AWSにOracle Databaseを移行する理由と注意点
2022.1.6
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<執筆者> 神山 太一 Koyama Taichi
クラウド技術本部 クラウド技術統括部
クラウド技術部 主査
2008年に新卒入社後、データベースエンジニアとして、教育 / 技術支援 / サポート / セミナー登壇など幅広く対応。
2020年頃からクラウド技術部へ異動し、業種 / 分野を問わず、AWSサービスを利用したお客様のシステム構築に従事。
現在は、仕事と育児に奔走中。スノボやサーフィンなど、何かに乗ることが好きなようで、今は時短&1人で遊べる
ピストバイクに乗ってリフレッシュしています。
Oracle Databaseのクラウド移行が増えている理由とは?
Oracle Databaseが採用されるシステムの多くは、高いパフォーマンス、可用性、データ保全性など様々な要件が求められます。
これらの要件をオンプレミスで満たそうとすると、導入や運用におけるコスト、難易度、複雑性、拡張性などが課題となります。
その解決策の一つとして
「クラウド移行」
、中でも多様なサービスと実績を誇る
「アマゾン ウェブ サービス(AWS) への移行」
を検討されるお客様が増えています。
しかし、オンプレミスで利用していたOracleをクラウドへ移行するには、現在の運用を踏まえた上で、最適なサービス/機能を選択し、構成を検討する必要があります。そこで、本コラムでは、OracleをAWSへ移行する時に、どのような選択肢があり、何に注意すべきかをご紹介していきます。
Amazon EC2 / Amazon RDS のどちらを選択するか?
Oracle DatabaseのAWS移行は、
ホストをAWSに移行する「Amazon EC2(IaaS)」
か、
AWSのマネージドサービスを使う「Amazon RDS(PaaS)」
のどちらかを選択します。
まずは、それぞれの特徴を把握しましょう。
Amazon EC2(IaaS)とAmazon RDS(PaaS)の特徴
| Amazon EC2 AWSの仮想サーバ上にOracle Databaseを構築 |
Amazon RDS AWSのマネージドサービスを利用 |
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| メリット | ・仮想サーバのルート権限が提供されるため、操作性が高い ・M/Wを導入して、 従来のオンプレミスと同等の運用が 行える ため、移行が容易 |
・データベースの構築/可用性/バックアップなどの
実装が容易
・マネージドサービス※ のため、 専門的なスキルが不要、かつ 時間/コストを削減できる |
| デメリット | ・データベースの構築/可用性/バックアップ/メンテナンス などの実装・運用は従来と変わらないため、スキル/時間/ コストを要する |
・マネージドサービス※ のため、利用者はOS操作ができない、 データベースの操作に制限があるなど、従来のオンプレミス の運用を変更する必要がある |
※ マネージドサービス …… パッチ適用などの運用管理をAWS側で行うサービス
特に大きな違いが出るのが「利用者が管理する範囲」です。
利用者が管理する範囲
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※ AP最適化 …… スキーマデザイン、クエリ作成、チューニング
Amazon EC2では、H/Wの構築・メンテナンス、OSインストールまでをAWSが担当するのに対し、Amazon RDSでは、データベースの運用に必要な煩わしいタスクのほとんどをAWSが担当してくれます。
「オンプレミスから移行する容易さ」
では Amazon EC2が優位ですが、
「運用コストの削減」
を期待するのであればAmazon RDSが向いていると言えるでしょう。
Amazon EC2 / Amazon RDS の構築イメージ
次に、それぞれの構築イメージを見てみましょう。
Amazon EC2では、EC2インスタンスを作成後、利用者がOracle Databaseを構築します。自由度が高い分、データベースで重要となるパフォーマンス、可用性、データ保全などをAWSのインフラストラクチャに適合しながら検討/実装する必要があります。
Amazon RDSでは、AWSマネージメントコンソールから必要な要件を指定するだけで、可用性が高いデータベースシステムを短時間で実装できます。
ただし、従来の運用からAWSに適した運用への切り替えが必要になるため、メリット/デメリットをしっかり理解した上で採用いただく必要があります。
構築イメージ
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Amazon RDS 構築時の注意点
ホストを移行するだけのAmazon EC2と違い、Amazon RDSには注意すべき点が多いです。
しかし、様々な制限がある反面、大変便利な機能もあります。
今回は、Amazon RDS構築時の7つのポイントをご紹介します。
1.機能制限
以下の機能が利用できません。
