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データ・プラットフォームの改革で年間の開発費5億円、
ストレージコスト10億円の削減に成功:Delphix事例講演レポート

データ・プラットフォームの改革で年間の開発費5億円、ストレージコスト10億円の削減に成功:Delphix事例講演レポート

「 ビジネスの加速 」

「 生産性向上 」

「 セキュリティとリスク管理 」

「 コスト削減 」

あらゆる企業で求められ、しかもそれぞれが相反するようなこれらの課題を全て同時に実現するには、既成概念や既存の枠組み、常識にとらわれず、これまでにない発想や着眼点が必要です。それは必ずしもAIやブロックチェーンといった最先端技術の導入だけを意味するのではありません。

「データ運用」
当たり前に日々行われているデータ運用が、既存の常識を打ち崩し新しい価値をもたらすディスラプティブ・イノベーション(破壊的変革)になりうるとは、にわかには理解できないかもしれません。しかしそのデータ運用の変革が、ある企業のCIOが実施した様々なIT投資施策の中で最高のROIを達成したのです。

ある企業とは、米国モリーナ・ヘルスケア社。国民皆保険制度を持たない米国で、15以上の州で500万人以上に民間医療サービスを提供する「フォーチュン500」企業の1社です。このモリーナ・ヘルスケアで2011年から2017年まで6年間CIO(最高情報責任者)を努めたリック・ホプファー氏が来日、同社に破壊的変革をもたらしたソリューションについて、2018年5月25日開催の日経×TECH主催「超高速開発&エンタープライズアジャイル2018」に登壇し、発表しました。

オバマケアによる業務急増でITの根本見直しを迫られたモリーナ・ヘルスケア

モリーナ・ヘルスケア社

米国の保険制度は日本のような国民皆保険制度とは異なり、国民一人ひとりが自己の責任において、民間企業が提供する保険商品に加入することが基本です。ただし、低所得者や高齢者に対しては、政府が独自の医療保険プログラムを提供しています。モリーナ・ヘルスケアは、こうした公的医療保険に関連する業務を広く手掛けており、全米15以上の州の約500万人以上が同社のサービスを利用しています。

2011年、「Affordable Care Act(ACA)」と呼ばれる新たな医療保険制度の運用が始まりました。通称「オバマケア」と呼ばれたこの新制度では、これまで無保険状態を余儀なくされてきた低所得層も医療保険に加入できるよう、従来の公的医療保険制度が大幅に改訂されました。

この「オバマケア」が、公的医療保険を専門に扱うモリーナ・ヘルスケアの業務量を急増させました。同じ2011年にCIOとして同社に参画したホプファー氏は、当時を次のように振り返ります。

「2011年から2017年の6年間に、保険加入者が約170万人から約500万人へと急速に拡大しました。これに伴い、売上高は42億ドルから185億ドルへ、従業員数は5,000人から22,000人へと増えました。私はCIOに着任早々、こうしたビジネスの急成長を見越して、ITの在り方を根本的に見直す必要に迫られました」


データ運用を変革するソリューションとして「Delphix」を導入

リック・ホフファー氏

オバマケアが施行された2011年当時、モリーナ・ヘルスケアのITシステムは様々な課題に直面していました。第一に、アプリケーション開発スピードの大幅な加速の必要性に迫られていました。医療保険制度の改定と、それに伴う医療業界の大きな環境変化に素早く対応するには、これまでより短い期間でアプリケーションを開発・リリースする必要がありました。

開発スピードを加速するには、アプリケーションの開発者やテスト担当者が利用できる本番データベースのコピーを大量に準備する必要があり、そのためのストレージコストがかさむことが予想されました。一方で、医療データに対するセキュリティ要件は年々厳しくなっており、中でも加入者個人の医療情報(PHI:Protected Health Information(保護されるべき医療情報))の保護は必須でした。

「こうした数々の課題に直面した私たちは、IT体制を根本的に見直すための3カ年計画を立てました。中でもデータの扱いに関しては当時数多くの課題を抱えており、それまでのデータ運用の方法を抜本的に変えない限り、何も解決しないと考えていました。そこで私のチームに、データ管理を変革するためのソリューションを見つけ出すという課題を与えました」(ホプファー氏)

