利用もOK)
Amazon RDS(Amazon Relational Database Service)
https://aws.amazon.com/jp/rds/
Amazon RDSは、データベースのマネージドサービスで、以下の特徴があります。
・数分程度ですぐに構築/利用できる
・ソフトウェアのパッチ適用、バックアップ作成、スナップショット作成、フェイルオーバーなどの作業を、AWS社にお任せできる
・データ保管時/転送時に暗号化できる
データベース構築時にAmazon EC2とAmazon RDSのどちらを選択するかや、構築イメージ、構築時の注意点などは、過去のコラム「AWSにOracle Databaseを移行する理由と注意点
」で解説していますので、ぜひこちらも参考にしていただければと思います。
AWS上でデータベースを利用する時の違い
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ELB (Elastic Load Balancing)
https://aws.amazon.com/jp/elasticloadbalancing/
ELBは、自動で負荷分散できるマネージドサービスで、以下の特徴があります。
・単一AZ、複数AZ、EC2インスタンス、IPアドレスなどでデータを分散できる
・転送データ量にあわせて、自動的にスケーリングできる
・SSL/TLS認証(ネットワーク上での暗号化)や、AWSの他のセキュリティサービスとの連携をサポートできる
Amazon VPC(Amazon Virtual Private Cloud)
https://aws.amazon.com/jp/vpc/
Amazon VPCは、分離された仮想ネットワークサービスで、以下の特徴があります。
・リソースごとのアクセス制御ができ、自分だけのプライベートなネットワーク環境も構築できる
・ネットワークの制御ができ、IPアドレスの範囲やサブネット(VPC内で役割分けを行うエリア)、ルートテーブルなどを変更できる
・複数環境へ拡張できる
これらの4つのサービスを押さえておけば、一般的なWeb3層を実装することができます。
AWSを勉強する時のお役立ちサービス
ここまで、AWSのメリットやサービスをご紹介してきましたが、もっと詳しく知りたい方や実際にAWSを触ってみたい方もいらっしゃるかと思います。
そんな方のために、AWS社が提供している勉強に役立つサービスをいくつか紹介しておきます。
AWSドキュメント
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/
AWSのドキュメントです。
あらゆるサービスの最新情報が細かく掲載されています。
よくある質問
https://aws.amazon.com/jp/faqs/
AWSのよくある質問の一覧です。
サービスごとに多くの質問が掲載されています。
AWS Well-Architected
https://aws.amazon.com/jp/architecture/well-architected/
AWSのベストプラクティス集です。
運用上の優秀性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化、持続可能性の6つの観点から最適な設計を学べます。
AWS の最新情報
https://aws.amazon.com/jp/new/
AWSの最新ニュースです。
時系列で最新情報を確認できます。
Amazon Web Services ブログ
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/
AWSの最新情報のブログです。
最新ニュースよりも詳しい技術情報などを確認できます。
AWS 無料利用枠
https://aws.amazon.com/jp/free/
AWSを実際に無料で体験できます。
初めてAWSを利用する方には「12ヵ月間無料枠」、初めて該当サービスを利用する方には「期間限定無料枠」や「データ量限定無料枠」などが用意されています。
AWS 料金見積りツール
https://calculator.aws/#/
AWSの見積もりを作成できます。
まずはどれぐらいの費用がかかるのか、Web上で簡単に確認できます。
AWS クラウドサービス活用資料集
https://aws.amazon.com/jp/events/aws-event-resource/
AWSを勉強するためのあらゆる情報が掲載されています。
イベントの申込や、初心者向けコンテンツ、ハンズオンコンテンツなども用意されています。
特におすすめなのは以下の2つです。
・AWS サービス別資料(AWS Black Belt Online Seminar)
サービスやソリューションごとに、AWSの技術担当者が1時間で解説する動画
・AWS ハンズオン資料(AWS 初心者向けハンズオン)
サービスやソリューションごとに、ご自身のAWS環境で実際に手を動かしながら学べるハンズオン動画
さいごに
本コラムでは、クラウドやAWSをゼロから学びたい方のために、まずは必要最低限の情報をお伝えしました。
しかし、AWSには様々なサービスがあり、全てを把握するのは難しいです。
そんな時は、ぜひアシストのブログ
や各種資料
、支援サービス
などをご活用ください。
有償にはなりますが、現役エンジニアによるAWS研修
もご用意しています。
もちろん、弊社の担当営業や技術に相談していただいても構いません。
ぜひお気軽にご相談ください。
参考
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[ ブログ ] AWS re:Invent とは?その魅力は?
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[ ブログ ] IT未経験スタートからのクラウド女子奮闘記
IT・クラウド初級者である “しまえり” が、アシストのクラウドチームに配属され、どんな日々を過ごしているのか、どんな風にクラウドを学んでいくのかをお伝えするブログです。
AWSのユーザー会に参加したり、AWSの資格取得に向けて奮闘する姿をご覧ください。
※第1回目のブログを案内していますが、
こちら
から第2回目以降もご確認いただけます。
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