● Automatic Storage Management(ASM)
● Database Vault
● フラッシュバックデータベース
● マルチテナント(単一PDBのみサポート)
● Oracle Enterprise Manager Cloud Control Management Repository
● Real Application Testing
● Pureモードの統合監査(混合モードでない)
● メッセージングゲートウェイ
● Workspace Manager(WMSYS)のスキーマ
2.操作制限
以下の操作が許可されていません。
● OSへのログイン
● SYS/SYSTEM管理ユーザーの利用
● SQLおよびSQL*Plusコマンドでのデータベース起動/停止
● ALTER SYSTEM/ALTER DATABASEの実行
例えば、ALTER SYSTEMが使えないと、以下のような対応が必要となります。
<セッションを強制終了する場合>
Amazon RDS独自のパッケージ・プロシージャを利用します。
オンプレミスの場合 : ALTER SYSTEM KILL SESSION ‘sid,serial#’;
Amazon RDS の場合 : EXEC rdsadmin.rdsadmin_util.kill(sid,serial#);
<初期化パラメータを変更する場合>
パラメータグループという独自概念を利用します。
AWS上で作成/変更したパラメータグループを、RDSインスタンスにアタッチすることで、パラメータ値を反映させます。
AWSマネジメントコンソール/CLI/APIを介して操作します。
3.パッチメンテナンス
メンテナンスウィンドウで設定をしておくと、AWSがパッチを自動適用してくれます。
パッチには、任意パッチと必須パッチの2種類があります。
任意パッチは任意のタイミングで適用できますが、
必須パッチは指定された期間内の適用が必須
となりますので、要注意です。
4.リソース監視・領域監視
OS操作が許容されていないため、従来利用できていたエージェント型の監視製品では監視できません。
AWSサービスであれば
Amazon CloudWatch
を、その他にはAmazon RDSやAmazon CloudWatchの動作保証がされているサードパーティ製品を利用します。
Amazon CloudWatchでは、サーバ統計やストレージ領域に関する値(メトリック)を収集し、監視します。
また、しきい値超過時のアラームの発報(メール通知など)も実装できます。
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5.DBパフォーマンス監視
Oracle純正のEnterprise Manager(EMCC)を利用する他、AWSが独自に提供している
Performance Insights
を利用することもできます。
Performance Insightsは、AWSマネジメントコンソール上で提供されるRDSインスタンスのパフォーマンス監視ツールで、Amazon RDS作成時に有効化するだけで利用できます。
6.ログ監視
Oracle純正のEnterprise Manager(EMCC)を利用する他、
CloudWatch Logs
を利用できます。
CloudWatch Logsは、ログファイルの監視ができ、RDSコンソールと、CloudWatch Logs コンソールから確認可能です。
また、特定メッセージなどを監視し、アラームの発報(メール通知など)も実装できます。
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7.状態監視
RDSイベント
という形で通知されます。
RDSイベントは、データベースの停止、マルチAZ構成におけるフェイルオーバー、自動バックアップの開始/完了などの情報が取得でき、RDSマネジメントコンソールから確認が可能です。該当イベントが発生した場合のメール通知も実装できます。
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さいごに
このように、Oracle DatabaseをAWSに移行する際は、オンプレミスとは異なる点が多く、様々な観点から検討が必要です。
「自社で調べて検討するには、工数がかかりすぎる」「まずは相談だけでものってほしい!」という方も多いのではないでしょうか?
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参考
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AWSにOracle Databaseを移行する時の注意点と移行例
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AWSにビッグデータ分析基盤を構築するべき理由と構築例
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AWS研修
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