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アシストが実感したDX 動画活用を通して見えた文化・風土へのアプローチ

アシストが実感したDX 動画活用を通して見えた文化・風土へのアプローチ

コロナ禍に伴うリモートワーク導入で急遽持ち上がった「社内コミュニケーションの課題」を解決するため、アシストでは動画管理基盤 Panopto を導入しました。その結果、コミュニケーションの課題を解決できただけに留まらず、人材育成や組織変革、文化・風土の変革といった様々な効果が得られました。その過程で弊社が経験した数々の苦労や成功体験は、DX推進の貴重な事例としてきっと皆様のヒントになるはずです。

社内コミュニケーションについての不安を解消するために
動画管理基盤を導入


新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、アシストでは急遽2020年3月より在宅勤務体制を導入しました。その結果、それまでオフィスで行われていた対面の機会が失われてしまい、「従業員同士のコミュニケーションの希薄化」という問題がクローズアップされるようになりました。

そこで、希薄化するコミュニケーションを少しでも補えるよう、動画コンテンツの共有基盤を新たに導入することになりました。2020年5月にPoCプロジェクトを立ち上げ、その1ヵ月後には有効性を実証し、経営層による導入承認を得て2020年7月から全社規模での本格利用を開始しました。

アシストにおける動画活用基盤社内活用実績

アシストにおける動画活用基盤社内活用実績

それから約2年の間で2万本以上の動画が作成されて社内で共有されるようになり、動画の総視聴時間は約78万時間、社員1人あたりに換算すると月平均33時間もの時間を費やすようになりました。弊社 ビジネスソリューション本部 新事業共創推進室 松山晋ノ助 は、この取り組みの成果について次のように述べます。

松山 晋ノ助 松山

社内の情報共有の手段として動画が当たり前のように利用され始め、情報共有の効率・鮮度が格段に向上しました。さらには情報共有だけでなく、社員同士のコミュニケーション手段としても動画管理基盤が活用されるようになり、動画活用が“文化”として定着しつつあります。

全事業部門からメンバーを集めた全社プロジェクトを組成


この動画管理基盤の導入と定着に成功した大きな要因の一つに、社内横断型の全社推進プロジェクトを組成したことが挙げられます。このプロジェクトは、全事業部門からメンバーがアサインされ、「ビデオアンバサダー」として各部門とプロジェクトを繋げる架け橋を担います。2020年のプロジェクト立ち上げから現在3年目を迎えていますが、毎年ビデオアンバサダーの顔ぶれを入れ替えることで、できるだけ多くの従業員がプロジェクト活動を経験できるようにしています。

ビデオアンバサダー

ビデオアンバサダーの役割は、動画管理基盤の使い方や各種業務におけるユースケースなどの情報を自部門に持ち帰って展開するとともに、利用者の意見や要望を吸い上げてプロジェクトに反映させることにあります。こうしてメンバーが全社プロジェクトと各事業部門との間を結ぶ“ハブ”としての役割を果たすことで、「動画活用の文化」を全社に伝播することを図りました。


ビデオアンバサダーの役割

  • 動画管理基盤の使い方や全社・他部門での活用方法を共有
  • 各部門の課題や要望を受けプロジェクトに共有する
  • 様々な業務での動画利活用の情報を収集し、自部門に展開する

しかし実際は動画管理基盤の導入が当初からスムーズに進められたわけではなく、新たな仕組みを社内に導入することに対してうまく利用できるかといった不安や業務負荷を心配する声も聞かれました。こうした声を単なる「抵抗勢力」として排除するのではなく、メンバーが現場の生の声を拾い上げることで不安や懸念を解消するための具体的な手段をプロジェクト内で議論してきました。

その結果、現場の不安を解消して動画管理基盤の利用定着を促しただけでなく、全社プロジェクトに参加したメンバーの成長や意識改革にもつながったと松山は話します。

松山 晋ノ助 松山

現場の利用者が「自身の業務に役立つものなんだ」ということを実感してもらえるよう調整を進めたことが、成功の一因だったと考えています。同時にプロジェクトメンバーにとっても、各部門の代表として全社プロジェクトに参画しているという実感を持ち、その成果を自分ごととして捉えてもらうことで、結果として利用者と推進者の双方のモチベーションアップにつなげることができたと感じています。

不安を払拭し徐々に社内の風土・文化の変化を実感


ビデオアンバサダーらが動画管理基盤の価値を粘り強く現場に訴求しつつ、利用者の声を丹念に拾い集めながら改善を続けていった結果、本格利用を開始してから半年後には動画の数が7000を超えるなど、一気に利用が促進されました。

その頃には現場からのフィードバックもポジティブなものが大半を占めるようになり、新たに社内の文化・風土の変化を実感し始めました。具体的には、以下のような声が利用者から上がってくるようになりました。

現場からのフィードバック

  • 特定の社員しか持っていなかったナレッジやノウハウが可視化され、誰もが学べるようになった
  • 高評価を得たプレゼンの内容を記録し、他の社員と共有できるようになった
  • 従来はセミナーやイベントの場でしか聞けなかった話が、動画として記録・共有されることでいつでも学べるようになった
  • ドキュメントとしての資料とは違い、動画は作った人の“思い”が資産として残せる

