TOP>オープンデータをビジネスに活用するには? ~分析編~

オープンデータをビジネスに活用するには? ~分析編~

2022.4.11

<執筆者> 吉野 智士 Yoshino Satoshi

DX推進技術本部 データ活用技術統括部 BI技術2部 5課 課長

1999年世紀末の新卒入社。BI、CMS、SFA、DIと各種製品群の提案/支援に従事。
一貫してデータ収集と分析に関心があり、家計簿、プロ野球、プロテニス、オリンピック、株価、モビルスーツなどのデータを使って、趣味で分析アプリを作成している。趣味が高じて、Qlikデータソン※では「テニスのジュニアランキング」データを活用したアプリで『オープンデータ活用賞』を受賞。

※Qlikデータソンとは、Qlik Senseのデータ分析スキルを競うメーカー主催のコンテストです。
 コチラ から分析アプリの解説&表彰コメントが確認できます。

オープンデータとは


こんにちは、DX推進技術本部の吉野です。
データ活用について、思いを巡らせる日々を送っています。

このコラムに興味をもっていただけたということは、オープンデータに大いなる可能性を感じている方が多いのではないでしょうか?
かくいう私もその一人です。
しかし、なかなか現実はうまくいかないものです。
そこで、本コラムでは、オープンデータを活用する時のよくある課題や、うまく活用するためのヒントを共有します。
少しですが、実際にオープンデータを取り込んだ分析画面も載せていますので、ぜひ最後までお付き合いください。

まずは「オープンデータとは何か?」を、政府が出している資料の引用で定義しておきましょう。

オープンデータの定義


国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データのうち、国民誰もがインターネット等を通じて容易に利用(加工、編集、再配布等)できるよう、次のいずれの項目にも該当する形で公開されたデータをオープンデータと定義する。

① 営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの
② 機械判読に適したもの
③ 無償で利用できるもの

出典:デジタル庁 | オープンデータ「オープンデータ基本指針 」(2021年6月15日改正、2022年4月11日時点の情報)


また「OPEN DATA HANDBOOK」には、次の3点が重要だと記載があります。

オープンデータとは?


・利用できる、そしてアクセスできる
・再利用と再配布ができる
・誰でも使える

出典:OPEN DATA HANDBOOK「オープンデータとは何か? 」(2022年4月11日時点の情報)


これらを踏まえると、「誰でも使える」データでも、 「再利用/再配布は禁止」「再利用/再配布についてのルールが不明」というような場合は、オープンデータではないと捉える のが良いと思います。

オープンデータ公開サイト


次に、オープンデータの入手先として話題に挙がることが多いサイトをご紹介しておきます。

政府統計の総合窓口「e-Stat」

https://www.e-stat.go.jp/

総務省統計局が整備している日本の政府統計データです。
サイトの副題が「統計で見る日本」となっており「見る」状態での情報公開なので、データそのものが欲しい立場としては歯がゆさを感じます。

データカタログサイト「DATA GO.JP」

https://www.data.go.jp/

内閣官房が立ち上げ、現在はデジタル庁が整備・運営をしているデータカタログサイトです。
e-Stat内のデータも公開されています。デジタル庁の今後に期待したいですね。

気象庁「過去の気象データ・ダウンロード」

https://www.data.jma.go.jp/risk/obsdl/index.php

過去の気象データです。
「気温が高いとアイスが売れる。もっと高いと氷が売れる」というような、オープンデータ活用の切り込み隊長的なデータがダウンロードできます。

国土交通省「位置参照情報 ダウンロードサービス」

https://nlftp.mlit.go.jp/cgi-bin/isj/dls/_choose_method.cgi

全国の住所の位置座標データです。
市区町村/町丁目まで対応している点がいいですね!
ここ数年のツールの進化で、地図上のデータ分析も一気に身近になりました。
手元にある「住所データの名寄せ」という根本的な課題がクリアできたら、活用の幅が広がりそうです。

金融庁「EDINET」

https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/

有価証券報告書などが開示されており、株式を発行する上場企業などの企業情報が確認できます。
[ダウンロード]タブでは、[EDINETタクソノミ及びコードリスト]ページの最下部にある [EDINETコードリスト] から企業リストの一覧が入手できます。

オープンデータをビジネスで活用するパターン


では、このようなオープンデータを、どのようにビジネスに繋げれば良いのでしょうか?
その活用パターンを2つご紹介します。

サービスの開発、提供をする


オープンデータを用いて何らかの直接的なサービスを提供するパターンです。
オープンデータの活用というと、このパターンの事例が多く出てきます。

例えば、法人向けサービス「全国避難所データベース 」 や、日本最大の図書館検索「カーリル 」 などが挙げられます。
他のサービスも気になる方は、デジタル庁の「オープンデータ100 」を参考にしてください。