モリーナ・ヘルスケアが抱えていた課題(クリックで拡大)
モリーナ・ヘルスケアが抱えていた課題(クリックで拡大)

同社の要件を満たす唯一の製品としてチームから報告が上がってきたのが「Delphix(デルフィックス)」でした。Delphixは、本番データベースのコピーを、実際のデータをコピーすることなく、データベース仮想化の技術を使った「論理的なデータベース」としてユーザーに迅速に提供するソリューションです。モリーナ・ヘルスケアが抱えていた「アプリケーション開発・テスト用の大量の本番データベースコピーの作成・維持」という課題をストレートに解決する、理想的な製品だったのです。データそのものをコピーする必要がなく、ストレージ容量を大幅に節約できる点も同社の要件に適っていました。

さらに、保険加入者の個人情報が含まれる機微なデータを開発やテストで利用する場合には、Delphixのマスキング機能を使ってデータを自動的に置き換え、セキュアな状態で扱うことが可能です。

これらの機能を高く評価した同社では、早速DelphixのPoV(Proof of Value(価値実証))を実施し、同社の要件に本当に適う製品なのかを検証しました。

「DelphixのPoVに当たっては様々な評価ポイントを設けましたが、特に重視したのが『データベース仮想化が本当に使えるか』『データ圧縮の方式は』『弊社で主に運用しているSQL Serverで使えるか』『開発・テスト担当者の生産性や作業効率に悪影響を与えないか』といった点でした。これらのポイントについて詳細にチェックしました」(ホプファー氏)

このPoVの結果、同社はDelphixを「自分たちの要件を十分に満たす製品である」と判断し、正式導入を決定しました。


Delphix導入で大幅なコスト削減と開発期間短縮を実現

2012年、まず一部のプロジェクトに対してDelphixを導入し、開発やテストにおける本番データベースのコピーの展開や運用の方法を根本から変更しました。その成果が早々に表れたため、他のプロジェクトに対しても段階的にDelphixを適用していきました。その結果、Delphix導入の前後での比較により、明らかな効果が表れ始めたとホプファー氏は言います。

「それまで数日間を要していた開発環境作成の作業が、Delphix導入後はわずか数分間でできるようになりました。同じく、トラブル調査のための障害再現環境の構築にかかる時間も、数日間から数分間へと短縮されました。その結果、アプリケーションを本番環境にデプロイするまでにかかる時間を半減することができました。またこれに伴い、年間で約4億~5億円の人件費が削減されました」

また、当初「4~5PB」と見積もっていたストレージ容量について、開発者やテスト担当者が利用するデータベースをDelphix導入により仮想データベースとして展開できるようになったことで、実際には300TBに収めることができました。その結果、当初見積もりと比べストレージコストの約6~10億円の節約に成功しました。

データのセキュリティに関しても、Delphixのデータマスキングと暗号化の機能を使うことで、個人の健康情報(PHI)の保護を大幅に強化することができました。さらには、会社の規模が急成長したにもかかわらず、Delphixの導入で開発者やテスト担当者自身がテストデータの初期化や巻き戻しなどを行えるようになったため、データベース管理者にかかる負担が大幅に軽減されました。

こうしたDelphixがもたらした様々な効果により、前述のとおり2011年から2017年にかけて企業規模が急拡大しデータ量も急増したにもかかわらず、データベース管理者は増員することなく一定だったと言います。これを人件費に換算すると、年間約6000万円のコスト削減に相当します。

2017年の時点で、モリーナ・ヘルスケアの社内では実に6,000以上もの仮想データベースがDelphixにより提供され、500以上の開発やテスト、QA、トレーニング環境で利用されており、全プロジェクトの80%以上で開発やテストにDelphixを採用しています。また同社では、DevOpsによる開発・デプロイの迅速化や自動化にも取り組んでおり、Delphixはこのプロセスにも組み込まれています。具体的には、DevOpsツールからDelphixのAPIを呼び出し、DevOpsプロセスの中にDelphixによるデータベース関連処理を組み込むことで、より迅速かつ確実なアプリケーションのリリースを実現しています。