導入当初は、Web会議やプレゼンの内容を録画・共有することに対して一部では抵抗の声もありましたが、運用を続けるうちに業務効率や生産性の向上に寄与することが明らかになり、次第にそのような声も薄れてきました。その結果、ほどなくして日々の業務内容を自然と動画として記録し活用することが当たり前になってきました。

また動画管理基盤を一部の部門や従業員の利用に限定したものではなく、当初から全従業員の利用を前提としたことで多くの学びが得られたと松山は振り返ります。

松山 晋ノ助 松山

全ての従業員に価値を届けるために全社プロジェクトを組成して、メンバーと利用者が一丸となって全社規模の活動を展開したことは、プロジェクトメンバーにとって貴重な経験になったと思います。全社規模で新たな仕組みを導入することに対しては、得てして社内の抵抗を受ける場合もあり、また一朝一夕で成果が上がるものではありません。それを踏まえ現場からのフィードバックをきめ細かく吸い上げて変化を実感できる仕組み・体制を築き上げたことが今回の成功の最大要因だったと思います。

全社プロジェクトを通じて推進者と利用者の双方が成長


今回の動画管理基盤導入プロジェクトを通して得られたもう一つの大きな成果が、「人材育成」でした。コロナ禍によるリモートワーク移行で、これまで対面で行ってきた研修や教育施策などが実施困難になりましたが、それらを動画コンテンツの提供で補うことができました。

人材育成に役立つ様々な動画

例えば「配属後に見るべき動画」「新たな役割を担った際に見るべき動画」「人にわざわざ聞きづらい不明点を解説する動画」など、教育やスキルトランスファーをスムーズに運ぶための学習コンテンツや、「プレゼンや商談が上手い人の“語り”が学べる動画」など、動画ならではの価値を届けられる教育コンテンツなど、人材育成に役立つ様々な動画が作成・共有されています。

またこうした様々な動画の中から、各事業部門のビデオアンバサダーが「オススメ動画」を部門内で共有することで、効果的な動画活用方法が現場へと伝播し、動画管理基盤の利用価値がさらに高まっていくという好循環が生まれ始めています。

そして何より、「全社プロジェクトでの経験を通じた人材育成効果がとても大きかった」と松山は語ります。

松山 晋ノ助 松山

全社プロジェクトでは、全社最適の観点から物事を見ることが求められます。今回の動画管理基盤の導入に関しても、社内の様々な部門の利害を調整しながら意見交換したり、経営層の投資判断の背景に触れるなど、普段の業務ではなかなかできない貴重な体験を得ることができました。

こうしてプロジェクトメンバーが推進人材として成長を遂げるとともに、プロジェクトと各事業部門との間の橋渡し役として課題の吸い上げや成功事例のフィードバックなどを行うことで、現場の利用者の育成にもつながっていきます。こうして全社プロジェクトの活動を通じて、推進者と利用者が共に成長できた点が、今回の取り組みの最大の成果ではないかと考えています。

今後のDX推進に役立つ多くの学びを獲得


最後に改めて、今回の動画管理基盤導入プロジェクトの成功要因や、取り組み全体を通じて得られた学びについて簡単にまとめてみたいと思います。

変化をチャレンジの機会と捉える

コロナ禍という社会環境の大きな変動をリスクとしてだけではなく「変革の機会」と捉え、社内の文化・風土を大胆に変えるための第一歩を踏み出せたことが成功の要因の一つだったと考えています。

経営の理解と支援

新たな取り組みには当然のことながらコストや工数が掛りますが、この点について経営の理解を得られたことはプロジェクト成功の大きな要因でした。また成果を客観的に表す指標を設け、経営陣に定期的に報告しながら状況を共有したことで、経営からの理解と支援がより得られやすくなりました。

全社への基盤導入

スモールスタートではなく、当初から全社規模での導入を進めたことが、結果的にこれまで紹介してきたような全社の文化・風土の変革や人材育成の成果へとつながりました。スモールスタートが決して悪いわけではありませんが、今回のプロジェクトの成果はおそらく全社導入でないと手に入れることはできなかったでしょう。

全社プロジェクトの組成

社内の全ての部門からメンバーを集めた全社プロジェクトを組成したことが、結果的に全社規模での動画管理基盤の定着と人材育成効果へとつながりました。このような体制・プロセスを通じて成果を収めることができた経験は、今後DXを推進していく上で別の場面でも必ず役に立つと考えています。

チャレンジの機会を創出

全社プロジェクトに飛び込み、自部門への基盤定着にチャレンジした経験は、メンバーにとってDXの貴重な実体験となり、また利用者に対しても、動画管理基盤を通じて最新テクノロジーに触れる機会を提供できました。結果として、今回の取り組みを通じてあらゆる立場の従業員に「新たな機会」「新しい経験」を提供することができました。


アシストでは今回の経験を生かし、お客様のDX推進に寄与する伴走支援、新しい価値のご提供に向けて励んでまいります。

                (本稿は、アシスト主催で2022年4月に開催した「DX実践事例セミナー」のセッションを基にした記事です。)




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