未知の発見、仮説の検証に活用する


自社データにオープンデータを組み合わせ、新たな知見を得る/仮説の検証をするパターンです。
私が悩みを抱いているのがこのパターンです。
皆さんの中にも「挑戦してみたいけど、何をどうすれば良いのか分からない」「他社ではどんなことをやっているのか知りたい」と悩んでいる方が多いのではないでしょうか。

オープンデータ活用の課題


先に挙げたパターンのうち「未知の発見、仮説の検証に活用する」ためには、 「データの探索と試行錯誤」が欠かせません。
「既に知っていることを、既存のデータで表現する」のであればそれほど難しくないかもしれませんが、未知のオープンデータを活用して未知の発見をするのは、至難の業です。

では、具体的にどこが難しいのか、「データ活用の流れ」のステップごとに課題を挙げてみましょう。

データ活用の流れと課題

①データ入手
 データが分割されていて入手が大変(例:地区ごとにファイルが分かれている)

②データ準備
 活用しやすいデータ形式になっていない(例:クロス集計レポートになっている)
 社内データと統合しづらい(例:結合キーが見つけられない)

③可視化
 未知の要件に対して、どのような表/グラフを作れば良いか分からない

④データ探索
 未知の要件に対して、柔軟な集計/フィルタによる試行錯誤が必要


①②はデータを分析する前段階の課題です。ここをクリアしないと③④に辿り着けません。
かと言って、①②に取り組もうとしても、③④でやりたいことが決まらないと①②の要件が決められません。

つまり、これらは個別の課題ではなく全体の課題であり、これらすべてがオープンデータの活用を妨げる要因となります。

オープンデータ活用のヒント


では、このような状況を打破するためはどうすれば良いのでしょうか?
ここからは、私の体験をもとに、オープンデータ活用のヒントを探っていきたいと思います。

今回は、BIプラットフォーム「Qlik Sense(クリックセンス) 」を使ってみました。
Qlik Senseを使えば、「オープンデータの入手」はともかく、「データ準備」「可視化」「データ探索」が容易にできます。
その辺りにも軽く触れながら、オープンデータを活用する時に「どのような点に注意すれば良いか」「どういう作業が必要になるか」を見ていきましょう。

活用しやすいデータ形式に加工する


e-Statで公開されているデータを例に挙げると、その多くが「クロス集計レポート」になっています。
そのため、データ分析で利用するには 「表形式」に加工する 必要があります。

例えば「都道府県別 身長・体重の平均値及び標準偏差 」をダウンロードすると、以下のようなExcelファイルが入手できます。都道府県/男女別にクロス集計されており、これ以上のデータ活用を困難にしています。
しかも、B4セルをご覧いただくと分かるように、年齢別にシートが分かれていて、データ分析するには厄介です。

クロス集計レポート


では、このデータをQlik Senseに取り込んでみましょう。
データを取り込む時に「複数シートを選択」、「余分な行を削除 」し、「ピボット解除ボタンを押す(デピボットする) 」とすれば、以下のような分析に適した表形式のデータに変換することができます。
(具体的には、Excelの6行目までを削除し、男女で分割されている列を「性別」という1列にまとめています。)

表形式


まずは、このように 「活用しやすいデータ形式に加工する」 ことが重要です。
 

試行錯誤しながら可視化/探索をする


データが取り込めたら、表やグラフを作成して 「可視化」 します。
先ほどのデータを使って実際に作成してみましょう!
……と言うのは簡単ですが、データを見ただけでは「身長と体重の相関が確認できる散布図が欲しい」というような明確な要件が出ないこともあります。
実際に作ってみても、気づきが得られない場合も多いです。

そんな時には、「試行錯誤しながら」様々な表やグラフを作って分析してみるしかありません。
先ほどのデータを使って、Qlik Senseで試行錯誤した結果、2つのグラフが完成しました。
 

年齢別 平均身長

こちらの折れ線グラフでは、年齢別に男女の平均身長が確認できます。
グラフ化した結果、12歳までは男女ともに同じような推移ですが、13歳以降は明らかに女子の成長が鈍化していることが分かります。
 