こうして同社は、「データ運用」という、日々当たり前に行われていた業務に対し、常識にとらわれることなくメスを入れ、Delphixという革新的なソリューションを導入、社内におけるデータ活用を飛躍的に向上させ、ビジネスの急成長にITが大きく寄与する結果となりました。


Delphixは、様々な施策の中で最も高いROIを達成した

モリーナ・ヘルスケアの基幹システムから導入を開始したDelphixは、その後様々なシステムに横展開され、今ではモリーナ・ヘルスケアのほとんどのシステムに導入されています。クリティカルかつ高価値をもたらす仕組みとして、モリーナ・ヘルスケアのITには欠かせないものとなっています。

ホプファー氏がこれまで実施してきた様々なIT施策の中で、最も高いROIを達成したのがDelphixだったと言います。

「データに重点を置いたソリューションを導入したことで、IT環境を大きく改善し、効率的、効果的かつ安全に大規模なアプリケーションを市場へ素早く提供できるようになりました。DelphixはMolina Healthcareにとって、ビジネスの価値を大幅に向上させるソリューションを提供してくれた、極めて重要な戦略的パートナーだといえます」(ホプファー氏)

モリーナ・ヘルスケアの事例をこちらの動画でもご覧いただけます。


  • 本動画はDelphix Corp. により作成、公開されています。

データ活用の「攻め」と「守り」の摩擦を解消するソリューション「Delphix」

本講演では、弊社 データベース技術本部 ビジネス推進部部長 岸和田隆も登壇し、Delphixについてご紹介しました。

Delphixは、データベース仮想化の技術を使ってデータベースの複製を迅速・簡単に実行できるソフトウェア製品です。アシストではこの製品を2016年5月から取り扱っており、本番データベースのコピーを迅速かつ効率的に作成できるツールとして、開発・テストに限らず様々な用途で多くのユーザーに活用いただいています。近年では、BIのためのデータベースを手軽に作成したり、災害対策のためにDelphixを利用するユーザーも増えてきています。

企業にとってのデータの価値は年々高まり、それらを活用してビジネスに直結させたいという「データ利用のニーズ」が顕在化し、迅速な実現が求められる一方、データの保護やセキュリティ対策、ガバナンス、またデータを保持するストレージ容量といった「データ管理上の制約」もますます厳格化されてます。このように、「攻め」のデータ利用のニーズが高まる一方で、データを管理する「守り」での制約も増え続けているというジレンマに多くの企業が悩まされています。逆に言えば、このジレンマをうまく解消できれば、企業はデータ活用を強力に推し進めることができるのです。

Delphixが提供するソリューションの価値は、こうしたデータ活用の「攻め」と「守り」の両立です。

Delphixは、『必要な人が必要なデータを必要なタイミングで安全に利用できる環境』を提供することでこのジレンマを解決し、企業の成長やガバナンス強化に大きく寄与します。



【ご参加のお客様からのコメント】 ※抜粋してご紹介しています。

・達成されたROIが大きく驚いた。さらに詳細を知りたい。
・Delphixを使ったデータ活用は非常に興味深い。
・DRをDelphixでどのように実現できるかを詳しく知りたい。
・DB仮想化について、特にセキュリティ面でどのようなメリットがあるか知りたい。
・本番での障害発生時の問題切り分けに使えそうだと感じた。
・データの戻し作業が楽になりそう。
・どういうものか、ハンズオンで実際に触ってみたい。



本セッションの講演スライドをダウンロードいただけます。

2018/5/25開催
日経xTECH主催セミナー 『超高速開発&エンタープライズアジャイル 2018』

【ソリューション講演】
4年間で急成長の米国医療サービスを支える超高速開発基盤とは


本セッションの日経誌記事をPDF形式でダウンロードいただけます。

本セッションの記事が日経誌に掲載されました。
その記事をPDF形式でダウンロードいただけます。

『「IT投資の中で最もROIが高かった」名誉殿堂CIOが語るデータ管理アプローチ』
(日経コンピュータ2018年月7月5日号掲載)


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