年齢別 平均身長 × 平均体重

こちらの散布図では、年齢別に男女の平均身長/平均体重の分布が確認できます。
女子は13~17歳で身長(横軸)の伸びが鈍化していますが、体重(縦軸)は急激な成長傾向にあることが分かります。

これらは、何となく知っていそうな情報ですが、公開されているクロス集計レポートを見ているだけでは、なかなか気づきにくいものです。
今回は、Qlik Senseの画面を作りながら、様々な疑問や気づきを経て試行錯誤した上で、やっとこの知見に辿り着きました。

ビジネスでオープンデータを活用するには、もっと複雑なデータ探索が必要になると思います。
そんな時、簡単に画面開発ができるQlik Senseなら、スムーズなデータ探索が可能になるのではないでしょうか。
(ちなみに、今回作成したグラフだと、1つ1分程度で作成できました。)

このように 「試行錯誤しながら可視化/探索をする」 ことが、新たな気づきに繋がります。
 

オープンデータと社内データの共通する項目(結合キー)を探す


もっと分析を深め、自社のビジネスに繋げたい場合は、オープンデータと社内データを組み合わせて分析することが多いです。
基本的な話ではありますが、異なるデータを組み合わせるには 「共通する項目(結合キー)」が必要 です。
これをどう見つければ良いでしょうか?

もともとお互いを組み合わせることを意図したデータではないので、組み合わせには普遍的/絶対的な視点を使わざるを得ません。
その最たるものが 「時間」軸 です。
e-Statなどの統計データの場合は「年」「年月」「日付」単位で公開されているので、これらが使えると思います。

他には「都道府県」など 「場所」を表す軸 も使えることが多いですね。
しかし、これらの項目ではうまく組み合わせできない場合もあります。

そんな時にも、Qlik Senseがヒントを与えてくれます。
Qlik Senseに複数のデータを取り込むと、 AI(拡張知能)によって自動で「推奨される関連付け(結合キー)」を提案 してくれます。
時間や場所以外にも共通する項目があるかどうか、すぐに確認できる上、データの明細まで見ながら判断できるので、とても便利です。

Qlik Sense のAIによるデータの関連付け


このように、 「共通する項目(結合キー)を探して、オープンデータと社内データを組み合わせる」 ことができれば、分析の幅は大きく広がるでしょう。

オープンデータの分析例


オープンデータ活用のヒントをお伝えしましたが、「具体的にどんなデータを使って何を分析したら良いか分からない」という方もいるかもしれません。
そこで、最後にオープンデータを活用した分析例(案)をご紹介します。

新型コロナウイルス感染症データを分析する


現在、一番動向が気になるのは、新型コロナウイルス感染症に関するデータではないでしょうか。
例えば、感染推移を見ながら今後の予測をすることで、以下に活かせるかもしれません。

 ● 店舗営業の見通しをたてる
 ● 不足しそうな物資の生産計画をたてる

興味がある方は、以下サイトも参考にどうぞ。

<分析レポート公開サイト>
WHO Coronavirus (COVID-19) Dashboard (WHO)
データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報- (厚生労働省)
新型コロナウィルス発症状況の可視化 (Qlik Sense)

<データ公開サイト>
Novel Coronavirus (COVID-19) Cases Data
GitHub

企業データを分析する


よりビジネスに活用しやすいのは、企業データの分析でしょう。
各企業の位置や規模を分析することで、以下のような様々な施策に活用できそうです。

 ● どの地域にターゲット企業が多いかを分析して、その地域で展示会を開催する
 ● 企業の位置情報をもとに、営業テリトリを考える
 ● 自社と取引がない企業をリストアップして、営業戦略を考える

新卒採用データを分析する


他には、新卒採用にも活用できるのではないでしょうか。
大学の位置や学生数を分析することで、以下のような対策が打てるかもしれません。

 ● どの地域に大学/学生が多いかを分析して、その地域で採用イベントを開催する
 ● 学生数の割に自社への応募が少ない大学向けに、個別にアプローチする

さいごに


いかがでしたか?
オープンデータを身近に感じ、少しでも「ビジネスに活用できるかもしれない」と思っていただけたなら幸いです。


参考


Qlik Sense Business 30日間 無料トライアル

Qlik Sense Business 30日間 無料トライアル

スムーズにトライアルを開始していただくための
アシストオリジナルコンテンツもプレゼント!

もっとQlikについて知りたい方は コチラ からどうぞ。


※すべてのリンクは、2022年4月11日時点の情報です。



 
本ページの内容やアシスト西日本について何かございましたら、お気軽にお問い合わせください。
 


ページの先頭へ戻る